SIN 黒朱鷺色の少女

(執筆:2009/01/04)



メーカー

Studio Mebius
(「SNOW」発売の時に「悪夢」「絶望」は無かったことにしたブランド。)



属性

発売時期:2008年11月
ジャンル:ADV
用途:読み物・萌え系
舞台:現代の街
顕著な属性:ツンデレ
プレイのきっかけ:あのMebius久々の新作ということで興味出て。(プレイ前の期待得点…6点)
プレイ進捗状況:コンプ



テキスト:3

あらすじ:普通の学園生活を送っていた主人公の元に、ある夜異世界を追われて逃げてきた魔王が。その際、何故か魔王の力の半分が主人公に宿ってしまったため、主人公は魔王(見た目は少女)との運命共同体を強いられる。


まずはありがとうと言わせて下さい。文句なしにつまらないです。そう言い切れるクオリティをありがとう。
ルートが完全一本道なのも、Hシーンが極少ないのも、テキストのクオリティが低いのも、「だってミドルプライスだからね〜(定価5800円)」の印籠さえあればそう問題ありません。問題なのは、ミドルプライスにしたって低すぎるだろうというテキストの質。
テキスト・シナリオ・コンセプト。3拍子揃って駄目。見所無し。
まずコンセプトですが、魔王と普通の人間が運命共同体になるっていう点は良いと思います。しかしこれは、魔王という悪の存在と人間というどちらかというと善でいたい存在とのジレンマを描き切ってこそ光るコンセプトです。しかし本作はそこから逃げっぱなし。何が描きたいのかとずっと注目してましたが、結局人目を惹いて売れればそれでいいや的安直な思考以外は何も感じ取れませんでした。
続いてシナリオ。いやね、面白ければメッセージだのコンセプトだの無くたっていいんですよ。けど面白くない。このシナリオ展開はまずいだろうどう見ても。全然盛り上がらないんだもの。ひたすら「ふ〜ん」「へー」「はぁー」程度の山場があるのみ。谷間の憂鬱な雰囲気のシーンは悪くないんですけどね。 この辺は、魔王を主人公サイドに持ってきてしまった弊害がモロに出たと言えますね。その弊害への打開策がしょぼしょぼだったのでこうして叩いているわけです。
最後にテキスト。これも酷かった。"♪"マーク多用で気持ち悪い。強調表現(あれ何て名前なんでしょう、テキストのルビの位置に点つけるやつ)も多用しすぎ。中学生のラノベもどき読んでるんじゃねぇんだ。もちろん、各キャラのセリフも結構アレで、声優さんには何度も同情しました。

まとめると一言、「堂々と頑張ったのは認める。けれど二度と読みたくない」



ゲーム性:3

選択肢は結構沢山出てきます。
が、一本道なので選択肢の多さでルート分岐がごちゃごちゃになったりとかいうことはないです。



実用性:4

近年稀に見るHシーンの薄さ。
計2シーンしかなかったんじゃないか。しかも実にソフト。
まさかコンシュマー移植狙いとか……?



音楽:6

音楽は良かったです。
そもそも私は公式サイトでも流れる主題歌に惹かれて購入したようなものもありますし、BGMもBGMとしてきっちり機能していた…というか至らないテキストを助ける勢い。今調べたら(私未プレイですが)同人フリーの名作「narcissu(2作とも)」の音楽も手がけているとか。

ボーカル曲:3曲



キャラ:5

主人公:煌(名前変更不可)。見た目は子供、頭脳はヲタク。別に駄目人間って訳でも無いのですが、ライターの技量不足のせいで低スペックの馬鹿にしか見えない。しかも部屋はヲタ部屋。意味が分からない。
幼馴染:なぜ愛想も尽かさずしっかり主人公の面倒を見ているのか理解できませんが、エロゲにはよくあること。ちょっと過保護すぎる上に時々謎のマイワールドを発動するのでちょっとうざいです。主人公の些細な言動に対してよく手を上げます。
魔王:主人公をペット以下ミジンコ以下の下僕扱い。ツン:デレ=95:5くらい。ツンデレというよりSですな。よく言うセリフの一部を抜粋すると「オタンコカス」「ウスラトンカツ」。民安さん乙でした。敵と闘うときは「足りない力は知恵で補う」的闘い方に終始するので、なかなか悪くないです。
クラスメート:この地方を完全に牛耳ってる宝泉院家のお嬢様。ほわほわとしたキャラながら、皆のために率先して動いてくれる。

魔王以外とのHシーンはありません。ご了承下さい。
キャラ萌えも、どうなんでしょうね。頼みの綱は魔王くらいですが、普通の男性はこんな傲慢なキャラ、ノーサンキューじゃないでしょうか。強気なのはいいけど、主人公に対して出てくるセリフは基本的に罵倒ですからね。罵倒されたいっていう少数の方も、「ウスラトンカツ」とか言われると反応に困るんじゃないだろうか。



声:男女

男女フルボイスなせいで、私が声優さんに同情する頻度もグッとアップ。特に男性陣には同情した。順位つけると
1位:紫闇、2位:レイブン3位:比呂光
です。
声自体はなかなか良かったです。
特に気に入っているのが、魔王の
「……………?」
ってセリフ。(ちゃんと民安さんが声入れてくれてます。これが地味に中毒性がある)



時間:4

一本道とはいえ、長かったですね。十数時間はあったんじゃないか。



その他

システム:特に不満なかったです。1回クリアするまでEXTRAモードは解放されないというエロゲ常道の手法、本作には必須。
演出:何といっても本作は演出が凄い。画面内部が非常によく動く。戦闘シーンしかり、日常シーンしかり。結構綺麗です。まだそれに目が慣れてない序盤とか、「最近のエロゲはすげぇなぁ…」と見惚れていました。
ただ、ちょっと演出派手すぎて、一部演出ではその画面効果が開始する前にブランクタイムが出来てその間うちのマシンが決まってキリキリと音を立てていたので、なんともシュールでした。
それと効果音。だいたい良かったのですが、その、ギャグシーンの「ガーン」とシリアスシーンの「ガーン」が同じ音っていうのは、これ、どうなんでしょう…?最頻出音だけに気になりました。

あと、非常に多かったのが、テキストとセリフが微妙に合ってない箇所。あまりにも多くて驚きました。音声収録した後にテキストに手を入れたのか、収録現場でロクにチェックしなかったのか。



お勧め度:4

お勧めしません☆

決して、いい加減な作りとかいうことはないです。商業作品として世に出す分には全然問題ないレベル。ただ、テキストの質が低いだけ。その一点です。
CGは綺麗ですし、音楽もいい。画面演出は重いけど、その分なかなか凄い。当サイトはCGの美しさとかにあまり重点おいてませんが、なかなか綺麗でした。OP曲はカッコいいし、OPムービーとか、こういうベタなの大好き。センス感じましたし、素晴らしい出来だと思います。本当に。これでどれだけ期待したことか。
でも本編は駄作。
これだけの素材で、この駄作は無いわ。
OPムービー見て妄想膨らませるだけで終わっておきましょう。

ミドルプライスだということを考慮に入れて、おまけで4点。
エロゲーメーカーは、テキストがゲームの根幹だということをもっと肝に銘じておくべき。




気に入り度:3

ミドルプライスだということを考慮に入れても3点。
本作を通して最も感動したのが、エンディングを迎えたときでした。
「やっと終わったーーっ」
冬休みの宿題やってるんじゃねぇぞ!!


私、この絵師さん好きなんですよね…。
個人的には、「悪夢」「絶望」とか無茶な作品出してた頃のメビウスに戻ってほしいもんだけど、無理だろうな…。





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