マブラヴ オルタネイティヴ(プレイ後用レビュー)

マブラヴ オルタネイティヴ

(2009/08/11執筆)




大人気作品に、まずケチつけるのは少々気が引けるのですが。

まず、プレイ前レビューでも語りました、メッセージ性とコンセプトについて述べさせていただきます。


この作品にメッセージ性を見出すなら、「何のために生きるのか」。これかなと思います。漫然と、無為に毎日を過ごしているような生活は、果たして本当に生きているといえるのか。…それを、「真の意味では生きてない」などと言い切るほどこの作品のメッセージ性は強いものではありません。しかし、同じ生きるにしろ、大切なもののために自分の命を燃やす、そういう生き様を私達に見せる。それが本作のメッセージ性と言えるでしょう。その上での個人の死。それは本当につらいものだけど、それでも、作中の彼ら、彼女らは、自らの使命に殉じるその最期の瞬間まで、自らの命を燃やし続けた。
とても感動的だと思います。

しかし。
先ほども述べましたように、それと対極にある、無為な日々を批判し得るほど、本作のメッセージ性とは強くも堅くもありません。そこが、私が「Unlimited」をプレイ始めてから「オルタ」をクリアし終えるまでずっと、私の胸のしこりになった部分です。


端的に申しまして、設定が現実離れしすぎていて、私達の現実に何ら還元できないのですね。つまり、メッセージ性は、たとえあったとしてもその断絶によって私達受け手に届くまでに希薄なものに変わってしまう。
現実離れしているというのは、「宇宙人が攻めてくるとかガキくせー」とかそういうのじゃなくて、結局、戦争の相手が、生身の人間ではなく、いくら殺そうが破壊しようがこっちは罪悪感も倫理観も何も感じなくていい「仮想の化け物」な点です。つまり、マブラヴ・オルタで描かれた戦争ストーリーは、一見パラレルワールドということで、戦争ドラマ仕立ての、現実を模したような設定に見え、その実はファミコンのドラゴンクエストとそう大差ない設定に過ぎない。私、初めてプレイしたファミコンソフトがドラクエⅢということもあってドラクエⅢの大ファンなのですが、ドラクエⅢって、勇者として生まれた主人公が、魔王バラモスを倒して平和な世界を取り戻すという一代使命のため、並み居るモンスターをばっさばっさとなぎ倒していく、それだけのシナリオなんですね。オルタと同じです。
結局、この作品から「自分が信じるもののために命をかける。それは尊い」みたいな極端なメッセージを放っちまったら、「じゃあイスラム原理主義テロリストも尊いっすよねー」みたいなチープな突っ込みしかされないし、それにロクに反論もできたもんじゃない。反論のための設定武装なんかしてたらどんどん別の作品に変わってしまう。

本作は、感動大作ではあるけれど、本作をプレイして感銘を受けただとか明日からがんばろうと思っただとかそういうプラスな効果はないし、そういう意味では考察のしがいもないコンセプトだし、結局、ただのエンターテイメントに過ぎない。そこが、私が本作にお気に入り度8点しかつけなかった理由です。そんなものに注目していた私が自爆しただけと言えばその通りなのですが、やはりちょっと物足りない。ただのエンターテイメントでは、私は物足りない。

では、ただのエンターテイメントで何が悪いかというと、それは別に何も悪くない。十分です。十分に楽しめました。ドラクエⅢを例に出したのもそういうことで、あのゲームにメッセージ性とか全然ないけど、それでも私が大好きなことに変わりはない。ゲームとして、あのシンプルな設定はそれゆえに魅力的だし、名作だと思います。
ただ、18禁ゲームだからこその何か、そういうものも見れたら、もっと良かったなという贅沢です。



さて。

これまでグチグチ述べてきましたが、なんだかんだで私を虜をした本作。
私にとって一番お気に入りの部分を、ここで書きなぐっておきます。

ずばり、神宮寺教官がベータに喰われてから、ですね。
あそこまでは結構惰性でプレイしていたのですが、あそこから完全にノンストップでした。
あそこ以降、絶対鬼畜人タムーが手がけたでしょう。そうに違いない。あんな重厚なドSシナリオが書けるのは、エロゲ業界広しと言えど鬼畜人タムーしかいない。私はそう確信しています。
グロシーン云々はいいんです。それを見て完全に心が折れてしまった武が、元の世界に逃げ帰り。まりもちゃんに優しく話を聞いてもらい。翌日の朝のニュースでまりもちゃん死亡。 タムー氏前作の、1章終わりのシーン以来の絶叫ものでしたね。で、で、あの、平和だったはずの「日常」世界がどんどん閉塞していく、あの絶望的な雰囲気!純夏の必死の献身と、そして、記憶喪失と必死に闘ったけれど結局は敗北し記憶を失ってしまった純夏に対し、なおも容赦なく襲う不幸な事故。絶望を覚悟に変え、あちらの世界に帰還した武。で、ちょっとこの辺りうろ覚えなのですが、そちらの世界でも純夏はいる、という事実。私も武より一足先にあの脳みそが純夏だと気づいたクチなのですが、あの気づきもまた衝撃的だったなぁ…。「あああ、あれかぁぁぁぁ~~!」という感じ。そしてそして、かろうじて純夏の意識が借り物の体に戻った時の、純夏の異様な憎悪。
「殺してやる…」「武ちゃんを、めちゃくちゃにしないでぇー!!」
あの2つのキーワードからプレイヤーに想像される、こちらの純夏・武の身に起こった出来事。

…もうほんっとに、プレイヤーの心が休まる隙を全く与えず、矢継ぎ早にえげつない現実をつきつけてくるオルタ!この辺りの展開が、私の中でベストシナリオですね。鬼畜すぎて清々しい。

<私も、「霞(か・すみ)」という名前から、あれ絶対純夏的存在だと思っていたクチですので、まんまとしてやられました。

他にも、色々と好きなプロットはあったはずなんですけどね…。マブラヴをプレイしている時は今ひとつ「?」だったのが、オルタをやっていく上で「おぉぉ!」 に変わったりしたのが、何回かあった気が。しかも猫の実験とかそういうミクロなネタじゃなくて、もっと大きめの何かで。忘れてしまいました。オルタ前編の仕込みが、後編に生きてきたり。そういう、「これ、じっくり仕込まれてたんだなぁ」と感じることが何回かありました。ちゃんと覚えてなくて申し訳ないですが。


あと、お気に入りのシーンは、佐渡戦、基地戦の2回ですかね。特に佐渡戦はかなり熱くて大好きです。武の大活躍もですが、なんといっても、人類、初の勝利ですものね。海軍がいい。(ただ、どうしても、なまじ戦争ドラマっぽだけに、その実ただのエンターテイメントだっていう現実との板ばさみで結構心に負荷がかかってしまいました。)

基地戦、私としては、戦術機とか人が乗る機械だけでなくて、もうちょっと要塞的抵抗をしてくれたら、「信長の野望」とかでも防衛線大好きな私、鼻血ものだったのですけどねぇ…。そこがちょっと残念ですね。とは言え、こちらの少々浮かれた戦勝気分というか、「あれ、これいけるんじゃね?」を完全に覆すという、シナリオ構成上重要なポジションにある戦いでしたね。中身も、実に熱くてグッド。
あの、対ベータでの防衛線は、一度破られると戦闘員はベータに喰われるのみ、という、完全にスプラッタホラーな設定も、本作の緊迫感を著しく高めていたと思います。はい。…基地戦、地味にえぐかった…。断末魔の絶叫が…。


とまぁ、特に興奮したお気に入りシーンは、以上ですかね。
いやいや、ageは、一流のエンターテイナーですよ本当に…。
今後とも、期待です。

個人的には、特にタムー氏に。



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