リトルバスターズ!(プレイ後用レビュー)

リトルバスターズ!

(2008/03/10-2008/04/21執筆, 2008/06/23微追記, 2009/02/08微追記)




結構KEY作品全体に言及しているので、KEY作品は大体やってきたぜという方以外のご閲覧をお勧めしません。
そういう言及を控えれば良かったのでしょうが、今回はちょっと、KEYの舞台裏が見えすぎ。これに触れず感想は書けない。




小鞠:4点

…いつものKEYだなぁ…。
と、本作にしてようやく私を思わせたシナリオ。
前半で萌えさせ後半で不幸伏線爆発。もういいよ…。
…などと思いながら、それでも見所がないかと黙々と読み進めてました。
まぁあれです。特に無し。残念ながら。
何なのかな、パワー不足ですな。やりたいことは透けて見えるけどそれに乗れない。何だかあれです、何か書きたいテーマに沿って書いたのではなく、まず不幸伏線を考え、それに合うテーマを付着させたのではないかと感じました。
私が言いたいのは一言です。

声優さんに救われたな。

いや、この声優さん良いよ。じわじわ来るよ。何だかハマるよ。東鳩2の委員長と似てますな。恋人というよりお友達ポジションに置いておいて愛でたい感じ。なんと言うか、最初に攻略したのはこの小毬でしたが、別ルートやってても小鞠が喋ると和みまくり。ほっぺた緩みまくり。
何が凄いって、まずテキストを見てそれを声優さんがどういう風に話すのか事前に想像してみるのですが、ほぼ間違いなく外れます。予想がつきそう、いくつかのパターンには分けれそうですが、その傾向がちっとも分からない。同じ台詞も場面場面で発音が違うんですね。それがいちいち脳髄くすぐる、すごい声優さんです。まさにハマり役。こんなこと言うと引かれそうですが、私にとってこの脳みそ揺さぶり具合は東鳩2のこのみ(ゆりしー)以来ですな。

あ、すみません、声優の話してたら、上でけちょんけちょんに言っておきながら、見所一つだけあったのを思い出しました。
これも声優さんのボイスのお陰なのですが。
ネガティブな出来事に対して語頭に「よし、」を付けるって発想はなかなか面白くて好きでした。
これ、使えるか使えないかは知りませんが、「今日はやること山積みで気重いな~」みたいな時に
「よし、気が重い!」
って言ってみたらなかなか爽快だった。
関係ないけど「よし みんなきけ」を彷彿とさせますね。



葉留佳:3点

期待せずやってみたら不安以上の超設定…というかついていけない…
何々、私が頭悪いだけなの??

いやちょっと待てと。小6くらいまでどっちが悪人の子か分かってないとか言いつつ、葉留佳は小6くらいまで学校に行ってないとか。
んじゃもう片方の佳奈多はどうなんだと。まさか2人とも小6まで学校行かせなかったのかと。その設定はいくらなんでもありえない。
葉留佳が悪人の子認定受けたのはいいんだけど、なんでそれから後も葉留佳の方が三枝の性名乗ってるの?逆でしょう。二木に落とすべきでしょう。意味分からない。
んで、葉留佳が一緒に暮らしている家庭の両親って結局何?何であっちが佳奈多と一緒に暮らしてないの?佳奈多は誰と暮らしてるの?逆でしょう。
などなど、プレイしていてさっぱり状況が分からない。設定というか、三枝家の方針が理解できない。もう駄目だわこれ。
私、「やは、理樹君。」に萌えるだけにしとくわこのシナリオ。

でもね、ここで言います。
私服について。
小毬の私服姿見た時。
私「こ…このゴスロリ衣装はいくらなんでも有り得んだろ~……」

理樹と小毬が小毬の衣装について特別な感想を持っていないことに驚愕しつつお話を読み進めてました。

葉留…の私服姿見た時。
私「胸、でけぇーーー…!!」

いやでかすぎでしょうこれは。感動した。いやはっきり言いましょう、不覚にも欲情もした。男っておっぱいに反応するよう遺伝子レベルで刻まれているんで仕方ないこれは。
いや、エロいでしょうあの私服は露出高・ラインくっきり・巨乳て。私の見立てではあれはG以上あるね。重力じゃなくて。
というわけで、葉留佳シナリオは私服眼福シナリオ。それ以上でも以下でもない。



美魚:5点

3人目でようやく奇跡ネタ?
すみません今ひとつ消化不良。奇跡ですよね?影が見えないのを理樹も目の当たりにしているし、最後に入水した理樹を助けたのも美鳥ですし。
シナリオは…
う~ん、例によって、描きたいものは分かりますが、あと一歩(いや二歩以上)足りない感じ。上の2ルートほど唐突でない分好印象ですしお話にも入り込みやすかったんですけどね。
奇跡ってのは起きると興醒めするのが非鍵ファンですが、鍵ファンとしては、奇跡くらい「鍵ではよくあること」なので、無理な設定よりも若干ファンタジー入ってた方がよほどお話としても自然に楽しめるのです。一番困るのが、頑なにファンタジー要素0のくせに設定が破綻している、もしくは現実味が全然無いやつ。他作品の例は挙げませんが、私が低得点つけてる作品はだいたいそうですね。本作なら特に葉留華ルートの一族でしょうか。小毬の設定もキツかった。設定自体はいいのかも知れないけど、舞台装置が稼動するままキャラが流されているようで、ちっともキャラが「生きている」感じがしない。リアリティの無い非ファンタジーってのは、リアリティ無視のファンタジーよりも下なのです。
…美魚の話を続けましょう。
「誰かがいるから、他でもない私であれる」。人(というか"自分")の存在の儚さとについてまず示した上で、人にとっての他者と交流することの尊さを描いたお話… という感じでよろしいでしょうか。
「白鳥や…」の歌で、美魚は、他人との交流を全て断ち切り、誰とも混じることのない「自分」というものに憧れ続けました。しかし最後は、寂しくない白鳥(美魚)を見て寂しいと思う観測者(理樹)によって、他人と交わることで自分という存在を確立させることになります。
という感じのお話ですよね?記憶の曖昧さとか、まぁ頑張って描いていたというのは分かります。あと一歩不足している感はありますが。

このお話もそうですが、全体的に、物語に引き込む力ってのが大きく欠けてる気がしますねぇ。前半で萌えさせてプレイヤーの心を持っていき、中盤で悲劇的展開に落とし、最後に大団円で締めるKEYの伝統的手法が、今一つ効果を果たしていないのは、キャラの魅力ということではなくむしろライターのテキスト執筆の技量に大きく関係する気がします。私自身は、これまで良かったと思うKEYのシナリオにおいて、漏れなくそのキャラに萌えていたかというとあまりそうでもないので。
何故か3人目で既にまとめに入っているのですが、続けて4人目いきますか。
ちなみに、このプレイ後日記は一人攻略するごとに書いています。

最後に美魚ですが。
「そういうこと言う直江さんは嫌いです。」
分かってて書いたんだろうなぁ…。(ちょっと似てるかもね)



クドリャフカ:6点

まずは前半の感想。
うん、いいよこのルート!
奇跡だの大層な伏線などではなく、私達も感情移入しやすい、どこか経験あるような、ありふれた小さな物語。そうですね、KEYはこういう方向に進んでもいいですね。
見るからに外国人なのに英語が駄目。駄目なところが可愛らしい。だから、本当は駄目じゃなくなりたいのに、周囲からは「駄目であること」を求められてしまう。そして自分が好きなものは、周りが持つ自分のイメージとは食い違うから歓迎されない。そんなジレンマをクドがもてあましているのが、格段丁寧な描写ということもないはずですが如実に伝わってきて好印象でした。
そして後半。あの、体に模様を描き合う誕生日の儀式、あれ良かったですねぇ。かわいくも厳かな感じが漂っていて、雰囲気出てました。
ここまでだったら7点(「これは良いシナリオ。」レベル)だったのですが。
何だかクドの悩みもなんとなく予定調和的に解決し、「このままフェードアウト的に終わってくれぇ~…!」という私の願いも虚しく、物語は終盤戦に向かってしまうのでした。
もうね、バカッ…!
無駄にお話を大きくしなくていいの。無駄にヒロインを不幸に落とさなくていいの。
今回の水牢も、やっぱり引いたわ。終盤のお話、全然要らなかったんじゃないか?ここに来てまたも奇跡登場してるし、なぜここまで来て物語を引っ掻き回すのかと。
何となく今回の奇跡は後々も大事になってきそうな気がしたので、これはひょっとするとリトバスという大きなお話の上では必要な展開だったのかもしれないけれど、少なくともクドルート単体としては終盤は全然ダメですね。勿体無い。(最後まで終えてから追記:奇跡が起こる理屈は分かったけどやっぱりこの展開は全く必要無かったと思う)



その1

えーと、ズボラして来ヶ谷さんと鈴同時攻略し、肝試し辺りでふるいにかけりゃいいや、と思って2人にモーションかけてたら鈴ルートに突入しちまった。
ニューゲームで最初からプレイするのはこれが最後のつもりだったから野球もしっかり練習していたのですが、そしたら野球ついに勝ったぁぁぁ~~~!!!
ちょっと感動。「こんな奴ら勝てるか!」と思ってた奴らに勝てる、攻略不可能っぽいものを攻略するってのはやはり爽快ですね。
んで鈴ルートですが、結論から申しまして転校の話辺りでBAD ENDになりました。どうやら、鈴は最後までおいておかなければいけなかったらしい。
鈴ルートですが、恋を知らない(多分)鈴の、自分でも意識してないレベルの理樹への好意がいいですね。「私と付き合え」ね。その後の何とも困った感じも、うーん、男子小学生みたいですな、鈴。
という感じで、来ヶ谷さんへGoGo。



来ヶ谷:6点
もう一回最初からプレイして野球もしっかりやってたのに野球負けた。
それはともかく、先に凛やってて良かったかも。恭介が実は凛と理樹にくっついてほしかったってのを予備知識として聞けましたから。
で、来ヶ谷ルートも麻枝氏ですかね?これは麻枝氏しか書けないテキストだと思いました。他の人だったら、麻枝氏が抜けてもKEYは一安心という感。なんというか、やはりリトルバスターズ初期メンバーとのやり取りが実に楽しい。皆で仲間の恋を成就させてやろうぜって企画がなんとも。リトルバスターズの面子が集った時に生まれる空気ってのが伝わってくる感じで。恭介だけは応援する気あまりなかったみたいですが。(最後まで終えてから追記:新ライター都乃河氏だった!初回特典ブックレット読んで麻枝氏ではない彼の色ってのが少しだけ分かった気がしますが、うんうん、彼がいるならもうちょっとKEY応援できる。彼がKEYにいるなら少しだけ安心。)
で、後半。不思議展開に。そしてやはりよく分からないままBADにしてTRUEエンドに。え、来ヶ谷さんルートこれでいいの?真打っぽいエンディング曲流れてるけど?という感じ。
腑に落ちないままとりあえず前回BAD ENDになった鈴ルートを引っ張り出してきて偉い人の校内視察辺りからプレイすると、なんか展開が変わったっぽい。これは最初からプレイせねば、ということでまた最初からプレイ。
「これで何度目だ!」
私、猫嫌いなのかも知れません。

(追記:オーラスエンド見た後にもう一度来ヶ谷さんルートやり直したら、今度はさわやかエンド。先こっちやればよかった。後半の気だるく閉塞した展開も、良いとは言えないもののしっかりこちらを物語に引き込んでくれましたしKEYらしい鬱っぽさですし最後に人並みの感情を覚えていた姉さんに少し和みました。前半が楽しかったし後半も減点要素無し。)



:7点

鈴とのメールのやり取りはちょっと来るものがありますね。シンプルな顔文字だけで特定のキャラの心情をここまで生々しく表現するかと感心しました。鈴ならではの名演出。
そして前半の山は、なんと言っても男4人の対決でしょう。
「コールドゲームだ」
悪渋すぎる……(対訳:すっげー悪役なんだけどそれでも渋い)
この時は、謙吾がなぜ見送ったのか分からなかったから、今ひとつピンと来なかったんですけどね。そもそも、この時点では恭介・謙吾が本当はなぜああいう立ち位置になったのかが分からないんですよね。この辺が、勿体無いと言えば勿体無い…。
そして後半はまさかの逃亡生活だよ…。
麻枝氏は、こういう妙に生々しい「生活」を書くのが上手いと思います。絶妙のバランスですよね。
二人の生活が、じわじわと閉塞していく様が、なんとも…。
そしてラスト。うわぁぁあぁぁ。という感じ。鈴がいない。→併設校に強制送還→鈴崩壊 でしょ?
そのまま一息も入れずに再プレイ。



リフレイン:7点

冒頭でなんとなくオチが読めました。とは言えあまり考えずにプレイ。
鈴があからさまに見ていて痛々しい感じになっていて、声優さんうまいなぁと妙な感心。
ここでそれぞれのエピソードに入るので、簡単にコメント。
真人: 理樹視点と真人視点で同じ台詞が全然違う意味になってるのは素直に面白かったですね。鈴だけは鈴に見えた理由はちょっとよく分からないのですが、あのCG好きです。そして真人を倒した理樹達にちょっと感動。真人のCGもいいのですが生憎OPムービー見過ぎた。
ついでに、ここで全編通して特に笑った台詞を。
「お前、確か豚を飼い始めてから、豚肉が食えなくなったんだよな。代わりに生姜焼き食ってやるな。ぶーちゃんは元気か?」
謙吾: 謙吾の親父を倒した理由をようやく理解。なるほど…。怪我してなかったというのもびっくり。ここまで来て、ようやく謙吾ってキャラが見えてくるというなんとも言えない気分。これはテーマ的に良かったのかな。まぁいいか。とりあえず謙吾との対決は面白かった。物語で一番、理樹&鈴が息ぴったりだったところでしょう。ああ、私の数時間に及ぶ野球練習は無駄ではなかった…。(「飛ばしても物語の進行に影響はありません」)
恭介: 別にリフレインの感想じゃないんですが、カッコ良すぎでしょう。最初から最後まで、私には麻枝の分身にしか見えませんでした。神様視点・ライター視点。蓋を開けたら案の定でなんともなんとも。そういう、ちょっと鼻につくキャラであるはずなのですが、でもやっぱりカッコいい。彼の言動を元に皆が熱く楽しくなるのが好きでした。ミッションしかり各種遊びしかり。鈴ルートでは渚父とそっくりになっちまいましたが、まぁそれも良し。

まとめ。とりあえず、リトルバスターズを再結成するという展開は燃えました。展開に燃えた。
ただ、ただですな。最後に恭介に手を差し伸べるシーン。「君の力が必要なんだ」って言ってほしかった・・・・・・!!



修学旅行からオーラス:6点

いやね、KEYの感動ってのは、誰々が死んだとか、そういうものじゃないでしょう。(AIRの話すると本格的に脱線しそうなのでやめときます)
謙吾や恭介の涙、叫びも、そりゃまぁ心揺さぶられはするかも知れませんが、正直、「うーん、何だか…。KEYの感動ってこういうのとはちょっと違うでしょ…?」という感想。どちらかというと、そのもっと手前、恭介が事故現場で何度も何度も懸命に這って進んでいる姿に涙腺刺激されてました。
というわけで、私の中ではさしたるクライマックスもないまま、ゴール。鈴に対して、「僕が守るから。僕と生きよう。」って言ってる理樹はカッコ良かったですね。まぁこれもCLANNADよろしく、きっちりしっかりリセットされてしまい無かったことにされちまうのですが、CLANNADショックを知る私にはもう効かん。ご都合主義なんて単語思いつきもしなかった。麻枝は絶対これをハッピーエンドで締めるという確信があった。(後から思い返せばこの確信こそがリフレイン以降も私が物語に十分に入り込めなかった最大の理由でしょう)で、案の定ハッピーエンド。

で、ラスト。
やっぱりね。最後はこの曲じゃなきゃ締まらないと思うんですよ。「Litte Busters!」。この曲、大好きです。
…正直、オーラスver.よりもOPverの方が好きなのですが。とはいえこのオーラスver.も、ラストを締め括る、ラストっぽさを感じさせる良アレンジではあると思います。
「一人が辛いから二つの手を繋いだ 二人じゃ寂しいから輪になって手を繋いだ」
名フレーズですね。もう、これだけで私の中の「リトルバスターズ!」評価はダダ上がり。これがリトバスの肝でしょう。どういう意味かは、本編をやれと。伏線とか世界設定とか奇跡とかじゃなく。

OPムービー、カッコいいと思うのです。名CG・立ち絵出まくり。




完全蛇足ですが追記(2008/06/23)

ここにきていきなりリトバス叩きに入ることを、まずお詫びいたします。
ゲームには2パターンあると思うのです。プレイ後時間がたつことによって評価が下がるゲームと、逆に上がるゲーム。どちらの感覚が正しいかと言われれば、私は「どちらかというとプレイ中もしくはプレイ直後」の方を選択しますが、かと言ってプレイ後時間をおいての感想が虚仮かというとそうでもないと思う。場合によりけりですが。
本作は、私にとって、残念ながら「プレイ後時間がたつことによって評価が下がるゲーム」になりました。理由は、そのメッセージ性の無さです。
ここで言うメッセージとは、ライターの主義主張だけでなく、「こういうものを描きたい」というものも含みます。「魂感じられるかどうか」という表現でも良いです。
そしてテキストゲーでのメッセージ性は、私がとくに重要視しているものの一つです。
上で書いているように、リトバスの肝は

「一人が辛いから二つの手を繋いだ 二人じゃ寂しいから輪になって手を繋いだ」

ここだと思うのです。
しかし、それを描いたのは、あくまで恭介を中心とした「リトルバスターズ」の友情。そこに普遍性を感じることが全くできなかった。

確かに、恭介を中心としたリトルバスターズは実に楽しく、プレイしていて面白いものでした。しかしそれは、あくまで彼らの物語であって、ゲームをプレイしている私達とは全く関係のないものです。あれを羨んでも憧れても、2D美少女に恋するように、「本人がそれでいいならいいんじゃない?」という自己満足の域を出ません。
良いな、とは思うけど、共感できない、のです。
「仲間の大切さを描いた」なら、普遍的「仲間」をテーマにした作品ということで、私達も共感したり反感を覚えたり、それを元に自分の人間関係を見直したり、色々と還元があるでしょう。しかし、「リトルバスターズを描きました 理樹と鈴の成長を描きました」と言われても、「面白かった、感動した」以外の感想はありません。
エンターテイメントとしてみるなら、そりゃあなかなか面白かったですよ。リトバス最高ー、とか思いますよ。恭介はマジでカッコいいし真人も謙吾も好きですよ。けど、それだけ。

結局、「リトルバスターズ!」が描いたのは、私達の人生とは何の関係もない、リトルバスターズの面々の物語なんだなぁと。

感動した、ってだけで十分ならそれでいいんですが、私はそれだけでは物足りない。私が麻枝氏を始めとするライターに期待していたのは、それだけではないのです。エロゲーってのは、「感動した、終わり」だけでない、もっと大事なものを抉り出せるメディアでしょう。麻枝氏は、このリトルバスターズを企画し、描くことで、何がしたかったのか。それがちっとも感じられない。描くこと自体が目的だった、プレイヤーを感動させることだけが目的だったようにしか思えない。麻枝氏が、プレイヤーと同じ一人間として、プレイヤーに伝えたかったもの、見せたかったものが、このリトルバスターズという麻枝氏の箱庭以外に何も見えない。お前は、自分が作ったこの綺麗な箱庭を、「綺麗だろ、感動するだろ」と言って見せたかった、それだけではないのか。そう感じました。上から目線で「ほら、楽しめよ」という態度しか感じられませんでした。 表現が悪いなら下から目線で「これ、楽しめるかなぁ…?」でもいいです。 けれど彼は、本作を通して、自分の描いたエンターテイメントを見せる以外、何もしなかった。全国のプレイヤーに、感動以外何も届けなかった。伝えようとしなかった。そう感じました。

友情を描くのはいいけれど、彼が描いたのは、「俺が考えた、良い友情」でしかなく、他の友情との互換性が無いものだから、プレイヤーに感動しか与えない。私はそれを、実に詰まらない、と思うのです。(感動だけではそう満足できなかったからね。)

楽しかったのは認めます。けれど、それ以上はちっとも評価できない、この寂寞感。
最近、私の中での麻枝針がまたマイナスの方に振れました。
AIRをプレイし、観鈴ちんの強さと心の綺麗さに胸を打たれ大きくプラスに振れ、CLANNADをプレイしそのご都合主義大団円にぶち切れ大きくマイナスに振れ(当時は、「AIRで本当に凄かったのは麻枝さんじゃなく鈴元氏じゃね?」と思ってました)、智代アフターでその音楽の良さと智代の強さ、愛は永遠という一つの解答に胸打たれ、また大きくプラスに振れ、Kanonは普通にそこそこ楽しかったので特に針は動かず、そして本作、引退作。
「あれぇ~~…?」
針はまたマイナスに…。

本作ってあれでしょ、二次元依存症の人増やすだけでしょ…?

もうちょっとこう、ここまで大風呂敷広げてるんだから、その…
やりようが、あったでしょ…?やる気さえあれば。
俺だって死にたくない、けど死に際に必死で奇跡を、的な涙しか狙えない人じゃなかったでしょ…?


他の人はどうか知りませんが、少なくとも私にとって、作品の評価は、登場人物ではなくそれを描くライターに共感できるか否かってのも重要なポイントのようです。
ちっとも全くさっぱりこれっぽっちも、このだーまえには共感できん。
果たして麻枝氏は、私達にボールを投げたのか?私達に、打ち返す球は存在するのか?

このサイトで取り上げる回数が段々増えてきましたが、ここで私が好きなテキストサイト「NOT FOUND」より、お気に入りの記事を。

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■2007/08/01 (水) ■メガネ達のキス

おとつい秋葉原のドンキホーテに深夜1時ぐらいに一人で行ってエスカレーターに乗ったら、2、3段上にオタクのアベック略してオベックがいて、そいつらが急にキスをしはじめたんです。上に着くまで、ずっと。こっちとしてはもうエスカレーターに乗ってしまってるからどうしようもなくて、そいつらがキスをした空間を自動的に通り過ぎるしかないんです。ウィーンって。
そんで何が頭にくるって、そいつらはもう明らかにこっちを意識してキスしてるんです。俺達はこんなところでも周りを気にせず平気でキスしてしまうぐらいすごい仲なんだぜと言わんばかりに、俺達の間にお前が入り込んでくる余地なんてまったくないしお前が俺達を引き裂こうとしてもそれは土台無理ってもんなんだぜと言わんばかりにキスを見せつけてきとるんです。もう明らかにこっちにちょっと優越感を持ちつつのキスなんです。
いやいや、ちょっと待ってくださいよ!!!!
あのな、まったく羨ましくねーんだよ!!!!!そんなもんは!!!!
お前らみたいなもんが口と口を合わせたところでなにが世の中に生み出されるだっつーの!!!!社会にどういうシナジー効果が促進されるんだっつーの!!!!!そんなもんを見て誰が「明日から頑張ろう」とか「やっぱり夢は諦めない」とか思って感動するんだっつーの!!!誰が「もう一年、東京でバンド続けてみようか」って思い直すんだっつーの!!!感動も、希望も、勇気も、何も生産できねーようなキスなら、そんなもんをわざわざ見せつけるなっつーの!!!!
こちとら、手前らが一生かけても相手にされないようなクラスとキスしとるっつーの!!!!しかも、キスどころか!!!!!!
お前らの長い人生でこちとらに優越感を感じるべき瞬間なんてただの一瞬たりともねーんだっつーの!!!!!


  夜中に激昂してしまい、すいません。読み手との温度差はこちとらも重々承知しております。今後とも一つ宜しくお願いいたします。
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好きなフレーズはここ。
<そんなもんを見て誰が「明日から頑張ろう」とか「やっぱり夢は諦めない」とか思って感動するんだっつーの!!!誰が「もう一年、東京でバンド続けてみようか」って思い直すんだっつーの!!!感動も、希望も、勇気も、何も生産できねーようなキスなら、そんなもんをわざわざ見せつけるなっつーの!!!!

私にとって、リトバスとは結局、一つの世界に入り込んでしまった、カップル達のキスと似たようなもんなんだなぁと。それで感動する人は感動できて羨ましいと思うけど、あんま感動できないし自分の中で何一つ生産されないもんだから、こうやってこんなとこでいちゃもんつけてるわけです。

さっきのボールの話ですが、麻枝氏が野球ボールを華麗に天に向かって放り投げては華麗にキャッチしている様を、感心して拍手などしつつ見ているのがこの作品を高評価した人で、グローブ持って「あれ?ボールは?」とスタンバイしたままフリーズしてるのが私です。

麻枝氏引退作がこれだという事実に、少々、いやかなり困惑を覚える昨今です。



蛇足にさらに追記(2009/02/08)

↑の追加文章、何度か直そうと思いつつも結局この胸のもやもやをうまく表す文章が出ず今に至ります。
今も、リトバスへの私の中での低評価は変わりません。
結局、あのリトバスワールドで描かれた、一番のメッセージであろう"友情"が、普通の世界での友情ではなく、恭介達によって意図的に作られた仮の世界での友情ものだったのが、リトバスを気に入らない一番の理由です。
あの中で理樹と鈴と除くリトバスメンバー達(特に男衆)は普通に"この今を駆け抜け"ていたのではなく、理樹と鈴との成長を見守っていたわけでしょう?それもまた一つの友情かも知れないけど、表現悪いけど理樹と鈴・そしてプレイヤーを騙していたわけですよね?表では「リトルバスターズ再結成だ」と、今を精一杯生きているかのように装いながら、裏では「お前ら、後押ししてやってるんだから成長しろよ、強くなれよ」って願ってたわけっしょ? 例えば真人、奴は実にいいキャラでしたが、ただの筋肉キャラじゃなく、意図的に筋肉キャラに徹していたわけじゃないすか。あまり余計なこと考えようとせず。 謙吾はまぁいいです。彼は彼なりに、その世界でも対等に理樹達と接していたように思えます。記憶あやふやだけど。 で、問題が、麻枝の分身こと恭介ですね。
結局、恭介=麻枝の作った箱庭で、恭介=麻枝の思い通りに成長する物語でしょ? んで、最後は恭介=麻枝自らが感動メーカーになるんだけど、やっぱりリトバスは恭介=麻枝のものだから、理樹は成長しても恭介がリーダーやって、恭介リーダー率いるリトバス面々で海行って「♪Jamper~♪」――終――ってな案配でしょ?
正直に言いますけど、普通に鼻につくんですよね…。

なんかなぁ~、これ、やっぱりまずくないですか?リトバスは、友情ものであり成長ものなのでしょう。でも、友情ものとしては妙に不自然な舞台だし、成長ものとしても他人におんぶにだっこすぎて釈然としない。 何、これは理樹ではなく恭介達に焦点あてないといけないんすかね? 瀕死の中何度も理樹達のことを思いやって、仮想空間で理樹達の成長を助けた、その辺のけなげさに涙するのが正解なのでしょうか。 それなら納得ですが、ていうことはやっぱり理樹ってば恭介達の思い通りに動くお人形さんですよね。「お前は俺の想像を超えて強くなった」とか言われても、結局は「計画通り」の延長でしょ?あー釈然としねぇー。

これも完全主観ですが、こんな印象です↓
Aタイプkey信者:クラナド肯定 ― 智代アフター微妙 ― リトバス肯定
Bタイプkey信者:クラナド微妙 ― 智代アフター肯定 ― リトバス微妙
keyが描くもののうち、家族愛、友情とかに重きを置くタイプの人はAタイプで、keyが描くキャラ達の強い姿に感動する人間がBタイプなのかな、と。ていうか私は思いっきりBタイプなんで大きくAとBに分けてしまいましたが、果たしてBタイプみたいな人間がどれだけいるのか、全体の3%くらいではないのか。っていうくらい評価されてますね…。いや、評価されるのは別にいいんですけどね。 ただ、「一応色々と面白かったんだけど、でもやっぱ納得いかんぞこら」っていう人間が意外と少ないのが寂しいっていうか、なんていうか…。
一応色々と面白かったのは、本心です。メインメッセージだけ心の底から納得いかないのだけど、それ以外は、個別ルートは微妙でしたが、ミニゲームは普通に楽しかったしキャラは(男キャラと鈴が)魅力的でしたし、音楽は私の中ではかなり有りな部類です。特にOP曲最強。
メインメッセージがなぁ…。 これのせいで、プレイ後時間がたつほど評価が低く…。

(またも収拾つかなくなってきたんでこの辺で打ち止め。本作に関しては、是非ご意見いただきたいところ。)





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