零式

(執筆:2007/02/26)



メーカー
アリスソフト
(今年で創立24年!老舗ブランドにして今なお業界を牽引するパワーを持った、若さ失われぬ骨太ブランド。)



属性
発売時期:1997年12月(「零式」単体での発売は2000年9月)
ジャンル:ダンジョン探索型「詰め」RPG
用途:ゲーム,BGM
舞台:未来のとある一都市
顕著な属性:やりこみ型ゲーム
プレイのきっかけ:「アリスの館4・5・6」に収録されたゲームはおまけとは思えないほど出来が良い、という話を聞いていたのが間接的きっかけ、直接的きっかけは店頭でのパッケージ(表)に惹かれて。(プレイ前の期待得点…8点)



テキスト:4
あらすじ:
人工知能兵器「コア」の、人類に対する反乱。コアは、各所に「テナント」と呼ばれる自動兵器製造施設を作り、人類を攻撃する。テナントの破壊は軍をもってしても困難を極め、破壊するのではなくテナントを封鎖することで何とか対処した。
時は流れ、テナントは民間人が持つ兵器のレース場として使用される時代に。
主人公あかねは、行方不明の父に再開するため、アイドルとなることを誓う女の子。父が残した兵器「零式」を狩り、レースに優勝し有名となるのが目的だ。


今書いたような私のヘタな文章では、その魅力は伝わりにくいでしょうが、舞台設定はなかなか面白いです。けどそれだけ。
シナリオは、ショートストーリーが一本あるという感じ。読んでて楽しいものでもないですし。テキストには全く期待しないが吉です。まぁほとんど分量ありませんから、負担になることもないかと。

ちなみに、場合によっては終盤少し感動します。最後まで読んだら「あ、いい話だな」と思うかも知れない。まぁ繰り返しますが期待は禁物です。



ゲーム性:7
詰め将棋、ならぬ「詰めRPG」というのが売り文句ですが、「詰め」というほどガチガチではないです。ただ、通常のRPGのようにのほほんと自由にプレイしてられるほどお気楽でもないです。なにせ、主人公達が参加しているのは戦闘機を駆っての「レース」ですから。

ゲームの目的は、テナント(2Dダンジョン)内各所にレース主催者が用意した得点ボードを集め、レース期間である3週間を通して、全参加者(8人)の中で最も高得点を取る事、です。
そのポイントが毎週末の規定ポイントに達してないと即ゲームオーバーですしのんびりダンジョン彷徨ってるとポイントをライバル達に奪われますし、それなりに効率よく動かないといけません。この辺りが「詰めRPG」と呼ばれる由縁の一つでしょう。
このゲームにおけるもう一つの重要ポイントとして、運要素を排除した点。攻撃は、命中率が相手の回避率を上回っていれば的中し、少しでも足りなければ必ず外れます。ダメージは攻撃力と防御力の兼ね合いで完全に固定ですし、当然クリティカルヒット等も存在しません。その辺りの見極めもゲームを進める上での一つの楽しみで、「詰めRPG」としてのもう一つの側面ですね。

そしてこのゲームの特徴としてもう一つ挙げられるのが、自機カスタマイズの自由度の高さです。主力武器や補助装備はバラエティに富んでおり、能力アップとなる改造も、どの能力をアップさせるか選択できます。このカスタマイズがかなり楽しい。育成ゲームとしての側面もありですね。また経験値も完全にプレイヤー任せで、どのステータスを上げるかは自由ですし、その上げ方によって戦闘の進め方も大きく異なってくるでしょう。

結構固めな「詰め」的ダンジョン攻略要素と、自由度の高い自機育成要素が、ゲームを面白くし、またその難易度をかなり高いものにもしております。
最初のうちは、何度もやり直しすることになるでしょう。アリスソフトの中でも難易度はけっこう高い目だと思います。けれど、ぬるいゲーム(もどき)に食傷気味な方にはお勧めです。

シナリオ関係でも行動によって起こるイベントは変わりますが、ゲーム性を語る上でそう重要というわけではないです。



実用性:3
あー、まぁそういうシーンもあります。
なんというか、和姦ほぼ無し…?だからといって実用に使えるわけでもなく。これはその、シナリオがシナリオですので…。



音楽:8
「アトラク=ナクア」と並び、ボーカル曲無しにしては破格の8点です。
Shadeさんは本当にすごいですね…。
曲数は9曲と少なめですが、ダンジョン探索曲や戦闘曲はかなり熱い。ED曲も(おなじみ、作中曲のアレンジですが)好みです。
中でも、1週目のダンジョン曲は私の中で殿堂入り状態です。8点のほとんどはここにあります。

ボーカル曲:無



キャラ:2
 主人公:名前変更不可,性格極悪美少女双子姉妹の片割れ。「パパ以外はカス」。
 なおみ:主人公と同じく性格極悪。主人公とは常に考えることも同じ。
 グァン:帰ってこないパパの代わりに現れた、保護者代理。主人公達は認めていない。
     パパ(軍の大佐だった)の部下だったらしく、美人なお姉さん。
     主人公達にどう接したらいいのか分からないまま誠心誠意尽くしている。
 その他:主人公達のおっかけの痛いオタク等。

ここまで可愛くないキャラ達も、そうそうお目にかかれません。主人公姉妹は、容姿の良さを生かして、表では猫かぶって芸能界デビュー狙い、裏では邪魔な奴を容赦なく排除していきます。思考はガキンチョのものですが、やってることは極悪です。なんというか、物語全体に漂う「弱肉強食」の香り…。
ということで、ぜひ覚悟して臨んでいただきたいものです。

けれど、物語が終わる頃には、テキスト項でも述べましたが、あるいは軽く感動するかも。私はちょっと感動してしまったクチです。テキストと併せて点数はかなり低いですが、そう捨てたものでもありません。

ちなみに私個人の話で恐縮なのですが、このゲームを購入に至らしめたとどめとなったのが、パッケージの絵とキャッチフレーズだったのですね。
一応アマゾンで見られるのでここにリンク貼っておきますが、このクール100%なシリアス系美少女…!謳い文句は「パパの形見の零戦は、天下無敵なんだから.」。
もうね、薄幸秀才系美少女のクールRPGかと思いましたよ…!(そういうのツボなのです) もう、激しく膨らむ期待。ダダ上がりのテンション。

   プシュー(←ゲーム開始1分後)

まさか天下のアリスソフトに、パケ絵騙しされるとは思わなんだ。

中身と(キャラが)全然違うじゃねーか!!!

ということで、キャラ得点としては異色の低得点。ゲーム終盤まで、キャラクター性はゲーム全体の足を引っ張っていた感があります。(プレイする気を若干削ぐ)



声:無
声は無いです。



時間:6
慣れた人が本気でやれば、4時間以内にクリアできるかと。
けれど、普通にプレイしていて4時間でクリアはありえません。少なくともその3倍は見ておいて良いかと。ああでもないこうでもないと、武器カスタマイズだけで散々悩むことになると思います。自分なりの攻略法を試して進んでいくのが、このゲームの醍醐味だと思います。
ゲームクリア(総合得点が1位になればクリアです。ぶっちゃけ1位じゃなくてもEDはほとんど変わりません)とは別に、密かに存在するラスボスを倒すと、「裏零式」がプレイ可能に。これでさらに楽しめる、かも。
けれど多くの人がそこまで行き着く前に挫折したんじゃないかと思われます…。



雑記
システム面ですが、画面は見やすく800*600サイズ。セーブポイントは7つくらい。私としてはこれくらいシビアな方が好みです。その他、特に不満は無いです。バックログが無いくらいですか。

演出が、非常に光っていて私の作品への思い入れをかなり増強している気がします。
基本的に、ダンジョン内は徹底して「零式」という機体内で"視る"ダンジョン、という感じなのですね。風景も機械のセンサーを通してるような雰囲気ですし、移動とともに自動的に生成されるダンジョンマップもそんな感じ。敵との戦闘中の効果も、高技術な演出ということはないですが、例えば右肩発射のミサイルと左肩発射のミサイルで軌道が異なっていたりと、芸が細かいです。
そして何より効果音。ゲームの世界設定にぴったりで、非常にカッコいいです。
予算は少なかったんだろうけど、よくここまでのものを…と感じさせる素晴らしい演出でした。



お勧め度:6
廉価版なのではずしても痛手は少ないでしょうし、この独特な、乱数無しのシミュレーションテイストRPGを一度体験してみるのも一興かと思います。飽きっぽい方、短気な方にはあまりお勧めできませんが、辛口の「ゲーム」を安価で楽しみたい方にはかなりお勧めです。値段以上の価値は十分にあると思います。
どこまでやりこめるかは、ゲームにどれだけ魅了されるか次第ですね。少なくとも5時間程度は楽しめると思いますし、私はもう25時間以上費やしてるはず…。
いかんせん、難易度が高すぎるような。「こんなもの、『裏零式』なんて見れるかいー!」ってなった辺りで当サイトの攻略記事見ていただきたいものです…。




気に入り度:8
ハマったわけではないですが、久々に熱くプレイしました。アンインストールしたのも1回や2回じゃなく、再インストールしたのも2回や3回ではありません。攻略できないうちに飽きてしまって投げ出しても、時間がたつとつい再挑戦したくなってくるのですね。
音楽や効果音がツボったのも大きいですが、つい奮闘したくなる。粗もかなり多いですが、色々な魅力が詰まった意欲作かと。






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