うみねこのなく頃に




(執筆:2009/11/10)

まずEp.1から。

まずお詫びとお断りをしておきますが、プレイ前レビューで紹介いたしました、公式サイトの紹介文。
私、あっちであんだけ偉そうに上から目線で語りまくったんですけど、ぶっちゃけ私自身、公式なんぞ一切読まずにプレイしてました。よって、竜騎士07の狙いも一切知らず。知っていたのはパッケージに書かれた「推理は可能か不可能か」の文章のみ。あと孤島での連続殺人事件、という情報くらい。
それだけの情報しかなければ普通は確実にスルーなのですが、なにせあの竜騎士07が、私をひぐらしで完全魅了したあの竜騎士07が書いてるなら仕方ない。購入余裕です。

で、プレイしてみたものの。
テキスト、演出、舞台設定。なにもかもが、チープに感じました。

「竜騎士07作品の本質をちっとも分かってない同人サークルが二次創作で出しました-」
という説明がぴったり合うなぁと思いながらプレイしてました。
だって、孤島で連続殺人事件起こるから推理って。いやいや、竜騎士07ってのはそういうライターじゃないだろうと。そういうのは金田一少年とかバーローに適当にやらせておけばいいのであって、そういう凡百の推理作家とは全く別次元のシナリオ展開をするからこそ、竜ちゃんは光るのにっ!こんなの竜ちゃんじゃない!演出だけ凝ったって私は騙されんぞ!!
そう憤りながらプレイしていました。

…あと、演出もひどかったと思いますよ、Ep.1は。舞台装置に魅力を感じれば普通に没頭できるのかも知れませんが、(何度も引き合いに出してすみませんが)ひぐらしの神がかった重厚演出に比べると、時計といい血塗りの人物図といい、小手先テクに過ぎません。
音楽ばかりがパワーアップして、むなしく良曲を流しているような、そんな印象でした。

もうちょっと言うと、やっぱり舞台装置かなぁ。ひぐらしの舞台装置に魅了された身としては、今回の六軒島は魅力0すぎる。孤島だってこと以外何もないし。いやね、初っ端からフルスロットルでカリスマだだ漏れでいけとまでは思ってませんよ。けれど、もうちょっと…あの島なり舞台なり、魅せ方ってのがあるでしょうよ。それに登場人物達。初っ端から背景だの伏線だの語れないのはよーく分かりますが、それにしたっていくらなんでもキャラの魅力が無さすぎる。Ep.4まで終わった今の立場で言うと、魅力を出し惜しみしすぎる!!
なにせ文章読んでても、どんな島なのかも、島の中での位置関係がどうなっているかとかも、部屋の配置がどうなっているかとかも、全然頭に入ってきませんからね。あれで推理に気合入れろって言う方が無理だっての。ましてや魔女だなんて。
というわけでこの時は推理とかも一切しておらず、「はいはいそうなのねー」くらいに流してました。
配置情報とかだけじゃなく、情報少なすぎて人間でも余裕で犯行可能レベルっしょ、あんなもの。
あれくらいで魔女とか言い出すのは正気の沙汰ではない。


Ep.2。ここでようやくベアトがやりたい放題やり始めて、「こんなもん魔女に決まって… いや待てよ。」
私の知る竜騎士07は、こんなところでこんなに魔女の犯行っぷりを披露しといて解答が「はい魔女でしたー」は、逆に無いなと。そう思いました。しかし実際に目の前で魔女は暴れまくり。
となると得られる仮説はほぼ一つですね。「主人公たる戦人の目の前で起こっていること以外は、いくら描写が克明だろうが地の文で書かれようが、虚構」説。
これがまた大当たり。ベアトは大暴れするのですが、不自然なほど戦人の前ではその魔法を披露しない。ということで、私は仮説が棄却されることもなく悠々とEp.2を終了。そんなわけで、やはり少々退屈でございました。

Ep.3。
序盤に、親族会議中の親達が、六軒島に"いる"もしくは"いた"かも知れないベアトリーチェについて、ひそひそと話し合うじゃないですか。あの辺から、既にEp.3の魅力は溢れていましたね。
もう、過去2つとはテキストおよび演出の質が全然違う。竜騎士07の本気度が全然違う。八咫桜さんのテクもまた絶妙なものに復活してる。

ベアトリーチェは、"いる"かも知れない。または、"いない"かも知れない。そしてそれに加えて、"少なくともかつては、いた"かも知れない。 このなんとも言えない雰囲気、懐かしいというか、ようやく、私が好きな竜騎士07節が戻ってきたなぁと、本当に嬉しい気分になったものです。
そして推理面では案の定、私大勝利。やっぱそれしかないよなと思ってました。ただそれとは裏腹に、人が犯人だとすると当然発生する大量の密室殺人、理解不能な殺人。特に赤字の「島には18人しかおらず云々」は強力で、最後の方は戦人含め3人(でしたっけ)しかいない中であの結末。普通の推理物でならできてしまう無数の可能性を、赤字がばっさばっさと斬り捨ててていったのは実に面白かったですね。必定、こちらの思考は狭まらざるを得ない。しかしだからこそ、本格的な(異色)推理が可能となる。
私が考えていたトリックを書いてもいいのですが、多分あり得ないとは言え、まだ解決編も出ていないので控えておきます。(Ep.4辺りで別の仮説が一応正解の形をとったようなので多分間違っていたのだと思う) ともあれ、極端に狭められた可能性の中からなんとか可能性をひねり出すのは、実に面白かったですね。

それと同時に、物語の展開もここに来て面白く。Ep.1や2では単なる被・虐殺要員でしかなかったキャラクター達が、この辺りから非常に生き生きと動き始める。それぞれの立ち位置があり、背景があり、考えがある。それらが密接に絡み合って、六軒島のミステリー物語の土台を形成している。そういうのが感じられて良かったですね。
なにより。
譲二は紗音と
朱志香は嘉音とペア
よって残った戦人は、ベアトとペア

そう思っていた時期が 俺にもありました

ですよ畜生!!!



Ep.4は、まず縁寿が大のお気に入り。立ち位置(13年後からの飛び入り外野)といい境遇(不幸な生い立ち)といい、ツボりまくりでした。
そして、真里亜の魔法、その哀しさと強さに軽く感動。竜騎士07はなぜこんな「うーうー言うのをやめなさい!!」なキャラを出したのか本気で理解に苦しんでいたのですが、うーむ、これは、有りだな…。 これだけ美味しいキャラの割に、ちっとも萌え要素が無いのがまた凄い…。 真里亜は皆にうざがられる、というのも竜騎士07の想定の範囲内、というか間違って「真里亜かわいいよ真里亜」とか言い出すバカが出てこないように敢えて可愛くなくして憎まれキャラにしていたんだというのが分かって、竜騎士07への信頼感をまた一つ回復させたのでした。ちなみに六軒島の真里亜は既に憎しみにとらわれた魔女見習いですので憎まれキャラで正解ですね。

魔女の話が出ましたが、私は未だに竜騎士07がこの「魔女」というのをどう扱い、どう落とし込むのか想像もつきません。これまで悪キャラだったはずの魔女および魔法が、Ep.4ではむしろ善キャラとして描かれる。縁寿も魔法使うし。「魔法使う」と書きましたが、これも、ベアト達が使っている魔法と、真里亜が使った魔法というのは、全く性質の違うものですね。極端な言い方をすれば前者がファンタジーで後者は妄想(あるいは世界の認知の仕方)。決して妄想では終わらせないでしょうがかといってファンタジーにもなりきらない感がある魔法、今後どう描かれていくのか楽しみです。
で、真里亜の話に戻るのですが、もうちょっと言うとさくたろうの話に戻るのですが、いやいやさくたろうは駄目だろうさくたろうは。 私、ぬいぐるみに名前つけてた自分の昔とか思い出してものごっついノスタルジックな…というかいつしかぬいぐるみで遊ばなくなった自分を思い出してものごっつい苦い思いにとらわれてしまったのですが、皆さんいかがでしたか。
あのぬいぐるみの愛らしさと切なさ。私ああいうの駄目。ああいうとこ突かれると弱い。
あぁそれでも、読み手に郷愁と切なさと自己反省を同時に感じさせる竜騎士07はやはり凄いと感じ入りながらプレイしていたらさくたろうがショタキャラに変身しちまって、あの時の「なんてこったい」という絶望感といったらなかったですね。

まぁその後のショタさくたろうもなかなかいいポジションだったので許すのですが。(「むすめーかー」にむすこを混ぜたDegital Cuteは絶対に許さない)


で、Ep.4の後半。
私、実はよく覚えてないのですが。
とりあえず感じたのは、「えげつなすぎる」ということ。
そして、えげつなさと同時に、竜騎士07の描きたい主張のようなものが、ぼんやりと見えてきたように、感じました。あるいはこれも竜騎士07のトラップかも知れないのですが。

あぁそうそう、あの、譲治と朱子香の、対悪魔戦テキスト。あれ、またひどかったですねぇ~………!だから竜ちゃんはああいうのだけは書いちゃ駄目だって散々言われてたのに、またやってるよこの人は… と呆れかえりながら読み進めていたのですが、最後はきっちり二人ともあっけなく惨殺されてすっきりー。いやあの二人(特に朱子香)はわりと好きですけどね。
悪魔と戦ってあっさり勝ってしまうようじゃ、悪魔情けなさすぎるでしょう。逆にあっさり負けてくれて、良かった良かったと思いました。オチがあれならあの無駄に熱いテキストもありだな。


そしてクライマックス。縁寿が戦人に正体明かしてからは、いやぁ… 燃えましたね。哀しすぎる。あとクリア後のあれは… さすがに予想してなかった…。私、ベルンは普通に味方キャラだと思ってた…。(今も半分くらいそんな気分)


Ep.4は最高でした。ちょっと、時系列がちっとも分からなくなったのだけ、私の理解力のせいか作りのせいか知りませんが残念だったかな、くらいですかね。でもあのごちゃ混ぜな時系列も、有りだと思います。というか、そんなものは気にならないくらい面白かったです。


最後に一言。縁寿は絶対復活すると思うので、その時を楽しみにしてます。




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