東方妖々夢 〜 Perfect Cherry Blossom.

(執筆:2008/05/03)



メーカー
上海アリス幻樂団
(同人業界で最も二次創作の多い「東方」シリーズを製作。メンバー1名。)



属性
発売時期:2003年8月
ジャンル:弾幕シューティング
用途:ゲーム,音楽,萌え
舞台:「幻想郷」と呼ばれる、仮想の和風ファンタジー世界。
顕著な属性:無
プレイのきっかけ:あまり話したくないのですが…
  「魔理沙は(以下略)」、最初は嫌いだったのです。
  しかし歌詞はともかくメロディには少々惹かれるものがある…
  で、ある時気が向いて軽くだけ調べてみたら
  「え?原曲があるの?」→「東方しりいず?弾幕?」
  →「体験版やってみるか」→「惚れた。」
  (プレイ前の期待得点…9点)



テキスト:5
あらすじ:春になっても、今年の幻想郷は雪に包まれたまま。
     少女達はその理由を調べ、春を取り戻すために出発した。

「春度」というものを集めている者達がいるから春が来ない。
この、童話のようなファンタジック設定がなかなか良い。
シナリオ自体は簡単なのですが、主人公達と敵キャラ達との会話が独特かつ珍妙な掛け合いが、何とも良い味を出してます。最初は「何を言っているんだ」と思いつつも、後から「おぉ、そういうことか!」と合点がいったりと、なかなか楽しめます。
シューティングゲームがメインですのでテキスト量は微少ですが、少ない分魅力が詰め込まれてますね。
作者が「古き良き日本」というか「和」が大好きなようで、和テイストな物語を主軸に、少しずつ洋・中も混ざったキャラ達。




ゲーム性:8
私みたいな下手糞が今更解説するのもあれなのですが、このゲームは弾幕シューティングというジャンルに該当するそうです。
つまり、敵弾が画面いっぱいに(弾幕となって)放出されるので、それを"避ける"のがゲームのメインで、敵を撃つのはおまけでしかない、というジャンルです。

縦スクロールの2Dステージです。

難易度ですが、シューティングゲームよくやる人以外にとっては「滅茶苦茶難しい」と言って過言ではないと思います。けれど、攻略の糸口はあるので、何回もプレイしていれば段々と上達していきます。テクニックもそうですが、「この弾幕にはこの動き」と攻略法を見つければ、画面中が敵弾で埋め尽くされたりしても存外避けられるものです。攻略法についてはネットで調べれば無数に出てくるようですが、私は全て自分なりの攻略法を探してプレイしました。この、「攻略法を見つける」というのも楽しかったですね。正確に言うと、「こんなもん無理!!」と絶叫していたような弾幕を、試行錯誤を続けていくことで自分なりの攻略法を見つけ、絶妙のランダム性で飛来する弾幕をかわすテクニックを磨き、そして完全に自力で突破できた時の快感は尋常ではない。

やりこみ要素としまして、各ステージのボス戦では、ボスが3,4回「呪符(スペルカード)」と呼ばれる、特別な攻撃をしてきます。その攻撃を、ノーミスかつボム不使用であればその呪符ボーナスをゲットできるという仕組みになっており、また呪符が出るたびに、その呪符を過去何回中何回取れたかが表示されます。簡単な呪符は8/10とかなのですが、難しいのになると、0/24とかがざらです。もちろんその呪符ボーナスを取らなくてもクリアはできるのですが、それを集めるという楽しみもありますね。あとはスコアでしょうか。
けど、普通のプレイヤーは、やりこみ云々以前にクリアだけでヒーヒー言うと思います。 後述しますが、私なんぞは難易度4段階中一番簡単なのをノーコンティニュークリアするまでに50時間ほどかかりました。

プレイ時には凄い集中力が要求されます。どれくらいかと言うと、プレイすることによって自分のその日の状態が如実に分かるくらい。
不思議なことに、睡眠時間やプレイ時間帯によって、驚くほど自分の腕に差が出ましたね、私は。
常に「被弾するかしないか」のギリギリを求められるので、少しの精神・肉体状態が結果に大きな影響を及ぼすのでしょう。



実用性:1
全年齢ソフトであり、キャラは一切脱ぎませんし色気も出しません。
絵について少々お話をば。
世間の風に流されず、自分のタッチで大事に大事にキャラ絵を描いているのが伝わってくるような、いや私の妄想な気もしますが、そういう絵。和みます。
いたる先生、竜騎士07と並ぶ、私の中の三大超絵師の一人です。(ご不満ならいたる先生と双頭という形でも結構です。)
Kanonでいたる先生の絵に開眼した私から一言。

「頭で考えるんじゃない!ハートで感じるんだ!!」

少なくとも私には実用性0。使えないというか使いたくない。

少なくとも、この作品の頃は、いい絵だと、"この作者のファン達の中では"評判のようです。



音楽:10
「このBGMでゲームができることを幸せに思う——。」 初プレイ時の私の正直な感想です。
物語や舞台設定・キャラにおける"和"の強さ、そして作者の発言と裏腹 に、結構「和」色は鳴りを潜めているイメージ。和風であるのは間違いないのですが、基本的に和風なエスニックソングという感じ。ちょっとあまりよい表現ではないですが…。
とにかく、キャッチー。耳に残る。同人ショップなんかに行くと「東方」というエリアだけで同人系音楽CDのコーナーの半分くらい占めてたりしますが、それが全てたった一人の作者から生み出された音楽のアレンジだというのだから、その人気のほどは窺い知れようというものです。
聴きやすいし耳に残るし歌詞付けやすいってのも大きいでしょうけどね。

少なくとも、耳音痴な私には最高の楽曲陣でした。完全にツボったらしい。全20曲ありますが、最低でも「なかなか良い」レベル。当サイトで、1つでもあれば8点付ける水準の超良曲が計5曲。
しかもそれが、ゲームによく合うのですね。単体で聴いても良いのですが、やはりプレイのBGMに聴くのが最高。
このBGMでなければこんなにも長時間プレイしなかったと断言できます。
音楽と物語(ステージ)、双方が双方の良さを高めあっている、まさにゲームと渾然一体となった良BGM!MIDI再生とWAVE再生の2種類あるので、ちょっとお得感。どちらにもそれぞれのよさがあります。

ボーカル曲:無し



キャラ:7
全員女の子です。人間じゃないのも多数。
シューティングゲームでキャラ7点ってアホじゃないのって感じですが、あれだけプレイ時間かけて各キャラに親しんでいたら、わずかな会話でも胸に染み入るというものです。

このゲームは基本的にキャラとの会話とステージのグラフィックのみで物語が進んでいくので、テキスト項で触れたとおりの、なんとも味のあるキャラの台詞のオンパレードなのですね。
会話文自体はそう多くないのですが、その珍妙さ、諧謔性が小粋で愉快で、頭に残ります。
伊達にキャラだけでも同人で一大勢力築いてないと納得です。



声:無
無いです。というか要りません。あればあるで面白いかも知れませんけど、神性が損な(ry



時間:8
これは本当に人それぞれだと思いますが、結構な時間遊べると思います。費用対効果で考えるとまさに破格。
ちなみに、このレビューを書くのは全ての音楽を1回でも自力で聴いてから、と誓ってプレイしていたのですが、プレイ時間確認したら130時間くらいになってました。(ちなみに、そのレベルでようやく「この作品を所持している者の中では標準的、もしくはやや下」の腕前のようです)
まぁそれは極端としても(腕前のヘタさ的に)、ハマればかなりの時間楽しめると思います。



雑記
システム:コントローラープレイ推奨でしょうか。キーボードでプレイされる方も結構いるようですが。特にシステム面で語ることはありません。リプレイモード有り。Hシーンじゃなく、ゲームのリプレイ。
一度だけシステムいかれて再インストールする羽目に遭いましたが、パッチあててなかったからかな?

演出:BGM"に"ステージ進行"を"合わせていたりする、という、音楽屋としての本気を窺わせます。
ステージも綺麗ですが、なんといっても弾幕が綺麗ですね。あと、次はどんな弾幕が出てくるのかとワクワクもします。



お勧め度:8
基本的に、同人ほど値段の割に中身スカスカなものはないと思ってます。同人好きな人すみません。
けれど、同人業界でも、トップレベルになると、エロゲー業界も真っ青の質と量。
本作がそれに当たると思います。なんといってもBGMですかね。公式サイトで体験版がDLできるので、それでピンと来たら即買いでしょう。ピンと来なかったらスルーして良いと思います。ちなみに、入手方法は各同人ショップでのご購入ですが、入荷時期が限られています。時期によっては、特に新品での入手は困難なので地道に情報収集するか中古を探すか少し余分な出費を覚悟するかしないといけません。

ハマると危険です。
作品自体もそうですが、関連する同人作品が星の数ほど出ているので。
私は、東方系同人屋さんやそのファンには大変申し訳ないことに、この作者が作ったもの以外は一切受け付けない潔癖症に陥ってしまったので支出もたいしたことはないのですが、同人に抵抗ない人、造詣深い人は沼にはまるように「東方」の同人ワールドにずぶずぶと沈んでいくことでしょう。




気に入り度:9
「世の中、努力よりも才能なのか…」と、凡人の私を打ちのめす本作。ゲーム、音楽、CG、全て一人の手で作られたという事実に驚愕せざるを得ません。
世界設定やキャラ達の会話、ゲーム性、弾幕の美しさとどの面から見てもなかなか良いのですが、一番はやはり音楽。
ヘタクソな私を、この初プレイからこのレビューを書くに至るまで7ヶ月間ひたすらストイックにプレイさせたBGMに出会えたこと、そして私のツボつきまくりな音楽屋さんに出会えたに感謝感謝。



(この作品については、プレイ後レビューでも触れております。)



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