ランス・クエスト マグナム

(執筆:2015/12/09 2015/12/11微加筆)

製作

ALICE SOFT
(老舗エロゲメーカー。ゲーム性の高い作品作りとユーザー思いな姿勢と自社ビルで有名。)

属性

発売時期:無印2011年08月 マグナム2012年2月
ジャンル:RPG
用途:ゲーム
舞台:ファンタジー世界(割と設定作り込まれてる方)
顕著な性属性:ほのぼのレイプ
プレイのきっかけ:ランスシリーズの続編がやりたくて(プレイ前の期待得点…6点)
プレイ進捗状況:マグナムのエンディングまで(やりこみ度は駆け出し程度のはず)


注:当レビューでは、「ランス・クエスト」(以下「無印」)と「ランス・クエスト マグナム」(以下「マグナム」) 両方のレビューを行います。各項目の点数はマグナムの点数にて表記します。
無印はver.1.600、マグナムはver.2.000でプレイしてのレビューです。


テキスト:6

あらすじ:割愛(シリーズ前作「戦国ランス」からシナリオが続いており、戦国ランスのネタバレを含むため)

シナリオは確かに続いてはいますが、ランスシリーズはどの作品からプレイしてもそれほど支障なくプレイ出来るようになっています。 本作も同じくであり、本作からプレイを開始しても特に問題ないでしょう。
ただ、個人的には、本作から始めるならせめて前作、可能なら前々作「ランスⅥ」あたりからプレイした方がより楽しめると思います。 本作も、新規登場キャラも多数いますが、過去作品のキャラも多数登場するので、過去作をプレイ済の方がより楽しめる仕様になっています。 この点も、ランスシリーズ共通の特徴と言えますね。

前置きが長くなりましたがシナリオ。まず無印のシナリオですが、酷いの一言。実質未完成品です。クオリティというレベルではなく、 当然本作内で終わらせておくべきシナリオが途中で切れています。推理小説で言うと、探偵が謎解きを開始した頃に終わるような感じ。
これは本当に許せない。ゲームパートのクオリティアップ、追加シナリオ追加ということでアペンドディスクを発売するのは至って結構だと思いますが、
未完成シナリオを堂々と1作品として販売しておいて、アペンドディスク(マグナム)で完結させるなど、良識あるメーカーとして恥ずべき行為です。 正直アリスソフトを見損ないました。

で、シナリオですが、大きく、ランス・クエストのメインシナリオとなるものと、様々なサブシナリオ(それらだけで完結するようなもの)に 分かれます。
サブシナリオは、正直クオリティの低さが目立ちました。ライターの引き出しの少なさというか、「この世界設定でこのエピソードはないだろ」 というものもちらほら。
一方、メインシナリオの方は、さすがのクオリティ。いつものランス君の大暴れを始めとして、ぐいぐいとシナリオ展開に引きこまれました。
この点に関しては、特にマグナムが光っていたように思いますね。マグナムシナリオだけで、全メインシナリオの半分くらいは進んだ印象。
終盤のシナリオは、無印・マグナムそれぞれ良かったです。無印もマグナムも、文句なしのエピローグでした。
点数は、無印2点、マグナム6点。RPGで6点とか高すぎなんですけど、私、結局のところランスシリーズは、ゲームがプレイしたいというより ランスシリーズのシナリオを読みたくてプレイしているんだなって(無印への怒りを期に)気づいたからです。
それだけの求心力のあるシナリオだったと思います。個人的に、シナリオはシリーズ過去最高でした
(といっても5D, 鬼畜王、Ⅵ, 戦国しかプレイしてませんが)。


ゲーム性:4

ドラ◯ンク◯ストみたいなタイトルロゴになっていますが、本作の「クエスト」とは、どちらかというと「クエスト受注」とかいうクエストです。 クエストをクリアするたびに少しずつ新規クエストが増えていき、シナリオも全て各クエスト内で展開されるというものです。
クエストは、ADVパートとRPGパートに分かれており、RPGパートではミニダンジョンを探索するという形式です。
これがねぇ…。
ミニダンジョン、クエスト中は一切セーブ出来ないという理由からか、一部例外を除きどれも割と短いものでして、よって割と単調です。
謎解き要素にも乏しく、ただただ進んでは敵モンスターをタコ殴りにするだけ。どうにも、興奮にも緊張感にも乏しい出来だと思います。

本作は登場キャラ(戦闘可能ユニット)もかなり多いのですが、強いキャラばかりを使い続けられません。ランスⅥでは、戦闘に出せる回数がキャラごとに 定められていましたが、本作では各キャラの技ごとに使用回数が定められています。その回数はどれも少ないので、割とすぐに キャラは行動不能になります。そうなると別のキャラと入れ替える必要があるわけですが、この入れ替え回数も定められています。
なので本作は、クエストをクリアするまでにいかにキャラ達の技を消費していき、キャラを交換していくか、が非常に重要なポイントになります。 本作でのゲーム性のほとんどがそこにあると言ってもいいかも知れません。
これがね、正直あまり楽しくないです。
ランスⅥですと、ダンジョンを探索する上でマップを作製していく楽しみがありましたし、ダンジョンもなかなか魅力的でした。 本作は、ダンジョンも一応3D的なグラフィックではありますが、探索でプレイヤーがやることはファミコン時代のRPGと大して変わりなく、 しかも技の行動回数とキャラチェンジの行動回数という二重の縛りにより、結構めんどくさい印象が強まったように感じます。
キャラ育成も、確かに強い技も覚えていきますが、私は結局最後まで「通常攻撃1」(一番弱い攻撃)を使い続けることになりましたし、 なんか強くなった感に乏しいんですよね。いつまでも出し渋りをしないといけないというか。
これは、ドラクエで言うと「メラミを覚えようとメラゾーマを覚えようと、メラを使い続けないといけない」感覚に近いのではないでしょうか。 「時には”たたかう”、時にはメラゾーマ」とは違ったストレスだと思います。本作はパラメーター自体は結構よく出来ていて、 上手く育成すればメラでも結構使えたりするという面白さがありますが、でもスカッとはしないですからね。

戦闘システムについては、無印でも無料パッチが公式サイトにて配布されていまして、これをあてることでマグナムとほぼ変わりない プレイが出来ます。(パッチ無しとかどんな苦行だと思います)
ではパッチをあてると面白くなるのかというと、私は微妙だと思う。
本作最大のマイナスポイント。レベル上げに必要な時間(労力 手間)が長過ぎるんですよ。
本作には、「モルルン」という特殊な設定がありまして(ある程度シナリオ進めると出てくる)、簡単に申しますと、 各キャラを強化するには、そのキャラのレベルを一度下げないといけない。
これがね。
本当に。
なんなのっていう。
モルルンは、別にしなくてもいいのですが、モルルンをするにはモルルン可能レベルよりキャラレベルが高ければ高いほど非効率になるのです。
となると、とりあえずモルルン可能になったら即モルルンするじゃないですか。
こうして私は本作を超絶作業ゲーにした。
なんていうんですかねー。賽の河原で石積みしている気分というか。レベル上げが、全然快感じゃないですよ。 「どうせ今のレベルも、また下がるんだろ?」っていう。
で、当たり前ですがそんなモルルンなんかやってたら、次のクエストに必要なレベルにちっともキャラ達が追いつきませんよ。じゃあどうするか。 レベル上げをせざるを得ない。しかしレベル上げ以外の要素が全然ない。となると、マジでレベル上げだけのためにプレイを続けないといけない。
私、本作のゲームパートが割と支持されているのが不思議で仕方ないんですよね。マジで作業ゲーじゃない。
作業ゲー作業ゲーってよく言うけど、作業自体が割と楽しい作業ゲーって結構ありまして、それって真の意味では作業ゲーじゃないと思うのですよ。
本作は、本当に作業ゲーだと思います。途中からランス・クエストwiki見て効率のいいレベル上げ方法とか教えてもらったから まだなんとか乗り越えられましたが、それ込みでも辛かった。本当に辛かった。モルルンなんかしなければ良かったのかもしれないけれど、 あるいは、一軍キャラとその他キャラを峻別しておけば良かったのかもしれないけど、私最終的に45人くらいをフルでモルルンしてまして、 これ本当に辛かった。やめたいけど、モルルン無しとか機会損失が耐えられなくてモルルン。新しい魅力的なキャラが続々増えるけれど、 途中まで鍛えてしまったキャラを二軍に落とすと、これまでの労力が無駄になる。となると、どちらも育て続けなくてはいけない。
そしてまたレベル上げ作業が始まる。

長くなりましたが、ゲームパートは、無印で3.5点、マグナムで4点です。(無印がつらくて途中からマグナムにしたけどやはりつらかったという)
序盤はともかく、中盤・終盤のレベル上げ作業の不毛感がすごかった。本当に。
未プレイでこれを読んでいる方おられましたら、マジでwiki必携、マジで育てるキャラ峻別した方がいい。

実用性:3

音声も無いですし、そもそもランスシリーズにそういうの求めてないのでこの点数ですが、 まぁ使えなくもないんじゃないですかね。
でも実用シーンに入ると使えるか使えないか以前にBGMだけでほっこりしてしまうのはランスファン共通だと思う。

音楽:8

音楽!!!
本当に、ランスシリーズは、ゲームパートもさることながら、時々シリアスだけど基本破天荒なシナリオと、そしてBGMですよね!!
本作は、ゲームパートが個人的にかなりつらかった中、音楽に相当救われました。
戦闘シーンのBGMが、どれもかっこいいのですよ。特にボス戦の曲。しかもどの曲も、前半と後半で曲調がガラリと変わって、聴いていて楽しい。
当サイト日記でも何度も言ってきましたが、本当にshade氏の作る楽曲は最高です。エロゲ業界の宝です。たまらん。
無印の曲だけで十分素晴らしい。マグナムでは6曲のみ追加で、これらもまた良いですが、無印・マグナムいずれも8点。

ていうかこんなこと書くのは申し訳ない気もするのですが、正直、ゲーム中BGMとして聴くより曲単体で聴いてた方がより気持ちいい。 これ、こないだレビューしたパスチャ3でも感じたんですよね…。

ボーカル曲:無

キャラ:6

主人公:ランス(名前変更不可),エロゲ界を代表する主人公。やりたい放題、わがまま放題の鬼畜だけど、 憎めないやつ。性格もだいぶ丸くなってきたらしいですしね。く

新登場のヒロイン、旧作ヒロイン、多数取り揃えられております。
今またざっとキャラ見てたんですが、面白いもので、本作通して好感度上がったキャラは何人もいますが、 下がったキャラはいないんですよね。空気だったキャラは少なからずいるのですが、まぁ仕方ない。
萌えゲーではないので、ハート射抜かれまくりなキャラが続出というわけでもないのですが、にしても本作、キャラ面でも健闘してますね。 でもこれ、Hシーンは無理なんですよねぇ。その辺、エロゲメーカーたるアリスソフトさんとしても少し複雑な心境かも知れません。
未プレイの人には分からない話をしてしまい、すみません。要は、キャラゲーとしても割といい感じです。
私これくらいの萌え要素バランス好きだな。
無印5点、マグナムは無印の良さがきっちり踏襲されているので6点。

声:無

私は昔から声無しでも全然問題ない派。

時間:5

これは、評価にこまるところですね。ゲームがツボにはまれば、もうずっとプレイし続けることができます。少なくともマグナムなら。
私はマグナムのエンディングも見れたしマグナムのラスボス曲も無事聴けたのでもういいです。
無印4点、マグナム5点。

その他

システム:かなり良い感じですよ。特に、ウィンドウ非アクティブ時に音楽ミュートのON・OFFが 選べるのが非常にありがたい。
私は、ネトゲやる時はこれをONにしてネトゲのあいまにちょくちょくプレイし、作業用BGMにする時はこれをOFFにして…と使い分けてました。


演出:ここ!! はっきり言いますけど、マップや敵キャラの3D化、全然要らんかったでしょ。マップは、形ばかり3Dで実際はほぼ2Dのダンジョンを進むだけなので かえって貧相さが目立ったし、敵キャラの3D化は≒コミカル化なので、とあるシリアスな魔人が見るも無惨な姿に。
敵キャラが3Dポリゴンで動いたってこちとら大して感動もないし。女の子モンスターはまぁ確かにかわいいですけど、それだけ。 費用対効果的に、ダメじゃない?特に他の作りこみがこんなんだと、余計ダメじゃない?っていう印象でした。
一方、SEや一部BGMは、ファミコンのピコピコ感を上手く演出していて、面白いなと思いました。こういうのでいいんだよこういうので。

お勧め度:5

無印4点、マグナム5点。でもとりあえず無印だけ買ってみて様子見プレイするってのはありだと思いますよ。 パッチあてればゲームシステムはマグナムになりますから。(シナリオとかクエストとかキャラとかは増えないはずですけど)
で、レビューですが。パスチャ3のレビューでも書いたんですけど、わざわざお勧めはしないですねぇ…。 プレイしたい人はしたらいいんじゃない、程度で…。
あまり、「絶対後悔はさせない!!」とか「めっちゃ面白い!!」とか言う気にはならんです。
メインシナリオと、BGMは文句なし。シリーズものであることを考えると、シリーズファンはプレイしておいて損はないんじゃないかと と思います。
それ以外の人は、まずは別のランスシリーズさわって、面白かったら、でいいですよね。
とりあえず無印購入する人はパッチ必須。マグナムプレイする人も、意地張って公式パッチしかあてないと私みたいな目に遭うんじゃないですかね (公式最新パッチであるver.2.010あてたつもりだったけど実はパッチ無し状態であるver.2.000のままだったことにクリアしてから気づいた。 しかしあててもそこまでさくさく攻略出来なさそうだし、やはり他の多くのプレイヤーのようにマグナムを快適にプレイするには TADAローカルパッチが必要か?
あとwikiもかなり役立つと思いますので、ご参考に。


気に入り度:5

無印3点、マグナム5点。良い点も多いですが、作業ゲーの不毛さに押し切られた感。
ほんと、レベル上げ・・・・・・・・・。モルルンシステムだけは許さない。絶対に許さない。私のプレイスタイルが悪かっただけだなんて聞かない。 そういう作りにした方が悪い!!
モルルン&大量キャラというのコンボには、RPGの良きチープさまで阻害された気分です。 レベルがそれなりのテンポで上がって(下がらないのが重要!!)、トントン拍子で強くなっていく、 それでいいのに、なんでリセットされるのか!なんでこんなシステムでGOサイン出たのか、正直理解出来ないです。私には、 シナリオやクエストの作りこみの少なさを、プレイ時間の引き伸ばしで対応しようとした、としか思えませんでした。 キャラ育成はともかくとして、RPGパートは最初から最後まで一貫して大して 面白くなかったし。

シナリオは、マグナムまで終えたら満足でした。ごちそうさまでした。気持ちよくランス9に移れます。
そしてBGM。また、ずっと聴き続けられる音楽に出会えました。ありがとうございました。

(この作品については、プレイ後用レビュー(ネタバレ有)にても触れております。)





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