「うみねこのなく頃に散」(Episode.5 - Episode.8)

(執筆:2011/03/30)



メーカー

07th EXPANSION
(「ひぐらしのなく頃に」で一躍同人業界のトップに踊り出た、古今の三大化け物同人サークルの一つ。現在双璧をなすもう一方のブランドと同様、ライターが絵師を兼任しており、独特の絵でプレイヤーをうならせる。)



属性

発売時期:2009/08-2010/12
ジャンル:ADV
用途:読み物
舞台:1986年、伊豆諸島に位置する仮想の孤島「六軒島」が中心に。
顕著な属性:魔女
プレイのきっかけ:「ひぐらし」以来、竜騎士07のファンなので。(プレイ前の期待得点…7点)
プレイ進捗状況:多分全部終わったと思う



テキスト:7

あらすじ:孤島「六軒島」に集まった親族およびその使用人達、総勢18名。二日間の間、嵐のため完全に外界と遮断されたこの島で起こる、連続殺人事件。犯人は、人か、魔女か。本作は、ミステリーか、ファンタジーか。その謎に挑むのは、プレイヤーである貴方自身。


…私が書いた下手なあらすじ読むより、公式サイトの「作品紹介」を読まれた方が、未プレイの方には良いかと思います。

…で、散の方のレビューですが。
テキストは、無印(Episode1-4)に続き、かなり不安定です。そもそも結構癖のあるライターではありましたが、本作はその癖の部分が前面に出ている感じですね。「ひぐらし」では、癖の部分を感じさせつつも全体的に高い完成度でまとめてきたのでその癖も終盤まで感じられなかったと思いますが(ただし絵は除く)、本作はずっと癖ばかり。"散"になってもその傾向は弱まるどころか強まるばかり。「ひぐらし」がプレイヤーを楽しませようと全力を尽くした作品だとすれば「うみねこ」は自分を出し切ろうと全力を尽くした作品、とも表現できるかも知れません。ライターの竜騎士07が今度は何をやらかしてくれるのかと期待しながら読むには良いですが、最近のキャラゲーや萌えゲーをプレイする感覚というか、「ユーザー様」気分でプレイするとプレイ後はディスク割る羽目にもなりかねません。
不安定というのはそれだけでなく、もう一点。手抜きとは言いませんが疲れ果てながら書いているような精彩を欠く部分が多く見受けられます。信じられないかも知れませんが、予断を許さないような展開ではあるのに間延びしているような、そういう部分も散見されます。
さらに欠点を挙げるなら、「ひぐらし」に比べて先の読める展開が非常に増えた。「これ、多分こうなるんだろうなぁ」と思っていたら紆余曲折はあったものの結局予想通り、みたいなことも何度かありました。これも減点対象ですね。
最後に、プレイしていて不愉快な気分になるシーン、セリフもかなり多い。悪役の悪役らしさ描写が過多と言いますか、主人公サイドに対しての罵倒やら挑発やらが大量。明らかに意図的にやっているのは分かるのですが、制作サイドがその配分をちゃんと考えれてないというか、プレイヤーに与えるフラストレーション量が過剰気味。竜騎士らしいといえばらしいのですが、やりすぎです。

しかし、それらを踏まえてもなお、この作品が極めて個性的であり、間違いなくここ数年で最高に挑戦的であり(色々な意味で…)、それでいてメッセージ性とエンターテイメント性を兼ね揃えた力作であることは間違いないです。ここぞというところの盛り上がり、台詞回しの上手さ、逆転の興奮など、人気ライターとしての意地を見せた感もありますね。

「挑戦的」と申しましたが、これは文字通りの意味で、本作で竜騎士が求めていたのは自ら積極的に竜騎士の創作に立ち向かってくれるプレイヤーであり、竜騎士が与えるエンターテイメントを口を開けて待つ受身のプレイヤーではないのでしょうね。
私は、後者のようなプレイスタイル自体を否定する気はありません。プレイスタイルは人それぞれです。が、一方で、作品にはそれぞれその作品に合ったプレイスタイルというものが存在すると思います。竜騎士は今回、かなり間口の狭い作品を作りました。よって、本作を受け容れられない層も少なくないようです。そして、ただでさえ間口が狭い上に、その作品で描かれるもの自体が癖が強いものですから、お口に合う人はかなり限られるように思われます。
が、彼がやっているのは同人です。同人とは、商業と違って懐の広い、各人が本当にやりたいことをほぼ無制限にできるところではないでしょうか。
後に「お勧め度」の項で書きますが、本作は決して、そう人に勧められるようなものではありません。後ろに「ひぐらし」という化物同人ゲーを背負ったライターの新作という意味では、それは尚更です。
しかしそれは、本作が質の低い駄作だからではなく、それだけ癖がある作品だからです。そして質については、粗も多いながらも、決して他のシナリオゲーの後塵を拝するようなレベルではないと私は考えます。個性的で、本当に竜騎士07らしい、キラキラでぎらぎらでゲトゲトな作品です。



ゲーム性:6

先に言っておきます、Episode1-4で出たトリック(?)のネタは最後まで明示されません。それが、本作が叩かれる理由のひとつでもあるのですが。
明示はされないものの、それまでに自分なりの何らかの解答を出していたり仮説を立てていたりすれば、おそらく答え合わせは可能だと思います。一度、ぼかした表現で解答が提示されており、また恐らく"散"のいくつかのシーンなり台詞なりは、無印の解答にそのまま転用できるものがあったと思われます。私自身がまともに推理していないので断言はしかねるのですが、多分。客観的整合性については不明ですが、少なくとも竜騎士なりの解答は存在するように読み取れました。それを示していないだけで。

あと、2回ほどミニゲーム有り。一方は約15題ほどのなぞなぞ、もう一方は論理パズルのようなもの。

既に何度か申してますように、うみねこはプレイヤーが何らかの積極的な姿勢を見せないと楽しめない作品であり、逆に言うと積極的な姿勢であれば結構楽しめる…のではないかな? まぁ、良くも悪くも面倒な作品です。



実用性:2

無印より1ポイントアップ!

ベルンカステルが「この問題、解けるもんなら解いてみろや」って表情浮かべてる顔、竜騎士絵のくせに(失礼)やけに劣情をかきたてる顔だなと思ったのですが理由は明らかだった。私がよくプレイするジャンル(陵辱ゲー)でしょっちゅうお見受けする顔だったわ。




音楽:7

音楽が非常に評価されているようですが、私にはそこまで言うほどは…。
好きな曲ももちろんあるのですが、ひぐらしの曲の方が好みでしたね。
もちろん、レベルは高いです。平均越え余裕です。
そして本作では、あるボーカル曲が滅茶苦茶気に入りました。片霧烈火さん最高や!!

ボーカル曲:有



キャラ:6

主人公:戦人(ばとら,名前変更不可),熱血漢。
その他大勢:次から次へと新キャラ登場で、「いい加減にしろよ延命処置されてる少年誌の週刊連載かよ」みたいな感想を抱くこと請け合い。

相変わらず、キャラ萌えとはかけ離れたラインナップです。
が、それでいて、「あぁ、やっぱりこのキャラはこうでないとなぁ」などと思わずニヤついてしまうからさすがですね。




声:無

フルでボイス無しです。ホラー・ミステリー系ゲーム定番の、叫び声SEすらない。
しかし魔女の笑い声はしっかりあります。SEで。後半になっても嫌と言うほど聞かされます。



時間:6

後半も相変わらず各章がかなり長いです。このあたりだけは安心と信頼の07th Expansion水準。半年に一度これだけの文章量の作品を出すんですからね…。



その他

システム:画面サイズ小さい。LORDの際に何クリックも選択しないといけないのが面倒。

演出:演出…。 正直、最低限という印象しか受けませんでした。無印の頃の方がまだ演出は凝っていた気がします。が、無印の頃の演出が正直気に入らない私としては、これくらいの最低限の演出でも問題無。…にしても、ひぐらしの時の神演出は何だったのだろうか…




お勧め度:4

まず第一に、エンターテイメントという点で、ひぐらしほどのクオリティは無いと断言させていただきます。演出も、ひぐらしに比べ格段に質が低下しています。ただエンターテイメントを求めてプレイするならやめておいた方がいいです。
以下、その詳細な理由。

「fateは文学」「鳥の詩は国家」「CLANNADは人生」などといった各作品を揶揄(?)するシリーズのひとつとして
「ひぐらしは論理学」
っていうのがありますが、私から見るとうみねこの方がひぐらしよりはるかに論理学。((ノ∀`))
ミステリーというか、孤島で起こる連続殺人事件をネタとした論理パズルに挑むくらいのい気持ちでプレイできればまずまず楽しめるのではないでしょうか。あるいは、竜騎士07の性格の悪さ(褒めてるつもり)を見物するつもりでプレイするか。何にせよ、何らかの積極的な姿勢がないとプレイは辛いです。これが第一。
次に、竜騎士というライターのえげつなさを知っていないと、たとえ積極的に作品に臨んでも途中でブチ切れたり呆れ返ったりするかも知れません。いや、たとえ知っていたとしても、プレイ中にはほぼ間違いなく、軽い失笑や置いてきぼり感、あるいは不快感というネガティブな感情を味わうことでしょう。これが第二。
そして、上質な萌えキャラやラブコメ的展開等は一切無し、代わりに暑苦しい野郎の暑苦しい愛の囁きがあったりする、これが第三。
この三つを聞いて耐えられそうにないと感じたならこんな作品には関わらない方が多大な時間を使わなくて済むでしょうし、逆にもし耐えられそうなら、ぜひプレイしていただきたい作品ですね。とにかく良くも悪くも個性的かつ偏屈な作品ですので、お勧めはしません。椅子に腰掛けているとあれよあれよといううちに気持ちいい気分にさせてくれる接待ゲーとは真逆の立ち位置にある作品です。

しかしその一方、竜騎士ならではのエンターテイメント性は宝石箱のようにちりばめてあります。こんな作品は、このライター以外描けないと思います、本当に。そういう意味で、稀少な娯楽を堪能できる作品でもあると思います。

ある意味、竜騎士の信者選別ゲーですね。





気に入り度:7

気に入り度7点という高得点をつけた私の本作プレイ姿勢は、「適度に謎解きにも向き合いつつシナリオ重視」でした。本作を楽しまれる上で参考になれば。普段からテキスト系作品プレイする時はライターのことを意識しながら読んでいるというのも、あるいは加点につながった一因かも知れません。

さて。
プレイして良かったかという問いには、間違いなくYESと答えます。シナリオ系エロゲーマーって、作品プレイ中、プレイ後に感じるあの独特の"プレイ感"のようなものに酔いしれてる人種だと思うのです。"プレイする愉悦"と言ってもいい。で、あの"プレイ感"は中毒症状のようなものがあり、プレイ後には「もっとくれ!!」という渇望をプレイヤーにもたらします。本作は、その"プレイ感"をひしひしと感じさせてくれるものであり、稀少で貴重な時間を満喫できたと、プレイ後の今は思っております。
最近、エロゲ自体から遠ざかり気味な私ですが(というかこれエロゲじゃなくて同人ゲですが)、本作はそんな私をまたこの業界に引き留めた、実に愉快な作品でした。
プレイ途中はハラハラ感(作品の出来が心配的な意味で)や不快感(特定のキャラが普通に不快)や失望感(明らかに幾つかの点でひぐらしに及ばない)などをずいぶん味わってきましたが、それらを踏まえてもトータルでは「プレイして良かった」と思います。「この作品に出会えてよかった」とも。

なお、蛇足かも知れませんが各エピソードごとの個人的気に入り度を得点化すると
ep5:5点(竜騎士、あなた疲れてるのよ… 一部の熱いシーンは本当に熱いのですが、全体的に伝わってくる竜騎士の息切れ感が半端ない)
ep6:6点(一番ユーザーが痺れるはずのシナリオが、なぜこうなった…。しかしフォローも入り、なんとか持ち直した感。)
ep7:8点(序盤はどうなることかと思いましたが、途中からのクリックする指が止まらない感覚は久々。その辺りはさすがの一流同人ライター竜騎士。)
pe8:8点(何度か目頭が熱くなった。落胆も失笑も歓喜も興奮もあったが、エロゲライターとしての竜騎士の貫禄も垣間見ることができたのが嬉しかった)
ですね。



この作品については、リアルタイムプレイ日記とプレイ後日記の間の子みたいなのを書きました。



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