車輪の国、向日葵の少女(プレイ後用レビュー)

車輪の国、向日葵の少女

(2006/09/17-2006/11/25執筆, 2006/12/19大幅手直し)




2巡しました。

1巡目のプレイ中にリアルタイム攻略日記を書いておりましたので、よろしければどうぞ…。

2巡目で作中の名言を拾い集め、それについて色々と鈍い頭使って考察した上で出来たのがこのページです。
ちなみに、せっかく拾い集めた名言集も残念ながら一般公開はできないのですが…。


ということで、プレイ後レビュー。
まずこのページのおしながきです。興味あるところをどうぞ。
1.物語主題は、やっぱり「ヒューマンドラマ」。
2.物語の背後で描かれているもの
3.作品への賞賛と、この業界全体について私感
4.駄文(グダグダ感想文)


以上です。
以下、それぞれについて、少しずつコメントしております。


















1.物語主題

「ヒューマンドラマ」に「主題」も何もあったもんじゃない気もしますが…
なにやら、「社会批判」と捉えている人もおられるようなので。
4章で社会への不満がはっきりと形成され、5章で「演説」という形で発散される展開になっているので、そう思ってしまうのも無理はないと思います。
ただ、各章でヒロイン達の見せた強さ(物語の主題)を考えるに、あの演説で描かれたものは、「社会の一員たる大衆のそれぞれが、人間へと回帰する過程」ではないでしょうか。
最も社会批判っぽく話が進んだ璃々子エンドも、最後に璃々子と賢一が選んだ道、そしてその理由を見れば、そこに描かれたのが「社会批判」ではなく「社会変革」だというのが見て取れます。けど、それも物語を通して見つけた賢一の生き方の一つでしかなく、主題ではありません。

主題について一番分かりやすく書いてるのが、意外にもゲーム冒頭、初っ端も初っ端です。まだ、物語が始まる前のところなんですね。
ゲーム冒頭、物語が始まる前に、主人公の自己紹介・世界設定・そして主題がさりげなく書かれ、そして物語が始まるという構造になっています。
物語は、義務を負った少女達と罪を背負った賢一の行動を描いたドラマですね。やはり主題は「ヒューマンドラマ」としか言いようがない。

では、単なるヒューマンドラマかというと、そうでもない。「感動した!萌えた!以上。」みたいな感想を、むしろライターさんは望んでいるように思えます。だから小難しい話はわざと物語の各所へと散らし、焦点がぶれないようにした。そんな気がします。それをわざわざ拾い集める、という作業をしてそれについて書いてるのが以下なのですが…
やはり「感動した!」だけで終わり、それだけをもって評価するには惜しい作品だと思うのです。ということで、↓









物語の背後で描かれているもの

ヘルマン・ヘッセの「車輪の下」における「車輪」は、法月が語る車輪と一致すると思われます。両者で焦点があてられている部分は違うようですが。車輪とは、社会のことですね。(「法」という解釈もあるようですが、作中で法月が車輪を語った際の発言を見る限り、こちらの方がしっくりきます)

特別高等人とは、社会の権化であれと法月は森田に指導します。社会を管理するとはすなわち、社会を導くこと。社会を導くとは、社会全体にとって利になるように、個人を、大衆を動かすことです。そのためには、厳然たる
社会>(超えられない壁)>個人
の構図を遵守しろということですね。個人は社会の一部でしかないのですから。個人の集合が社会なのですから。
「車輪」という言葉は、考察すればするほど面白い言葉、言い得て妙な言葉ですが、それが意味するものの一つに、「人は人である以上、"社会の一員"という属性からは免れない」というものがあると思います。社会から完全に独立した個を想像して下さい。それは、もはや"人"として生きられるのでしょうか。(この辺については「Cross†Channel」でも触れてますね)
社会と人間。法月の数々の発言・戦略的行動がこの作品の隠れた問題提起であり、物語は、それに対する解答探しになっているようです。

そういう面から物語を見ると、「感動」「伏線」「燃える展開」だけでない、物語の深みがぐっと感じられる、そんな気がします。
その辺のことを考えると、この作品ほど「ヒューマンドラマ」という単語がふさわしい作品はないんじゃないかという気すらしてきます。











作品への賞賛と、この業界全体について私感

自分で名言集まで作って、それを何回も読み返し、ようやく作品を理解してきたような気がします。
そこで初めて気づかされたのが、作品の主題である感動性、売りである意外性や伏線や世界設定、魅力であるキャラクター性。これら全てが「背後の主題」によって糸を引くかのように連繋し、一つの作品として見事に仕上がっているということです。
もちろん多少の粗もあれば問題もありましょう。しかし、この業界でこれだけ深みのある・鋭い視点を持つ作品を出してくれたことに喝采を送りたい。
これでこそ18禁ゲー。18歳未満にこの作品の考察を要求するのは酷でしょう。けれど、逆に、全員がとは言わない、けれどできる18禁プレイヤーはちゃんと考察していただきたい。この業界に対しての意識や求めるものは千差万別ですが、私はこの業界を「世間の評価・イメージを遥かに越える質を持つ業界」だと思ってます。まぁ地雷原でもありますが。鬼畜陵辱調教輪姦なんでもござれな業界でもありますが。(だがそれがいい)
こういう作品、ちゃんと評価できる人がしないと、これから先、この業界に出る良作ってどんどん減ると思うのです。やっぱり、ユーザーのニーズに合わない作品は出しても売れませんからね。売れないってことは食えないわけで。
実用ゲーはほっといても確実に売れるのですが、心配なのはテキスト系と本格派ゲーム系ですね。前者は安易な道にばかり流れないか、後者はコストパフォーマンス考えて数が減らないか。
特にこの2つについては、前者は厳しい目で、後者は良いところを褒めて、応援していきたいなと思います。
せっかく「18歳以上」と制限を設けているのだから、それをフルに活用していただきたいものです。
























以下、駄文

ということで!
堅い話はこれでほぼ終わりにして!

ぶっちゃけた、「表層」メインの私の感想。

まず、泣けませんでした。
あまりうまくないと思うな、感動場面の描写…。いや、ヘタではないのですが、なんというか、「もし泣かせたいのなら、もっと改善できるはず」。そんな印象です。ただ、「感動だけで良い・この感動展開も物語の背後にある主題を描くための手段であるなら、これで十分」。
もし泣いてたら、この作品をこうもしつこく考察しなかったかもしれない…。

続いて、音楽。
これも、私には、もう一つでした…。好きな曲も勿論複数あるのですが、なんといいますか…
の清涼感溢れるパッケージ絵やタイトルに比べ、テキスト・音楽が、妙に汗臭いんです。汗臭いというか、ムッとしているというか…。言うなれば、ビニルハウスの中?そういう感じがします。
タイトル画面の音楽とか、まさに。ビニルハウス内での農作業中にピッタリだと思いません?私だけ?
もちろん爽やかな曲もあり、大好きな曲もあり。Reason to be(特にⅡ)なんか思わず燃えますよね。あとwatch out!も燃える。あれはまぁ、音楽かかるところが絶妙ですよね~…。
で、特筆すべきがmallow。EXTRA画面でかかる爽やかなアコギ(?)メインの音楽。これ、本編中で使わなかったのは、吉か凶か。好きです。
何が特筆すべきかって、実はこの曲じゃなくて、この曲がかかっている画面なんですけどね。気づかれました?しつこく灯花の車輪にマウスを繰り返し近づけていると…。
で、最後に触れたいのがボーカル曲。
「そらの隙間(○○ヴァージョン)」や「溶解」もかなり破壊力高いのですが、それぞれボーカル曲のアレンジなんですよね。
OPについては言うこと無し。向日葵がCGっぽすぎるんじゃねーかくらい。カッコいいOPだと思いますし、曲も歌詞も作品にぴったりで最高です。で、触れたいのが挿入曲。「そらの隙間」かな。これ、単体で聴いてると堪らないです。最高。あのシーンは、イマイチ好きでないので曲の評価も低めだったのですが、曲単体なら絶品だと思います。
あのシーン…。あそこも、感動狙いなら、本当にもっと頑張れたと思うんですけどね…。勿体無いと思います。


そろそろ触れましょうか、キャラ。
例によって萌えなかった順に。

磯野
コイツは…
私には不気味すぎました。何が不気味って、ただの変人キャラではないところが。
2章くらいから、妙に頭のキレの良いところが散見され、主人公の正体についても明らかに疑ってる。こんな怖いキャラのギャグを、無条件に笑えませんでした。
いや、それでも笑ってたのですけどね…。
ギャグは面白かったけど、キャラとしては怖い。そういう印象です。ある意味法月先生より怖かった。
一番笑ったのは三国志ネタ。


京子さん
スーツ姿がいいです。けど、3章の姿は見てられませんでした。
一番笑ったのは「ぶっ殺すわよ!」


夏咲
幼い頃の姿に、危うく魂持っていかれそうになりました。炉利属性は控えめなはずなんですけどね…。
発言も、幼い頃の方がしっかりしてるんですよね…。
大きくなってからは、本当にボーっとしてるだけですものね。
最後の、真・夏咲は、萌え的な魅力はいまいちないものの、人間的に綺麗な人ってのはああいうもんじゃないかなぁと思います。
笑い発言はかなり控えめで、賢一の発言全然聞いてないっぷりと、チクワの穴告白辺りは軽くウケました。


璃々子
登場シーンは、カッコ良すぎですね。思わず叫びそうになりますね。(ひょっとしたら叫んでいたかも知れない…)
あと、弟想いなしっかりとしたお姉ちゃんキャラと、お姉さまキャラとのギャップが酷すぎる…。(悪い意味じゃなく)
後者キャラには、何度も爆笑させられました。作中最高の笑いも、こちらのキャラで出てましたしね。
お気に入り発言は多いですが、やはり「超気持ちいい」のやりとりが最強。
ただ、爆笑と痺れはあったものの、キャラとしてはちょっと女王様過ぎてあと一歩↓に及ばず。


法月先生
渋すぎる…。途中、少し鼻につくほどおおげさな言い回しもありましたが、全体的に好評。無駄なことは話さないためか、発言の一つ一つに重みがあり、「車輪の国」を象徴する人物として大活躍。また、ただの象徴に止まらず法月ワールドを展開してくれたりと、知的ヒールとしては最高峰の人物ではないでしょうか。
たまに、わざとか素か分からないギャグを飛ばしてくれるのもいいですね。「実に、かっこうがいい。」「ルィ・ラークスしていいぞ」などなど。
お気に入り発言は2つ。「それはまるで車輪のように・・・」で締めくくられる名台詞と、
「地球は、まァるいのだ。」


まな
姉を想うひたむきさに、思わず涙腺緩んだのは、私だけではないはず。
冷静に考えればこんな幼児いてたまるか、なのですが。(あぁ18歳以上ですね、はいはい)
幼いっぽい発言の数々に脳みそ揺すられ、「まなのお姉ちゃんは…」でズキューン。
さちエンドは全エンド中最高の感動でしたね。これも危うく涙腺が…。
(ちなみに、最も考えさせられたのが璃々子エンド、最もエロさのギャップにクラクラしたのが灯花エンド、単発で爆笑させられたのがハーレムエンド。)
お気に入りの台詞として、
「ほっほー!」「おーおーおー!」等が地味に効いてます。声優さんすごい。


さち
どうもこういう元気系に弱いのです…。
発言は微妙にスベってたりもしましたが、正直、可愛さに…。
有葉さんの恐ろしさを初めて知らされたキャラでした。
けど、話が進むとにくったらしい奴になるんですよね~。で、そう思ってたら「私がこんなイヤな奴だなんて思ってなかったでしょ」ですって。恐るべし、るーすぼーい氏。
たまに非常に鋭いことを言ってきたりもする、意外とマルチプレイヤーなキャラでした。
お気に入り発言はちょっと字数多くなるので省略。
ただ、何故かツボった発言がこれ、
「ないよーっ。」

健一「汗水垂らして働いたことあるのかよ…」
さち「ないよーっ。」
あのあっけらかんとした立ち絵と台詞の中に染み入る、デフォルト駄目人間っぷり。
私達院生の日常生活での使用頻度高。
「最近ゼミ出てる?」
「出てないよーっ。」


灯花
萌えじゃないんです。だってずっと、ちびまる子ちゃんとイメージかぶってて取れませんでしたから。
けど、まぁ、その。
萌えに限りなく近い、何か…。
とりあえず、デレった時の色気は、半端ないですね。ちびまる子ちゃんだなんてとんでもない!
エンド回収の時まで、私はまさか灯花に劣情を覚える日が来るとは夢にも思いませんでした。
なんていうか…
全キャラ中、特に声が一番良かった。最もナチュラルに萌えてしまった。(あ、認めてしまった)

とりあえず、「ぶっ殺すぞ」は不滅です。










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