「うみねこのなく頃に」(Episode.1 - Episode.4)

(執筆:2009/11/10)

「うみねこのなく頃に散」(Ep.5-8)をも加味したネタバレ無しレビューを新たにアップしました。よろしければそちらも併せてご覧下さい。

メーカー

07th EXPANSION
(「ひぐらしのなく頃に」で一躍同人業界のトップに踊り出た、古今の三大化け物同人サークルの一つ。現在双璧をなすもう一方のブランドと同様、ライターが絵師を兼任しており、独特の絵でプレイヤーをうならせる。)



属性

発売時期:2007/08-2008/12
ジャンル:ADV
用途:読み物
舞台:1986年、伊豆諸島に位置する仮想の孤島「六軒島」が中心に。
顕著な属性:魔女
プレイのきっかけ:「ひぐらし」以来、竜騎士07のファンなので。(プレイ前の期待得点…7点)
プレイ進捗状況:EP.1-EP4まで読了。



テキスト:7(暫定)

あらすじ:孤島「六軒島」に集まった親族およびその使用人達、総勢18名。二日間の間、嵐のため完全に外界と遮断されたこの島で起こる、連続殺人事件。犯人は、人か、魔女か。本作は、ミステリーか、ファンタジーか。その謎に挑むのは、プレイヤーである貴方自身。


…私が書いた下手なあらすじ読むより、公式サイトの「作品紹介」読んだ方がライターの狙いがよく分かるし作品への向き合い方も分かるので、どうぞそちらをご覧下さい。というか、未プレイの方はどなた様も一読されておくことをお勧めします。07th EXPANSIONの作品は、こういうブリーフィングをしっかりしておく方が楽しめると思います。




読まれましたか?
うーん、いいですね。この、無邪気で挑戦的な文章。
<こんなのミステリーじゃなくてファンタジー!
<あなたが悔し涙をぼろぼろ零しながら、そう言って降参するところが見たいのです。
ですって。
例えファンタジーだと認めたとしても、その時に誰が悔し涙などぼろぼろ流すかっての。
「はいはいファンタジーファンタジー。(「クソゲー」とほぼ同義)」
ぐらいのリアクションが関の山でしょう。
しかし、本作も前作もそうですが、このライター竜騎士07の作品を楽しむためには、ともあれまずこの挑発に乗らなくてはならない。挑発どこ吹く風で受動的に与えられたシナリオを鵜呑みにしてても楽しいんですが、やはり、ライターがプレイヤーに望むプレイスタイルというものを明確にしている以上、それに乗ってやるのがシナリオゲーマーってもんではないでしょうか。出された料理にはとりあえず醤油、とりあえずマヨネーズ、みたいな食べ方も決して駄目ではないですが、グルメではないですね。私達は何も竜騎士07に敵対しているわけではありません。相手の策略に乗ったら負け、みたいな考えは間違いです。私達が「女将を呼べ!!」と怒鳴るのは、とりあえずライターの希望通りのプレイをしてから、ではないでしょうか。
というか、本作も前作と同じく、積極的にプレイする=頭使いまくる ということになるのですが。
頭は、使った方がいいと思います、やっぱり。18歳越えたいい若者が頭も体も使わなかったら、一体何を使うんだという。ぼんやりとした癒しが目的なら、本作なんかプレイするべきではないのです。またエンターテイメント期待と言いつつ、ライターが全力で投げてくる投球も見送りばかりしておいてつまんなかったから「はい駄作」とか、それも違うでしょう。まずは全力の投球に立ち向かいその球筋を見極めた上で初めて、「打てるかこんなもん!」と駄作扱いもできるってもんです。
長くなってしまいましたが、小学生だってプレイOKな本作をアダルトな私達がわざわざプレイするからには、それなりのプレイ姿勢ってもので挑んだ方が良くないですか?という提案でした。

さて、内容の話に入りましょう。
まず、前作ほど「全力で推理!」はできません。プレイヤーができるのは、幾つか仮説を立て、その答えが与えられるのを待つだけです。仮説の数は多ければ多いほど正解の可能性も上がるでしょうし、竜騎士07も恐らくほぼ全ての仮説に対して正誤判定をしてくれるので、誤答と分かった時点でまた新たな仮説を立てていけばいい… そして仮説が出なくなったら一時的にでも敗者席にでも座りながらシナリオ展開を見学しつつ、新たな仮説が出ないか考えるといいでしょう。ちなみに、その敗者席から再び立つことができなければ竜騎07の勝ちです。
これで、ep.1-3辺りまでは楽しめると思います。逆に言うと、このように、プレイヤーが積極的に参加しないと、特に序盤(ep1,2)はつまらないと思います。

本作は前作と違い、物語が進めば進むほどシナリオにのめり込める作りとなっております。Ep1をプレイしている頃は、ひぐらしと比べて舞台の魅力・キャラの魅力の皆無っぷりに暗澹たる気分でしたが、さすがは竜騎士07。ひぐらしで見せた豪腕ぶりは健在でした。間違いなく同人界最高クラスのエンターテイナーでしょう。

テキストは、例によって詩的でも文学的でもない直球ばかり。シナリオも、序盤は求心力が大幅ダウンでしたが今振り返ってみればep1の酷さはある程度折り込み済みのように思えます。どうぞep1だけで投げず、3くらいまでは進めていただきたいと思います。(3で駄目ならもう投げた方がいいかと)
プロット、コンセプトは未だ闇の中。(メッセージは、少し見え隠れし始めていたようではありますが。)解答編を待つしかありませんので、その辺の加点ができず本作は序盤の粗を考慮に入れて7点止まりですが、後半にも十分期待を持てる7点です。



ゲーム性:5

これはもう、アイデアだけで6点あげたいですな。
プレイヤーに自由に挑戦させるこの作品姿勢、私は最大限評価したい。
ただ、挑戦させるにしてもプレイヤーに強いる負担が結構きついのが、珠に瑕。大雑把に挑む人ならいいのでしょうが、一つ一つ微に入り細に入り推理を進めるタイプの人間には絶対向いていません。



実用性:1

「うーうー!」

使ってみろやってレベルです。
全年齢ですし。



音楽:7

音楽が非常に評価されているようですが、私にはそこまで言うほどは…。
好きな曲ももちろんあるのですが、ひぐらしの曲の方が好みでしたね。
もちろん、レベルは高いです。平均越え余裕です。

ボーカル曲:有



キャラ:6

主人公:戦人(ばとら,名前変更不可),熱血漢。
その他大勢:一族および使用人の皆さん、総勢20名弱。
魔女:これは・・・

キャラ萌え的な何かとはかけ離れたラインナップですが、一人、なかなかいい感じの娘がいたので6点。
ていうかそれぞれそれなりに魅力的なキャラというのは結構多数いるのですが、どうも属性がニッチすぎてハードル高いんですよ。



声:無

フルでボイス無しです。ホラー・ミステリー系ゲーム定番の、叫び声SEすらない。
しかし魔女の笑い声はしっかりあります。SEで。



時間:6

例によって1章1章が結構ボリュームあります。ダレもします。あまり長期戦にもっていくと特に後半、昔の話が分からなくなります。
長いです。

ただ、コストパフォーマンスを考えると破格かもです。



その他

システム:画面サイズ小さい…。くらいですかね。
演出:色々と演出はパワーアップしてますね。ただ、上滑りしている演出も多いように感じました。これはライターの責任。
CG:例によってCGはほぼ無しです。ただ、魔女の肖像画(非:竜騎士07絵)はなかなか。



お勧め度:6

これまたお勧めしにくい一作…。

ひぐらしのような雰囲気や舞台を期待してはいけません。あれとはまた全然違った、一個の舞台でシナリオは展開します。

世界観について頭が堅い人にはとてもお勧めできないと感じました。異色推理物としての話ですが、幸いにして私は(だいたい自分の予想通りだったので)すんなりと納得できましたが、これ脱落する人も結構いるんじゃないかなと。
ただ、推理パートで脱落しても物語としての面白さが無傷で残るのが、竜騎士07の凄いところだと思います。一定量の人は、ぶつくさ言いながらもプレイは続けられる、というか。
特に女性の方にEp.4まで進んでいただきたいと思いました。キーワードはぬいぐるみ&人形。


ここまで来てからこんなこと言うのもあれなんですが、竜騎士07と本当に勝負すべきは、推理ではなく、想像力・あるいは引き出しの多さ・多彩さ、だと思います。




気に入り度:7

完全に自慢話ですが、ep2までのトリック(?)は、そのコンセプトとしてほぼ完全に私の予想通りでした。「多分こう落とすんだろうな」と思っていたら案の定…という感じ。しかしep3以降はシナリオ展開が全く読めない。そして、ただの異色推理ものというだけでなく、物語自体が生彩を帯び始め、読み物としても非常に面白くなってくる。
個人的気に入り度を得点化すると
ep1:3点(07th expansionをリスペクトする他同人サークルが作ったのかと思った)
ep2:5点(心頭滅却すれば凡作もまた楽し ep3はまだか)
ep3:7点(やっぱりこう来たか。とかスカしつつクリックする指が止まらない)
pe4:8.5点(大 満 足 エンターテイメント性超多彩)
といったところです。
ep3でシナリオにエンジンかかってからがやばい。

なにより、竜騎士07の悪魔的エンターテイメントがきっちり健在だったのが嬉しいですね。



(この作品については、プレイ後レビューでも触れております。)



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