(執筆:2024/02/15, 2/16微修正)
D.O
(主に90年代に活躍したエロゲ屋。本作を含む山田一の三部作や妖獣戦記などのSPRGが有名。)
発売時期:2003年(オリジナル版は2000年)
ジャンル:ADV
用途:読み物
舞台:90年代の日本の街
顕著な性属性:無
プレイのきっかけ:有名だったので、「家族計画」の前に触れておこうと思って。(プレイ前の期待得点…5点)
プレイ進捗状況:全ルートクリア(CG3枚ほど未開放)
あらすじ:宇宙開発に携わっていた母親を持ち、自身も宇宙飛行士になることが夢だったが、事故で母親を亡くしてから全てを諦め逃げ出した主人公。久々に、当時住んでいた街に戻り、幼馴染達と再会しながら、学生生活を始める。
2000年のシナリオですので、さすがに今(2024年)プレイするには、色々と相当厳しいです。
舞台となる時代が一昔前(90年代後半)という感であり、主人公達が囲まれる文明の利器も現代とは随分異なりますし、
作中随所に盛り込まれるギャグも時代を感じさせるものですし、時事ネタには解説が必要でしょうし、時には言葉づかいにも時代を感じさせられます。
全体的には、シリアス:ラブコメ=3:7程度のオーソドックスなシナリオゲーですが、そんなわけなので今プレイした時の見どころは主にシリアスパート、つまりメインシナリオの部分かと思います。
ヒロインが6人もおり、シナリオの質もヒロインによってばらつきます。私としては4~6点の間だったなという感。
恐らく一番の見どころが、あるヒロイン(佳多奈)ルートなのでしょうし、これは確かに一見の価値有りという感でした。
その他のルートも、なんだかんだで全ルートクリアできてしまうくらいには、お話もしっかりまとまっているし重大破綻や質の低さなども全然感じませんでした。
ただ逆に、シナリオに強くのめり込むというほどのものもなかったというのが正直なところです。後述するゲームシステムが影響しているようにも思います。
2000年代初頭の頃までは割とあった、毎週1回ずつ移動場所を選択していく形式。全部で1年弱ほどあります。
どの場所に行けばどのヒロインがいるのかは一目瞭然なので、そこで苦労することは一切ありません。
ただ、結局のところ6人ヒロインがいるのだから、特定のヒロインばかりを選び続けるということを6回しないと全ルートクリアには至らないわけです。であるのだから、毎週いちいちヒロインを選ばせる必要性って全く無いんですよね。無駄なゲーム性です。(だから滅びた)
加えて、全ルートそうなのですが、行動選択が幾度も登場します。オーソドックスな2択で、恐らくそれで一定以上ヒロイン好感度を獲得すればそのヒロインエンドに到達するのでしょう。(バッドエンドに到達したことがないので確証は持てませんが。まぁその程度の難易度です。)
要は普通のADVゲーですね。
加えて、あるヒロインルートには隠しエンド(TRUEエンド)があり、それは非常にシビアです。選択肢を完璧に正解しない限りたどり着かないっぽい。何度もやり直しました。
普通の薄味Hシーンです。
主に明るい系の、まぁ普通のBGMです。延々と聴き続けた日常曲が耳にこびりついている。
今調べたらなんか著名な人が作曲したらしいですけどね。
音楽の評価ってどうしてもシナリオに引っ張られるよね。
ボーカル曲:有(覚えてねぇ…)
主人公:正樹(名前変更不可)。暗い過去を持ちつつも割と明るい性格。柔和な感じ。
ヒロイン達:子犬系幼馴染メインヒロイン、ツンデレスポーティヒロイン、クーデレお姉さん剣道ヒロイン、アスペルガー&脳障害系ヒロイン(←イチオシルート)、元気生意気明るい系年下ヒロイン、北欧片言日本語マイペース系ヒロイン。
個人的には、クーデレお姉さん剣道ヒロインが妙にリアリティあって好きです。おっぱい異様に大きいし。
本作イチオシルートである、アスペルガー&脳障害系ヒロインは、個人的に、素人意見だけどちょっとファンタジー強くないか?と思ってしまってちょっと評価に困るのですが、そんなこと言い出したらヒロイン全員そうだって言われたらぐうの音も出ない。
「夢箱」はフルボイス。(無印はパートボイスでしょうか)
古株のエロゲーマーなら、母親の名前よりよく見た名前がずらりと並んでいます。
なにせ一年弱(主に春~秋)もあるので、各ルート決して短くはありません。かといって、そう長くもありません。
システム:起動のたびに「すめらぎの巫女達」のあいつが出てきて、要らんなぁと思います。画面は小さいです。よく知らんけど640*480くらい?その他は特に不満無し。
演出:この「夢箱」は、なんとCGを師走の翁版(無印)か雨衣ユイ版(夢箱版)か選べるという凄い仕様。しかしまぁ、「豪華で嬉しい仕様」とは思えないのが正直なところ。
シナリオのクオリティはお勧めできないわけでもないのだけど、昔の作品すぎて、今プレイするには、山田一(田中ロミオ)ファン以外には、ちょっときついんじゃないかなという感。
ただ、山田一(田中ロミオ)の軌跡(成長)を辿り、そこから氏の作家性などについて思いを巡らせることもできるので、そういう楽しみ方が出来る人にはもっとお勧めです。
一番評価の高い佳多奈ルートだけプレイして、それをTRUEエンドと位置づけておくのも大いに有りだと思います。
まだ続ける気があるなら、お好みで何人か摘んでみてもいいでしょう。
個人的には恭子ルートを推します。
実は(多くのエロゲーマーがそうでしょうが)まともに最後までクリアすることなく終わってしまうエロゲって大量にあるんですよね。
シナリオ系でも。
それをよく自覚しているので、なんだかんだで最後までは終わったし、プレイ後レビューまで書いてしまえるだけの作品だった、ということだけでも評価できると思っています。
また、上の「お勧め度」でも述べましたが、山田一(田中ロミオ)の実質処女作であるらしい本作(wikipedia情報)を通して氏の作家性や成長について思いを巡らせることができたため、後から振り返って「プレイして良かった」という気持ちは、本作単体評価よりもずっと高いです。
(この作品については、プレイ後用レビューにても触れております。)
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