智代アフター 〜It’s a Wonderful Life〜

(2006年初頭プレイ,執筆 初夏再プレイ,8/13加筆修正)

メーカー
Key
(Kanon,AIR,CLANNADといった超有名感動系作品ブランド。)



属性
ジャンル:ADV
用途:読み物,おまけでゲーム
舞台:現代の町
顕著な属性:Key



テキスト:7
あらすじ:元伝説の喧嘩師にして元生徒会長の智代との半同棲生活をする主人公。主人公の下宿に日常的に通う、智代の弟の貴文。
ある日貴文は下宿に子供を連れてくる。その子の名前はとも。智代達の父親の隠し子で捨て子である。二人はやむを得ずともを一時的に下宿で世話をすることに。
そんな中、貴文を頼って河南子という少女が下宿に転がり込んでくる。
こうして、5人の共同生活が始まるのだが・・・

CLANNAD以来の(といっても他にAIRしかやってないけど)KEY作品。序盤からムンと濃厚に漂ってくるKeyの雰囲気。これがなかなか悪くない。メインライターの麻枝氏も、AIRとCLANNADの間に何があったか知らないがCLANNADで見せたギャグセンスは(わずかにダウンしているが)健在だし、読んでて飽きないテキスト。序盤から中盤まで、笑いが絶えないです。
お話のつくりは結局、序盤からラストまで相変わらずのKeyでしたが、まぁ7点(好印象)というテキスト得点から察して下さい。多少の感動はあったがKey作品としては初めて涙を流さなかった。
智代ファンディスクというような軽いものではなく、「もしも智代とくっついていたら」という一本筋の通ったアナザーストーリーです。



ゲーム性:6
お話は普通のADV形式で一本道。BAD ENDあり。というわけで本編にゲーム性は無いに等しいのですが…
クリア後、おまけゲームがプレイ可に。RPGと言われているがあれはRPGのふりした戦術SLGだと思います。フィルスノーン(Leaf初期の正統派RPG)みたいなRPGだと思って期待していた私としては予想外。
ストーリーは単純で、ひたすら敵を倒すだけ。ただし、細かな戦闘方法はすべて戦闘開始前にしか指定できず、その戦闘前にどれだけ展開を予測して上手な戦闘設定が出せるかが肝のゲーム。
バランスは非常に良く、ミニゲームとしては秀作だと思います。場合によっては本編並に時間を費やすかも。



実用性:3
実用シーンは10程度あるが、相手は智代のみ。とはいえそれなりにシーン描写も丁寧で陰音もそれなり、智代の声は一色ヒカル、さらに絵師が変わったので「いたる絵では抜けないんだぁ…!」という人も安心…
ということもない。なにせKey。実用シーンを観ているというより、「人の営み」を眺めているようで、微笑ましいような複雑な気持ちになるだけでそれを実用に使うなんてとんでもない!という感じでした。私には。



音楽:9
全体的に、ピアノ演奏が耳に心地よい癒し系のメロディが目につきます。曲数はそれほど多くもなく、本編で使用されるのはボーカル曲抜きで14曲。
以下、音楽についてはあまり期待もしていなかった私が期待を良い意味で裏切られた 結果の感想なのかも知れませんが…。
個人的には、KEY作品中最高。AIRの「夏影」や「鳥の詩」は殿堂入り、名曲中の名曲だと思うのですが、あの辺りには及ばないにしても、私には「良曲ゴロゴロ」という感じでした。
ボーカル曲も、これも一般受けはあまりしないと思うのですが、メロディ・歌詞ともに私のツボ突きまくり。ゲームクリア後にサントラを聴くと感無量です。
よって、敢えて私個人の趣味を全面に出してほぼ最高得点の9点をつけさせていただきますが、客観的に見ても7点を下回ることはないと思います。

ボーカル曲:2曲。OP曲、ED曲。ともにLia唄



キャラ:6
 主人公:名前変更不可,普段はクールにツッコミといじりを繰り返しているが、
     根性あり。高校卒業後、町の小さな工場に勤務しつつ一人暮らしをしている。
 智代:中学時代は荒れており、喧嘩では彼女にかなう者はいなかった。
    弟の家族への献身で目が覚め更正し、高校では生徒会長に。
    主人公とは高校進学後すぐに出会い、やがて付き合うことに。
    性格は真っ直ぐで純。女の子っぽくないような自分を気にしている。
 貴文:智代の弟。明るくきさくで、主人公にも懐いている。
    よく主人公にいじられる。
 とも:幼稚園児。
 河南子:貴文を頼って来た謎の女。貴文と同い年。破天荒でさばさばした性格。

「キャラ萌え」的現象は起こりにくいと思われますが、主人公含めどのキャラも魅力的であることは確か。キャラクター性というより、このキャラ達を生かしたキャラ同士の掛け合いが面白いです。



声:男女
フルボイス。皆上手いです。



時間:4
お話としてそれほど冗長でないのもまた良し、です。これまでのKEY作品に比べれば格段に展開も早い。クリアまでの時間もそれほどかからないと思います。6時間くらい?
先述しましたが、下手するとその後のおまけゲームでも同じくらいの時間費やすかも。



雑記
システムはCLANNADと同じ。REAL LIVEへのショートカットを手動で作らないとプレイもできない不便さは相変わらず。しかしこのプログラム、どうもなかなか良いらしい。オンボロパソコンを使用している知り合いが「動作スムーズ」と喜んでいた。
演出としてはそう目立ったものはなく。



お勧め度:7
エロゲー初心者にも勧められるのでは。前作をプレイしてなくても十分プレイできるレベルだと思います。
先述しましたが、ファンディクのような甘いものではなく、一個のアナザーストーリーという感が強いです。前半はギャグも多いのですが、特に後半はシリアスで、この辺りをのほほんとプレイしていると軽くショック受けるかも。
5800円で初回版ならサントラまで付くので、この価格なら納得の内容。というか、ぜひサントラ有りの入手をお勧めします。




気に入り度:9
また評価も変わるかもしれませんが、プレイ後しばらくしてから、評価上がりました。
普通下がるのですけどね。この辺り、凄いところです。何だかんだでついもう1回プレイし直しましたし。
Keyのテキストは、その希少価値ゆえについつい高評価してしまうのかも知れませんが、それは冷静に考えればどのブランドのテキストでも同じでしょう。私はKEYのノリが好きなので、非常に満足でした。今回も前作に続き、一本筋の通ったテキストをありがとうという感じです。そして何より、良質の音楽をありがとう、ですね。



*この作品については、攻略・プレイ後レビューにても触れております。


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