対魔忍ユキカゼ

(執筆:2011/10/01, 2011/10/06)



シナリオについて!!
エロについては一切触れないので、具体的なエロとか知りたい人らは帰った帰った!
すみませんねーそういうサイトじゃなくて。





さて、コンプしてから10日余り。
ようやく、本作で私が感じた欝感と納得いかない感を文字に起こせそうなので、今回はその辺について。


本作、まず最初に男主人公達郎君の能力について3択出るじゃないですか。
私は思いましたよ。「これら3つのうちどれか一つが正解(つまりTRUE END行き)で、残り二つがBAD直行に違いない・・・と。
本作は、序盤こそ達郎は空気ですが、ユキカゼらが任務に旅立ってからは、ちゃんとした成長モノの香りが十分にしていた。ただのNTRではない。達郎は、不甲斐なくもユキカゼらをただ送り出してしまってから、自身のその不甲斐なさに訣別するため、厳しい修行に身を投じたわけです。成長ものとしての下地は十分でしょう。
プレイ前レビューでも触れましたが、本作はブラックリリスの対魔忍シリーズです。対魔忍シリーズは、凄惨なバッドエンドもあるけど、TRUE ENDでは対魔忍達が見事逆転勝利を収める、そういうシナリオです。
つまり本作は、主人公の能力選びに失敗すれば凄惨なバッドエンドルート(もちろん主人公の成長の甲斐なくNTR)、しかし選択肢次第では男主人公の活躍によって見事逆転勝利!!
そういうプロットが、私の中でありありと想像ついていたのです。
実際、主人公がその特殊能力を生かしてサクラら教官と戦い成長していくところは「まさに成長もの!」という感じがしましたし、またシナリオ進めて行ってもNTRルートになるかTURE ENDで終わるか分からない辺り、「憎い演出だなーリリス」と思いながらプレイしていましたよ。

そしたらどうだい。
3つの選択肢、全部バッドエンドだっていうね。
「うお、バッドエンドじゃねぇか!」と思い慌てて他の選択肢を試すも、ことごとくバッドエンド。グッドエンド探してるのに、解放されるのは雌豚YちゃんRちゃんの調教日記ばかり。え、まさかグッドエンド無しで、この、元対魔忍の醜態が全世界にネット公開されるエンドがTRUE ENDなわけ・・・?私オワタ。
いや、これだけで十分欝でした。理由は後述。
しかし、色々やってるとどうやらグッドエンドが別にあるらしい。良かった!一度は欝った私ですが、グッドエンドがあるなら話は別だ!よーしリリス、今度こそ達郎の成長、見せてくれ!


そう思っていた時期が、私にも(ry


…いや…
達郎は別に成長してないし(盗み聞きしただけ)、しかも何これ?「邪悪で凶悪な魔の手から、犠牲を払いながらも辛くも脱出…」で終わり…?


つまり本作は、成長ものでも何でもなく、達郎君はただ幼なじみと姉とを寝取られるためだけに存在する男主人公だったんだよ!!!ΩΩΩ<な、なんだってー


…ちょっと使い方間違えた気がするが気にしない。
とにかく言いたいのが、このグッドエンドなのかノーマルエンドなのかよく分からない適当なエンド、これのパンチが弱すぎて、全然TRUE ENDに見えないのが本作シナリオ上最大の罪。
いいですか、そもそも対魔忍シリーズとは、"強い"対魔忍達が描写されてこそ対魔忍シリーズなのですよ。その辺りのことを、本作ライターはさっぱり理解できていない。
巷に溢れる… またブラックリリスが過去にリリースしてきた作品群をご覧下さい。強い(はずの)ヒロイン達が、男たちの毒牙にかかり、ただただ一方的に堕とされていく。つまり、「強い」というのはエロさを演出するためのただのエッセンスでしかなく、そんなエッセンスに労力払うのは無駄なものだから、ヒロイン達の「強い」描写など序盤だけで終わり。後はひたすら堕ちるだけ。
しかしユーザーもその辺の都合はよーく分かってるから、「ああ、"強い"って設定のヤラレ役なんだな」ってのが完全にバレてる。つまり一般陵辱ゲーにおいて、"強さ"は既に形骸化しており、プレイヤーの誰もヒロイン達の強さなど信じちゃいない。
もちろん、中にはグッドエンドが混ざっているものもありますよ。しかしそれも、おざなりな救済エンドでしかないってのは、ユーザーもメーカーも折り込み済みでしょう。
しかし対魔忍シリーズのグッドエンドとは、そういったグッドエンドよりも一つ上の次元にあるエンドなのです。対魔忍シリーズは、「シリーズ」なのです。1話完結の使い切りタイプのシナリオではない。TRUE ENDはENDではなく、TO BE CONTINUEDなのです。次回作へと続くエンド、それがTRUE ENDです。一見つまらないように思えるこの差異、これが重要。なぜなら、この一本の骨太のTRUE ENDが存在するからこそ、数多あるショッキングな対魔忍達の痴態醜態も全て枝葉、「アナザーエンド」で片付けられる。
そして骨太のTRUE ENDで描かれるのは、ヒロインたる対魔忍達の"強さ"です。対魔忍シリーズとは、「巨悪と戦い、一時は極めて劣勢な状態にまで対魔忍達が堕とされるが、その真の力によって見事な逆転劇を展開する」という本シナリオがまず存在し、また私達が真に期待している「そんな強く誇り高い対魔忍達だが、一つでも間違うとこのように…」という徹底的な陵辱シナリオが並列しているという、こういう構成なわけなのです。

ところで、皆さんも、同人漫画というのはご覧になったことがあると思います。数々の一般作品ヒロイン達が、同人作家達の妄想力によってとんでもない陵辱を強いられる。(もちろん同人とはそういうものだけではありませんが)この同人作品の魅力とは、「"あの"ヒロイン達が、まさかこんな目に…!」というギャップの興奮にあると私は考えます。テレビや漫画では、決して有り得ない痴態。「決して有り得ないはず」だからこそ、「もちろんエロ有り」なヒロインのエロからは出せない興奮があるのです。
対魔忍シリーズも立派なエロゲですから、「もちろんエロ有り」な部類に該当します。しかし、前述のように、一本の骨太の「相手が巨悪だから多少は陵辱もされるけど、でも対魔忍達もそれに負けないくらい強いから、最後はひっくり返すぜ!」というシナリオがある。これがあるからこそ、その他のエンドは「IF」のエンド、同人的興奮を伴うエンドへと逆に昇華されるのです。
…ちょっと大げさに書きましたが、他のブラックリリス作品群に比べて「そういう側面もある」ことは間違いない。一見さんはグッドシナリオとかマジどうでもいいでしょうが、ずっとシリーズ追ってきてる私としては、対魔忍達に対する愛着みたいなものも感じているのです。つまり、対魔忍シリーズたるもの、もちろん容赦無い陵辱も欲しいけど、それでもやはり一本の「正史」的シナリオが欲しい。そしてその「正史」シナリオだけは、正義のヒロインである対魔忍達の強さが際立つものであってほしい。それがあるからこそ、陵辱シーンも一際映えるのだから。

感情的なことを言えば、本作のシナリオはクズです。普通の陵辱ゲーなら別にこれでもいいのでしょうが、こと対魔忍シリーズでこのプロットは無い。プレイ前レビューでも書いたように、「対魔忍達と言えど、負ける時は負けるよ(だから次回作以降も、『でも最後は勝つんでしょ?』みたいな舐めた姿勢でシナリオ読んでると痛い目見るよ)」という裏メッセージを込めた作品である…という理解も、できなくはないです。(実際その通りになってしまったし) ですから、安易にクズとか言うべきではないのでしょうが、それでも、それでも!
もう一つの納得いかない要素!!どうしてNTRものにしたんだ!!!

納得いかんぜリリス。なんで最初から主人公の能力選択みたいな選択肢にしたんだ。
「もしかして選択肢次第では達郎が活躍すると思ったか??しねぇよ!!!」(まさに外道)
的な演出なのでしょうか。私はまんまと手玉に取られたのでしょうか。NTR要素を強くするため、プレイヤーが達郎に感情移入できるよう、敢えてこういう選択肢を設けて希望を見せたのでしょうか。Read meで攻略を敢えて載せていない辺り、そういう意図が読み取れなくもないです。
でもね、それって、結局はNTR要素を強めるための演出であって、対魔忍シリーズ新作としてはちょっとまずいんじゃないですかねぇ。
せめて、ユキカゼ凛子が独力であの大劣勢から見事状況を覆してくれれば、達郎の処置には目をつむれた。しかし、本作のエンド、これ完っ全にユキカゼ凛子(そしてアサギら対魔忍全体)がザコみたいじゃないですか!
たしかに魔の手からは逃れられましたよ。しかしそれだけ。リーアルのあごぶっ飛ばしたくらいでしょ。対魔忍の養成施設は悪堕ちした政府にきっちり牛耳られてるし、優秀な対魔忍であるはずのユキカゼ凛子ですらこの惨状なんだから、他の対魔忍達の実力もお察しでしょ。今回の悪役達がそれだけ強大で巨悪だと描写されていれば「宿命のライバル」的な感じで関係性も生きたでしょうが、どう見ても二人とも三下だし!(プレイ前レビューの最後部分?知らないよ!)
なんかなー。
気持ち悪いこと言いますが、私が好きな対魔忍シリーズの世界観が、本作ライターに汚された気分。

ねちっこいエロさや徹底した堕としっぷりに関しては文句なしですが、対魔忍シリーズライターとして、そこだけは納得いかない。本作が対魔忍シリーズで最大の評価を受けるのは恐らく間違いないでしょうから、だからこそシリーズの一ファンとして釘を刺しておきたい。
長乱文にお付き合いいただきありがとうございました。




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