対魔忍ユキカゼ

(執筆:2011/09/21)



メーカー

BLACK LiLiTH
(廉価エロゲの老舗。陵辱もの専門のブラックレーベル。)



属性

発売時期:2011年9月
ジャンル:ADV
用途:実用
舞台:近未来日本ファンタジー
顕著な属性:NTR、貧乳
プレイのきっかけ:正直、NTRものであり快楽堕ちというのは複数の意味で気に食わなかったが、対魔忍シリーズのファンとして、disるならプレイしてからだと判断して。あと作品のクオリティ自体は高いと思っていたので。(プレイ前の期待得点…6点)
プレイ進捗状況:コンプ



テキスト:2

あらすじ:近未来の日本は、魔界と交流を持ち邪悪な力を有する者や組織が噴出していた。時の政府も、その力に対抗するため、魔を滅する特殊な力を持った「対魔忍」を育成し使役していた。
魔界の住民のテリトリーになっている暗黒街に、行方不明になった対魔忍のくの一がいるという情報を元に、その娘である「ゆきかぜ」は先輩の「凛子」と暗黒街へ潜入する任務を受けた。暗黒街の女は、奴隷か娼婦のいずれか。潜入捜査のために娼婦に扮することを決めた二人を待っていたのは、高級娼婦としての想像を絶する肉体・精神改造だった。
ゆきかぜには、両想いの幼なじみ「達郎」がいた。達郎とキスだけを済ませたゆきかぜが任務に発った後、達郎もまた、自分より遥かに凄腕であるゆきかぜ達に追い付くよう過酷な特訓に励む。


上のあらすじ読んだだけで作品のシナリオ展開やらコンセプトやらがだいたい分かるように書いたので、良かったらご一読下さい。また、以下、上のあらすじ内容を踏まえた上でレビューも書いていきます。

■作品舞台■
対魔忍シリーズも外伝含め本作で4作目(+アンネローゼ)ですが、アサギ1から始まるそもそもの舞台設定が、凌辱ゲーとして実に優秀。エロい対魔忍装束、魔界の存在によりファンタジー要素もやりたい放題、それでいて舞台は近未来日本なので「どこか遠い世界」というわけでもない。
さらにアサギ2では世界観の奥行きに広がりさえも出ていたのですが、それ以降の作品にシナリオで見るところは無し。本作も、実用ゲーの添え物のような汎用世界観ですね。つまり特に見所は無かった。

■シナリオプロット■
シナリオは、ヒロイン達の調教快楽堕ちシナリオと、男主人公の成長シナリオとが並列で走ります。反比例の構図とも言えましょうか。主人公の成長に伴なうようにヒロイン達が堕ちていってるわけですから。

■シナリオコンセプト■
これだけは押さえておきましょう。本作は、NTR(寝取られ)要素が強いです。男主人公「達郎」の想い人「ゆきかぜ」と大事な姉「凛子」が処女を散らされ娼婦として堕とされます。
私が知る限り、多数の作品をリリースしてきたリリスではありますが本格的なNTRは本作が初ではないでしょうか。NTRって、好きな人にはご褒美でしょうが、私のようにNTRに興味ない人間にとってはむしろ不快なんですよね。だから私も、プレイ中は「それでもブラックリリスなら…ブラックリリスならなんとかしてくれる」と信じていたものですが、最後まで終わらせたら普通に鬱った。


■救いや逆転勝利、ハッピーエンドなどの有無■
(↓以下、本作や過去の対魔忍シリーズのネタバレを含むため、文字色反転でご覧下さい。)
救いが微塵も無いわけではないですが、少なくとも「TRUEルートでは成長した主人公の活躍もあり見事対魔忍陣営の逆転勝利!!」みたいなのは有りません。無いんです。
過去の対魔忍シリーズと、この点が大きく違う。なので、私みたいに過去の対魔忍シリーズみたいな展開を期待してると多分鬱ります。
真面目に読んでたら、シナリオはエンドレス・バッドエンドルートという感。終わらないバッドエンド。ルート分岐は実は遥か序盤で終わっていて、ずっとバッドエンドルート。うん、NTRもの大好きな人にはたまらないでしょうねチクショウめ。

(↑ここまで)




ゲーム性:3

今回はなぜかread meテキストに攻略書いてなかった。シナリオのネタバレ回避のためでしょうか。そういう配慮も悪くはないですね。
で、攻略。いつもどおり、選択肢がバラバラと出てきてルート分岐するだけなのですが、うーん…。
構造が分かれば簡単なのですが、分岐理由がちょっと分かりにくいように思います。




実用性:8

廉価もので8点ついたよ!やったねユキカゼちゃん!

いやマジでエロいです。CGのエロさは、フルプライスものも真っ青。リリスもついにここまで来たかとしみじみ。フェチ心とエロ心くすぐるこの質感を作れるのはすごいですね。
もうちょっと言うと、2枚のCGを交互に出すことで擬似アニメ演出もあり。この演出、私はかなり良演出だと思っているのですが私が知るかぎりブルーゲイルさんがパイズリ演出で使っていた以外ほとんどどこも使ってないんですよね。勿体無い。

シーン内容の具体的な話に移る前に、まず陵辱されるヒロインについて。
ヒロインはユキカゼ(褐色貧乳元気生意気系)と凛子(爆乳冷静姉さん)ですが、なんとシーンの4/5くらいはユキカゼです。これは英断。私としては2/3くらいが黄金比のように思うのですが(つまりさすがにユキカゼ多すぎではないかと)、ユキカゼメインにしてきたこと自体には「さすが」と思いました。過去の売れ筋を踏まえて、なのでしょうね…。(T&Wとか…)

シーン描写テキストについて。
この辺はみなさんどうでもいいと思いますが、感心したので書く。このライターさん、勉強家なのでしょうかね。過去のリリス作品のライターさん達が書く描写を、パクリにならないレベルで上手いこと取り込んでいるような印象でした。まさにリリスの集大成的シーン描写テキスト。

具体的なシーン内容とシーン展開について。
一言で言うと、「想像を絶する陵辱調教!!」という陳腐なフレーズがしっくり来る。本当に容赦無いです。
ユキカゼ達はまず、「奴隷娼婦」と呼ばれる暗黒街での高級娼婦として、徹底的な肉体・精神改造処置を受けます。
さらに、高級娼婦としてお客様を悦ばせる技術を教え込まれます。(甚だ遺憾ながら、このあたりの描写はほとんどありませんでした)
そして客取り。(甚だ遺憾ながら、このあたりの描写も全くありませんでした)
そしてシナリオ進行とともにユキカゼ達の任務も佳境を迎え、Hシーン内容も佳境を迎えていくという… まぁこの辺はご想像にお任せしますが、後半は輪姦シーンが多かったですね。また、一応舞台はファンタジー要素を含みますが、触手とか獣姦みたいなのは一切無し。基本的に人間(あるいは亜人間)との絡みばかり。
このライターさんが特に好きなのは「(不本意なはずなのに)イチャラブH」ではないかなと推察します。嫌いな相手との濃厚な正常位&キスとかね。この辺の描写割合が多く、フェラやらごっくんやらといった前戯系はほとんど無し。
あとシーン展開についてですが、見ての通り、展開が早いですね。すごい勢いで堕とされていく、穢されていくというのが手に取るようにわかるような描写で、その辺が実にえぐいです。ライターの手腕が光ってます。その一方で、「この辺の具体的な内容をもっと見たいのに!」と思うことも多かったです。フルプライスもののボリュームを圧縮して詰め込んだような、それでいてやりたい放題やり散らかしたような、そういう印象です。フルプライスものレベルの存在感があるけど、若干ダイジェスト的な駆け足感もありました。
そういえば、「この内容ならいっそのことぜひフルプライスでやってくれ!」と思った廉価エロゲは本作が初めてですね。

続いてヒロインの堕ち度について。
既に想像はついていると思いますが、最終的には完全に堕ちてしまい、完全に堕ちた状態でのシーン割合も結構多いです。逆に、「全く堕ちてる気配もない」ようなシーンは実は全然無いと言えましょう。毎回、程度の差はあれ堕ちており、シナリオが進むほどその堕ちっぷりがひどくなるというところか。

NTR要素について。
NTRとしてはオーソドックスな展開が待っていると思いますが、私のようにNTR属性皆無な人間でも、「実用性」という点では十二分に堪能できます。私は、正直なところ昨今の陵辱ゲーでのぬるい快楽堕ちには辟易してるのですが、本作の快楽堕ちは、"堕とし方"の方が普通にえげつなかったので、きっちり「陵辱ゲー」してるなと感じました。ユキカゼに想い人がいる点も、ユキカゼの気持ちの辛さがスパイスになって、より陵辱色が増していたように感じました。

蛇足かもしれませんが、ライターのHシーンでの気合もユキカゼ特化だったように思います。凛子Hシーンは主観ながらなんかパッとしなかった。
あと凛子Hシーンで思い出しましたが、ブラックリリスはいい加減、爆乳キャラ出しといてパイズリシーンほとんど無しってのはやめて下さい。今回も1シーンのみ(しかもなんか爆乳らしくない)とか、こういう無駄遣いはダメだっていつも言ってるでしょう。




音楽:4

リリスブランドもついに音楽をまともに作るほどになったか・・・!
典型的といえば典型的なブラックリリスの陵辱系BGMなのですが、それでもなんか過去作よりは良かったような。ましてや、往年のリリスの噴飯物のBGM(←褒めてる)に比べたら・・・!

ボーカル曲:作中には無いけど、初回限定版特典として、一応主題歌もあるそうな。デモムービーですねわかります。




キャラ:4

主人公:「達郎」(名前変更不可),対魔忍であり凛子の弟、ゆきかぜの幼なじみであるが、姉の凛子や想い人であるユキカゼと違い、忍の才は未成熟。そんな自分を恥じ、ゆきかぜらが特殊任務に赴いた後、強化特訓に参加する。

ゆきかぜ:達郎とは両想いだが互いのうぶさ故に恋人にはなっていない。強気で元気な貧乳褐色キャラ。
凛子:達郎の姉。冷静沈着で、口調も語尾が「~~だ」。色恋沙汰に興味なかったため、ゆきかぜとおなじく処女。爆乳キャラ。

まぁね。
ブラックリリスのヒロインに萌えるようになったら終わりというか。ヒロイン萌えが起こるレベルにまでリリスが成長したらすごいというか。
リリスは、やろうと思えばいつかできるようになるけど、そこまではやらないだけって気がしますね。(ちなみに今は多分逆立ちしたって無理です)




声:女

女性フルボイス。アサギ・サクラ・ムラサキも出るよ!(少しだけ。Hシーン無)

声に不満は一切ありません。
特にゆきかぜの声の人は、キャラに良く合っててよかったです。というかお疲れ様です…。




時間:3

うーん、廉価エロゲとしてはお値段高いだけあって、ボリューム不足な感じはしなかったかな。後から見直したらシーン数自体はそれほど多くないって感じですが、1シーンごとの尺も長いし、がんばっていたと思います。




その他

システム:ついに画面サイズが過去最大の1024*768に!!画面でかい!感動した! エロゲもすっかり時代は大画面・ワイドスクリーンですねー。
まぁその辺はいいんだけど、リリスはいい加減シーンスキップ機能の一つでもつけるべき。攻略でいちいちシーン見るの面倒なんですけど。ええ廉価版にわがまま言い過ぎかもしれませんね。でも今のリリスになら言える。

演出: 簡易アニメの話はしましたね。後は特に無し。NTRが最大の演出でしょう。ここで言う演出とは違うけど。

背景:相変わらず美しかったけど、あれ量産はできないんでしょうね。序盤に出てきた分で打ち止めだったw




お勧め度:8

普段より割高ではあるとは言え、DL版2730円でこれだけのクオリティというのは、破格です。また廉価エロゲのハードルを一つ上げましたねリリスは。廉価エロゲの牽引役という地位は完全に不動です。
上で何度も書きましたが、本作は快楽堕ちを狙いとしてはいるものの、NTR要素が強く、また調教内容も徹底的かつ容赦がないので、陵辱色もかなり強いです。それでいてヒロイン達はきっちりアヘるので、陵辱系快楽堕ちゲーとしてのお手本のようなクオリティですね。ライターの手腕には舌を巻きました。
Hシーン内容は「実用性」項で書いたとおり。リリスソフトは他の廉価エロゲよりも明らかにクオリティが安定しているし、場合やユーザーによってはヘタなフルプライスゲーよりも満足度が高くなる優良ブランドですが、本作はその優良ブランドリリスの中でも1,2を争うレベルの優良作。これはおすすめできないわけがない。
欠点というか難点はただ一点だけ。
どうしてNTRものにしたブラックリリス!!!!(以下、NTR嫌いな私の叫び)





気に入り度:7

実は、対魔忍シリーズって、毎回ライターが代わっているんですね。だいたいこんな感じ。

アサギ1(初代):大東縛
アサギ外伝カオスアリーナ:木全伸治
アサギ2:木全伸治(2回目), 庵乃音人
ムラサキ:松本竜 , フレーム , ZEQU
アンネローゼ:そのだまさき , (以下サブ)松本竜, フレーム(2回目), ZEQU(2回目) , 笹山逸刀斎

ご覧のとおり、ブラックリリスの看板的シリーズでありながら、同じメインライターが2作手がけたことは過去に一度も無いのです。
本作ユキカゼのライターは、アンネローゼから参戦のそのだまさきさん。「特務捜査官レイ&風子」「監獄戦艦2」などのメインライターをされた方です。
この御方、過去にNTR系を手がけたこともあるようで、本作ではだからこそ起用されたのかもしれませんね。
「レイ&風子」や「監獄戦艦2」はブラックリリスの中でも確実に「当たり」の部類なのですが、それらをてがけたそのだまさきさんの手腕が、遺憾なく発揮されていたと思います。素晴らしいクオリティ。
しかしまぁ驚きましたよ。クオリティはともかく、ジャンルはNTR。「まさか」とは思いましたが、ブラックリリスでNTRとは。
一本取られたなぁハハハ……


ハハハ…。(ビキビキ)


いやね…
ブラックリリスですよ。
対魔忍シリーズですよ。
ブラックリリスレーベルの、しかも正統派陵辱で定番のシリーズ新作である本作で、満足させるべきはユーザーのサディスティックな嗜虐心でしょう。マゾティックな被虐心ではないはず。どうしてガチNTRにしたブラックリリス。
想像を絶する調教・改造によって完全に堕ちた対魔忍を描きたかったのは分かります。それを描く上で、最後にあったような投稿ビデオタイプの演出とかをしたかったのも分かります。そして、それをやるからにはそのビデオを観て絶望する相手がいた方がより効果的だって発想も理解できるし、「それならNTRものにすりゃ最高だよね」って発想も理解でちょっと待てい!!!

そこですよ!!!
どうして寝取られじゃなく寝取りものにしなかったブラックリリス!!
本作は、私みたいなNTR興味ない(むしろ嫌いな)人間に優しくなさすぎる。NTRは、感情移入する対象を変えれば寝取りものです。しかし本作の悪役は、小物臭があまりに酷い。エドウィン・ブラック(対魔忍シリーズのラスボス的存在)とまではいかなくても、せめて桐生(「対魔忍ムラサキ」の悪側主人公)レベルのを出せよ!マンネリでもいいよ、しっかりした悪側主人公も作ってそっちにも感情移入可能なようにしとけよ!
贅沢?我が侭?アホか!陵辱ゲーブランドの正統派陵辱ゲーシリーズ最新作で、嗜虐心満足させる演出期待して何がおかしい!!
シリーズファンの期待と真逆の演出してどうする!!


……本作は「対魔忍が悪党たちによって好き勝手に食い散らかされた」という感じの作品ですが、本音を言うと、天下の対魔忍が小物に振り回されてひたすらボロボロにされる"だけ"というのも非常に気にくわないです。しかしこの辺については、別に本作でシリーズ完結というわけではないし、対魔忍シリーズの深みを出すための布石という見方もできます。だから、この処置についてはまだ納得できる。

しかし、NTR一色であった点。本作のこの点だけは、個人的に到底納得できません。まさかブラックリリスプレイして鬱るとは思わなかったよ!



最後に、またもネタバレを含むのでご覧になる場合は文字反転して下さい、「俺は寝取りなら許せるがNTRとかマジでイヤなんだ!!」っていう同志の方に、私からメッセージ。↓
序盤に出て来る、一見やられ役っぽい悪役、民新党の「矢崎宗一」。このキャラ、序盤でこそ三下っぽいですが、実は魑魅魍魎渦巻く未来都市東京で政権与党の幹事長にまでのし上がっただけあって、超大物です。伊達に太っているわけではありません。下らない報道しかしないマスコミや、それに踊らされっぱなしの愚民に怒りつつも、「この国では何十年も前から強者が弱者を支配する体制が構築されている」と時代の摂理を看破しその時流に見事乗った、真の悪党です。感情移入しておいて損はありません。序盤は、この矢崎先生と一緒に生意気ゆきかぜ達への怒りを存分に掻き立てておきましょう。

そしてもう一人忘れてはいけないのが、奴隷娼婦となったゆきかぜ達の支配者である、リーアル。彼の、周囲を威圧するような大物っぷりはおそらく皆さんも一目見れば感じ取れると思いますが、彼もまた矢崎先生と同様、かなりの大物です。ネタバレになるので上のパンピー向けレビューでは触れませんでしたが、実はね…(声を小さくして)リーアルって、矢崎先生の弟なのですよ…。
お分かりでしょうか?つまり、矢崎先生が表舞台の王、リーアルはその屋台骨を裏から 支える裏の王なのです。伊達に暗黒都市ヨミハラを牛耳ってはいません。彼の行動は一つ一つが冷徹な計算に基づいたものであり、色々と足掻くゆきかぜらも、リーアルの掌の上で踊らされているに過ぎないのです。そんなリーアルに感情移入し、ゆきかぜらのバレバレの偽装を冷笑しつつ眺めるのも実におすすめです。
(↑ネタバレ情報ここまで)

私はこれで本作を克服した。気に入り度6点から7点に引き上げ。




(この作品については、攻略ページでも触れています。
(この作品のシナリオについては、プレイ後レビューでも触れています。)



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