CLANNAD


(2005年春頃執筆)

前作AIRと比べ、シナリオ数も大幅に増えています。しかしその分、シナリオにはむらが出たと思います。
そしてなにより、作品構成を冒険しすぎて明らかにミスったと言わざるを得ません。
どういうことかというと、素直に「○○ルート」と分岐を作れば話もコンパクトにまとまって開発期間もここまで延びずに、もっと他のところまで作りこみできただろうに(セーブにコメント書ける,自動起動アイコン作る、など)、無駄に複雑にしすぎました。○○と仲良くなりつつ○○というイベントを見た状態での○○との会話、みたいなシチュエーションまで細かく書いているのは、労を労わずにはいられないですが、プレイする者としては大失点です。なぜなら、繰り返しプレイする際にそういう細部でいちいち止まるから。もう、ブチブチ切れる。プレイヤーもキレる。最悪です。
しかも、そのあまりの重労働ゆえか、そういうシーンって、なんだか製作者の倦怠ムードが行間からにじみ出ているのです。「とにかく書かねば…」みたいな。
極めつけが、アフター最後の渚TRUEエンド。なんじゃありゃ。スキップしてたら最後のシーンでのみ止まり、いきなり感動ムード。ついていけますかっての。もう、プチ最悪です。(風子)
すみません。
結局、晴鍋がプレイしたらどんな流れになったのか、以下に簡単に書きます。

ずばり、アフターストーリーについて。

理想的な流れで進むなら、以下のとおりなのでしょう。

渚編,同棲編で、渚への思い入れ十分。
「俺には渚だけだっ!」

出産編で、渚の死に涙ダクダク。
到底納得のいくものではなく、その後5年間の朋也の生き方にも納得がいかない。

汐編、汐の成長を見るたび、渚を思い出し、要所要所で涙。

汐が雪の中倒れるシーン,「やはり渚がいないとダメだ・・・!!!」

さらにやり直し,光玉を全て集める

渚、感動の復活。怒涛の涙の中、エンディング。

エンディングも、「小さなてのひら」(「渚」アレンジ)で涙,バックに映る、自分が苦労して歩んできた道(CG)にまた涙。

「KEY神っ・・・!!」




晴鍋の場合

学園編、我慢して渚の攻略は後回し。
最初に攻略しようとしたのが、こともあろうにサブサブの涼。
「杏の方がいいのになぁ」と思いつつも、涼を裏切らずに苦労する。まぁこれは自業自得ですが。

その後も何人かクリアするが、まだオープニングも見ていないという鬱な状況。

ことみで撃沈。「やっぱKEYすげー・・・」否応無しに残りストーリー(特にアフター)に期待は膨らむ。

後ろの方にとっておいた渚編でようやくオープニング。しかもラスト中途半端。

苦労してアフター1巡目。最初から、身をつまされるようなストーリー満載の社会人編。
あれはまずいと思います。
朋也(虚構)→社会人として苦労して働き、一歩一歩成長していく
晴鍋(リアル)→現実の時間を大量に食いつぶしつつパソゲー
このギャップに耐え切れなかった人、晴鍋の他にもいるはず。
特に就職活動など控えている大学生のプレイヤーは、たまらないでしょうね。

渚の死についていけない。「え?え?死ぬの・・・・!?」
とか思ってると、「坂の下の別れ」に。「あ、死ぬのね・・・?」
状況把握が先で、泣くなんて余裕無し。

汐編。
汐の頑張りに、幾度となく涙。気がつけば何度も朋也を応援してたような。
ライターの狙い通りだなと思いつつも、要所要所で涙涙。
オヤジの顔に涙したのは、生まれて初めてです。
渚のいない、大事なもののいない現実というものを、朋也も、そして晴鍋もようやく受け容れる。
これから、汐と頑張っていくぞ!親父のように・・・!

しかし、汐、雪の中ついにダウン。
あぁ、神よ光玉よ、この子を救いたまえ。

必死で光玉集める

渚復活。
・・・え?汐じゃないの・・・?
ちょっと待てよ、汐と頑張って歩んできたあの汐編、全部0に戻るの・・・?
「父さん」との別れも?早苗さんの涙も?「パパ・・・大好き」も??
納得いくか~~~い!!!

エンディング、釈然としない気持ちの中、音楽だけが虚しく晴鍋の心を打ちましたとさ。
(完)




ってことで、好感度低い順に感想を軽く書いていきます。



あくまで、杏のおまけですね。渚の劣化版と切り捨てたくなります。
椋のキャラというより、話の展開の話ですけど。

勝平
男性ウケはしないでしょうね、このキャラは。矢追向けかと。春原君が辛うじて少し笑えたくらいでしょうか。特に悲惨だったのがラスト。画面真っ白の中、中央に文字のみ…。感動的演出も、話自体がさっぱり盛り上がってないため、アウトですね。
何がダメって、勝平の破天荒で自己中心的な性格では、同情は誘えないってことではないでしょうか。例えば春原君と椋への扱いの違いとか、あまり好印象は覚えませんでした。

幸村
様々な事情により、幸村にも独自エンドを作るしかなかったのでしょうね。短いしまぁ良し。

由紀寧
これも……光玉の解説に役立ったのは分かりますが…
話としては、別に悪い話でもないですが…
それほど、面白くはなかったです。

芽衣
知り合いの「DQNサッカー部」というセリフが頭に焼きついてます。これも、こうするより他になかったんかいっていうひどいシナリオ。芽衣自身は可愛かったけど(「お兄ちゃん」には、全く妹属性を持たない身でありながら、開眼しそうになりました)、ラストの展開、クラナドに収録するに値しない…ような…。正直、(他の大多数の作品もそうですが)「時間の無駄」と感じました。

智代
料理シーン、一途シーンでもえる方はもえるのでしょう。持ちネタが春原君ボコりだけだったのは残念です。
全体的に、惰性で進んでいたような…。弟さんの話も、それほどぐっとくることもなく。
ただ、個人的には、最後の、冬の再開シーンが大好きです。涙腺少し緩みました。


どうも…。まず、他キャラに比べ、ルートが難しすぎな気が…。いや、入るのが困難ならいいですよ。けどね、盛り上がるだけ盛り上がってバッドエンドってのは、やはりダメなんじゃないかなぁと。某君望も、終盤で選択肢一つ間違ってバッドエンド突入してそのままテロップに真エンド曲のタイトルやらボーカルやら表示されて萎え萎えになって…ってそんな話は別にいいですか。ともあれ、杏ルートに行くならキチンと終わってほしい。キスの練習したら無条件で最後までいってほしい。こんなとこでゲーム性出さなくていいでしょう。せっかく、(CLANNADメインとはだいぶ雰囲気違いますが)なかなかいい展開になってるのに。
どうでもいいけど、この展開というかキャラというかは君望とかぶりまくりですね。「The 君望ライト版」って感じでしょうか。プレイしてて自然に思い出されました。いや別にいいのですが。
ということでまとめると、まぁまぁの高評価ではあるけど、CLANNADに期待していた要素は入ってなかったのが残念。入っていればいいというわけではなく、あくまで個人的感想として。そして、ライターさんが違うからでしょうか、春原君の哀れっぷりが杏編だけ一段上な気がします…。しかもメッチャいい奴だし!
「杏が好きな相手ってさ…本当は岡崎じゃないの?」
自分が告られててこの台詞。漢気たっぷりです。カッコ良すぎです。

早苗
「私のパンは…」(涙目)
最高ですね。
全体を通して、色々な意味で良いキャラクターでした。ぶっちゃけ、娘よりも泣かされました(汐編の終盤で)。強く、優しく、なんだか「そこはかとなく」理想的な形状の女性でした。

秋夫
「俺は大好きだーーーーー!」(パン咥)
最高ですね。
学園編の春原君に代わるギャグ担当をアフターでは一手に担ったお父さん。いや面白かった。
なぜ彼のあの一発シナリオが、光玉集めのトリになったかは謎なのですが。まぁ他に適当なのもないか…。


メインヒロインがこんなとこ来て良いのでしょうか。
いや、悪いキャラではありませんでしたよ。ツッコミ顔というか困った顔というか、あれは可愛いですね。何度も見たくなりますね。けど、どこか野暮ったい、そんな印象の拭い去れなかったキャラだと思います。引っ込み思案…年上…病弱…。色々な要素が、個人的なツボを外したのも原因かも知れませんが。
実際、渚関連でジーンときた記憶がないです。学生中もアフターでも。渚の曲は大好きなんですけど…。
頑張っていたけど、どこかもう一つのめり込めないキャラでした。

(以下、気に入りシナリオ)

美佐枝
美佐枝さんの、いつだって満たされない、それでいていつだって満たされている日々、素敵です。なんとなく話の結末は見えてくるのだけれど、最後はやはりジーンと来る。いいですね。
ただ、「ご主人様ご主人様」は、猫だけに違和感感じました。えぇかなり。そんな従順な動物かと。そもそも美佐枝さんとの関係、ご主人様と飼い主でええんかと。

風子
狙い通りというか…わかっていても、可愛いですね。しぐさが。表情が。セリフが。もえはしませんでしたが、かなり和みました。で、これぞ良くも悪くも鍵作品の真骨頂なのでしょうが、終盤でガラリと急展開。「記憶に残らない」。やられました。次はこれかと。(似たコンセプトの作品を少し前にやっていたのですが) 最後の2,3日で、麻枝さん見直しました。やっぱりいい。書き口がいい。最後はホロホロと少し涙する晴鍋でした。


アフター渚は、上述のとおりかなり評価低いのですが、汐編はヤバかったです。随所で涙。特に、「泣いていいのはおトイレの中と…」もう号泣です。言いすぎました。けど涙ボロボロ。あの辺の、親子の絆(朋也と汐、朋也と父どちらも)通わせたあたり、本当にヤバいですね。傑作でした。だからこそ、あれを全て無にするような渚TRUEエンドは解せないのです。渚の死を現実として受け入れてそれでも進む汐TRUEエンドをなぜ作らない!CLANNAD、大きな損失。ここで比較すると色々面倒になりそうですが、少なくともこの点では、CLANNADのスタイルはFateのスタイルに敵わないと思うのです。渚TRUEは、ぬるま湯のように優しいだけです。言い方は悪いですが、ありふれてます。Fateは、強くありました。
汐TRUEがあれば、もしくは…と思わずにはいられません。


ことみ
ライターの鈴元様、貴方が一番です。ことみ編、3回プレイしましたが、3回ともボロ泣きでした。
…3回もプレイした作品ってのは、今のところAIRとCLANNADことみ編だけです。何度も比較して申し訳ないですがFateは2回目の途中で飽きました。
何に感動したかというと、ことみの両親ですね。墜落していく飛行機の中で最後の手紙っていうのは、実際にあった話で当時日本中が感動したような記憶があるのですが、その最後の手紙の文面、素晴らしい。作中で研究所の人が大絶賛しておりましたが、作中で大絶賛ということは結局自分で自分の文章大絶賛しているのだなぁ鈴元さんはと思わないでもなかったですが、大絶賛に値する名文であると思います。号泣ですよ号泣。

ことみ編のおかげで、CLANNADプレイして良かったと心から思えました。
表のヒロインは汐、裏のヒロインはことみでいいです。


余談ですが、

朋也「今度の休みは俺もヒマだ。だからふたりで遊びに行こう」
ことみ「???」
朋也「・・・いや、ここで三本ハテナは
   攻略キャラとしてダメな反応だろ」

ライターの愛情がにじみ出てるなぁと思いました。












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