車輪の国、向日葵の少女(プレイ前用)

車輪の国、向日葵の少女

(執筆:2006/08/06 2006/11/25加筆修正)



メーカー
AKABEiSOFT2
(同人誌及び同人ソフトのサークル、「AKABEiSOFT」が前身。2005年に法人化。  元々同人業界では有名だったが、本作でエロゲー業界での注目度もさらにアップ。)



属性
ジャンル:ADV
用途:読み物
舞台:現代日本チックな異世界。ファンタジー要素皆無。
顕著な属性:CG,元気っ娘,ツンデレ
プレイのきっかけ:2005年の良作一覧として記憶はしていたが、「くのいち咲夜」買うために立ち寄ったソ○○ップにて発見。「レア度アップ中」のPOPにあえなくノックアウト→衝動買い。(咲夜も買いました)



テキスト:10
あらすじ:この世界のこの国では、罪を犯せばその罪に見合った"義務"が与えられる。そしてその"義務"を負った者を監督・更正に向かわせるのが、超一流国家公務員「特別高等人」である。主人公は特別高等人試験の数々を、過去最年少でクリアしてきた男。最後の試験を受けるため、指定された土地…幼い頃主人公が暮らしていた田舎町に戻る。そこで主人公は、3人の"義務"を負った少女達の更正を命じられる。

あらすじで書きましたが、舞台設定からして、意欲的で面白いですね。異世界だけどファンタジーじゃない。純粋にパラレル法律・パラレル国家があるのみです。3人の少女の"義務"がまたユニークで、「一日が12時間の義務」「大人になれない義務」「恋愛できない義務」。まず、この辺りの設定にセンスの良さを感じました。
味があるのは世界設定だけでなく、文章自体の持ち味と、キャラ達の個性、そしてギャグ。持ち味ですが、まず名言・名掛け合い・そして珍言が非常に多い。心に残った台詞数ということでは、これまでプレイした作品の中でダントツに一位です。シュールな一発ギャグから、深く考えさせられる一言まで。また、会話のキャッチボールも絶妙な味を引き出しています。
次にシナリオですが、ストーリー自体は、そう斬新なものでもありません。"泣き"要素もあるにはありますが、まぁ感動系としてはやや弱い、程度でしょうか。もう一押しが足りないように感じました。標準よりはかなり上ですが。独特の世界設定とテキストのテイストに魅せられる展開の意外性もあり。先の展開が読めたりすることも何度かありましたが、業界最高水準で震えるような意外・カッコいい展開もあり。ぜひネタバレは無しでプレイしましょう。攻略サイトも使用しないが吉かと。ただ、途中の鬱展開が長引いたりさっぱり展開が進まなかったりと、冗長さを感じるような部分も散見されました。「プレイ中ずっとワクワクドキドキ」といった部類ではなく、「盛り上がるところは一気に読み進めてしまうけど、そうでないところはページをめくる手も重くなってくる」傾向があります。

全体を通して当サイトとして何より評価しておきたいのが、作品のテーマと、それを示す過程で示される問題提起の鋭さです。プレイヤーからの評価が「萌え」「感動」「抜き」「キャラ」「伏線」などといったレベルに止まりがちな18禁ゲーという業界の中で、これだけの質を持った作品を発表したことは、それだけで評価に値します。
惜しむらくは作品の中で出される数々の問題提起や理論が、非常に分かりにくいこと(難解云々以前に、問題提起がされているかどうかすら気づきにくいです)。よって1回のプレイでそういう奥の方まで理解するのは極めて困難かと思います。
しかしだからこそ、敢えて10点をつけさせていただきます。一度プレイした方も、もしこの作品の深いところに興味が惹かれたなら、もう一度プレイしてみることをお勧めします。
感覚的には、7〜9点といったところです。10点の作品と期待してプレイしてもがっかりするだけだと思います。しかし、この業界には貴重な存在であることは確か。作品の切り口の鋭さと調理法、希少価値を加味して10点。(また下げるかも知れませんが)
一癖も二癖もある、そこまで美味しいというわけでもない異色感動系。けれど、慎重に味わってみると、まさに珍味と気づかされる"ヒューマン"ドラマです。



ゲーム性:4
基本2択の選択肢を選ぶのみなのですが、読み物系ADVなりに、選択することによるドキドキ感を演出しようという努力の跡が見受けられます。



実用性:6
これは… ヤバい。
読み物系にしては最高峰のエロさです。絵が私のツボにハマっただけかも知れませんが。
Hシーンは和姦のみ、少女達との交流・交歓Hばかりですが、なかなかに色気たっぷりです。長いし。
これまでのところ読み物系では「パルフェ ショコラ second blew」がかなりエロかったですが、それをわずかに越えた気がする。
絵描きさん女性だそうですが、CARNERIAN女史といい、女性が描く女性の艶絵は時として本当にエロチックですね。



音楽:8
印象に残った曲、数曲あり。曲数も非常に多く、音楽鑑賞モードは3ページに分かれてました。全体的に、ちょっとクセのある曲かなと思います。複数の製作団体が作ってる模様ですが。
BGMとしてクリティカルヒット級の曲は、残念ながらありませんでした。お気に入りの曲は2,3曲あるのですが。
ただ、ボーカル曲を含む数曲は、ボディブロウのようにジワジワと効いてきます。気がつけば曲の虜。ということで、ゲームプレイ中に限るなら7点、音楽単体で見れば8点とさせていただきます。

ボーカル曲:3曲(いずれも片霧烈火さん唄)



キャラ:9
 主人公:名前変更不可,特別高等人になるため、あらゆることを体に叩きこまれてきており、軽く万能キャラ。
     ただ、人間らしい感情または心の弱さも散見され、それが良くも悪くも働く。
     基本的に尊大な態度だけど、根は真面目で良い奴。
     しかもそのことが実は周りにバレてる。
 さち:「一日が12時間の義務」を負った少女。元気系にして少し天才肌で、珍言も多い。
    義妹と2人暮らし。為替で生計を立てている。
    自称流行アナリストだが、そっちの方面はさっぱり。
 灯花:「大人になれない義務」を負った少女。何かと抜けてるところも多い学級委員長。
    いつも腕を組んでおり主人公にも厳しい態度だが、子供っぽさが見え隠れする。
    ツンデレ。
 夏咲:「恋愛できない義務」を負った少女。いつもおどおどしており、他人と目を合わせない。
    体に触れる・触れられることを義務により禁止されているためか、
    あまり人に近づかず、触れられることに極度におびえる。
    ボーっとするのが趣味で、うずまきを見るのが好き。

以上がメインヒロインですが、脇役となる男性キャラ2人も、非常に濃い。ヘタしたらヒロイン達よりも濃い。一人目は特別高等人。主人公を指導する立場にある超エリートにして頭脳明晰・冷徹な男。もう一人はちょっと頭がお花畑チックな学友。発言が滅茶苦茶。

キャラ達ですが、非常に可愛くも面白く、独特の個性を持っており、その魅力の虜となること請け合いです。
ライターさん・絵師さん・声優さんの見事な相乗効果。



声:男女
フルボイスです。
一言で言って、文句のつけようがありません。完璧。最高。皆さんうますぎです。この辺も、過去最高級。
作りにも手抜かりはなく、文字だけ見れば全く同じ台詞でも、同じものを使いまわしするのではなく、毎回少しずつ声色等が違っていたりして、非常に感服しました。



時間:4
時間は、ADVとしては標準的な長さではないでしょうか。少し短いと思うかも。
あと、個別ルートが非常に短く、全体の95%以上は共通ルートです。よってエンディング回収が大変面倒です。
2巡目以降は退屈なだけでしょう。



雑記
システムは、まぁそれなりに。2005年発売としてはやや粗も残っているかな、程度。少しもっさりとしているのですよね。例えば、ディスクレスプレイ不可、さらにディスク入れると毎回インストールモードしか立ち上がらないという…。

演出として、秀作の常道というか、キャラ達の細かい表情変化まで描かれており、 好感が持てました。

絵が非常に綺麗です。立ち絵の表情変化もバリエーションに富んでおり見ものですし、背景が非常に綺麗。そろそろ古くなってきましたが、同じ夏ゲーということで「AIR」の背景を彷彿とさせました。ともあれ非常に綺麗。

物語の中で一つ大きな問題点を言うのなら、共通ルートが非常に長いので、個別エンドを見るのが一苦労です。



お勧め度:9
これを勧めずして何を勧める。
…というと言いすぎでしょうが、全体的に非常に良い仕事をしています。安心してお勧めできます。
謎解き系というよりヒューマンドラマなのですね。あまり難しいことおは考えず、素直に展開を楽しむだけでも十分だと思います。
途中、結構鬱シーンも長いです。物語も長引きます。その点だけは注意して下さい。現実逃避に向いているわけではない、あくまでドラマを楽しむ感じで、鬱展開は主人公と一緒に鬱な気分になりましょう。
その辺覚悟していれば、良作判定はほぼ間違いなしだと思われます。特に18禁ゲーム初級者には神的作品になるかも。そういう意味で、布教にもうってつけなのかも知れません…。
そして、もし気が向けば、作品全体を眺めてみましょう。時間があるなら、とことんまで考察する価値のある作品だと思います。




気に入り度:10
ヘタすると、1回のプレイ時間よりも考察関係に費やした時間の方が長いかも知れません…。
まずは世界設定を楽しみ、展開を楽しみ、そしてキャラを楽しみ、ドラマを楽しみ、さらにシナリオ展開を楽しみ、それで一回クリア。気になるところがあったので再プレイ、考察してみると、驚くほど考察しがいのあるテーマ。さらに、含蓄深い名言の数々。
どうも高得点つけすぎな気もするのですが、とことんまで楽しませていただいたのは確かです。




この作品については、攻略・プレイ後レビューにても触れています



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