(2005/03/21執筆 2008/05/20加筆修正)

メーカー
LEAF
(大御所、出すソフトにほぼハズレ無しブランドです。この雫が出世作1作目。)



属性
VN(visual Novel),物語,学園SF物,電波



テキスト:8
あらすじ:同じクラスの委員長が授業中突然狂ってしまう。薬物?ノイローゼ?背後に、他者の存在が浮かび上がる。主人公の高校生は、同じ高校の教師をしている叔父さんに事件調査を依頼され、主人公は深夜の学校に向かうのだった。

エロゲー業界にADVの新風を起こした起爆剤的作品。1996年発売と非常に古い作品であり、テキスト自体もこう言ってはなんですが垢抜けてない、古臭さ・青臭さを感じさせるものです。
しかし、私がエロゲー歴1年弱の駆け出しの時、この作品をプレイしていなければ私のエロゲーとの付き合いは全く違ったものになっていたと思います。
恐らく、以下の点が、当時の私に大きな感動を与えたのだと思います。

・「狂気」というものを新たな視点で描くことで、人間の認識について考えさせる点
・「狂気」という、全年齢(少年誌等)では少々扱い辛いテーマを普通に扱っている点
・18禁ならではの、情け容赦の一切無いBAD ENDの数々

つまり、元祖「(エロいとかじゃなくて)"大人向けの""制約のない"物語」なんですね。
18禁というのは一見制限有りなイメージですが、入ってくる者を制限することで、表現を無制限にしたという点がすごいんじゃないですかね。
どれも、今にしてみれば当たり前のような感じですが、それも先駆者あってのものです。

で、本編の出来について、ですが。
つい最近、久々に再プレイをしまして。そこから得られた感想。

まずテキストですが、先述の通り未熟な感じもします。しかしこの辺は、一貫して高校生の主人公視点なので、適切と言えば適切。
描かれているものも、古今の名作エロゲーをプレイしていると"陳腐"で"中身の薄いもの"に感じてしまうでしょう。あまり多くを語っていないので、能動的にプレイヤーが(スキップできないエンディング画面など眺めながら)色々考えることで考えをまとめる必要があるかも。
けれど、やはり、エンターテイメントとしては非常に良く出来ている。どうも、上述したようなところばかり持ち上げられている印象ですが、下地がしっかりしているんですね。
ネタバレ回避のため詳しくは書きませんが、普通に「面白い」ですよ。
事件の謎を解明するため、女の子と2人で夜の校舎に潜入。チャラい感じは一切無く、間違った選択肢を選んだプレイヤーへの手心も一切ありません。

生きるか死ぬかのドキドキを味わって下さい。



ゲーム性:4
「選択肢を間違うと即死」形式、の元祖…なのかも知れません。
そしてその即死描写があまりにも衝撃的で、それが話題を呼んだ一因でもありました。
「はさみエンド」「トースターエンド」は強烈です。当分忘れないでしょう。
一度で即死無しにエンドすることはまずないでしょうが、即死したらその後にヒントコーナーがあるので、良い味を出しつつプレイヤー助かる、といういい出来です。



実用性:4
エロいです。
屈辱かも知れませんが、水無月絵を前に本当にズボンにテント張ってしまうレベル。

まず、Hシーンの文章が読みやすい。音声・SE一切無しの代わりに、擬音が実にうまく 使われており、それが生々しさを引き立てます。
さらに、シーンの状況。愛のあるHもあれば、真性の強姦もあり。AV等の強姦のように粗野ではなく、陵辱色よりも悲哀色の強い、良いHシーンです。
悔しい、けど感じちゃう。



音楽:8
今はKeyに移ってしまった折戸氏をはじめ、作曲陣は結構すごい気がします。
だからなのか、音楽は非常にいいです。ボーカル曲なんぞは当然のごとくございませんが、それでも十分に8点を出せる楽曲です。聴いて損無し!
今聴くとやはり古さを感じはしますが、それでも、当時お気に入りだった曲数曲は、色褪せず名曲のままでした。



キャラ:7
主人公:名前変更不可,陰気で目立たないタイプの一高校生。

    (この設定自体結構珍しいです)
ヒロイン:学年一の美少女、しかし不思議な雰囲気。
ヒロイン:明るく元気なバレーボール部員。
ヒロイン:主人公のクラスの委員長の親友。おとなしく引っ込み思案な眼鏡っ子。  

元祖元気系、けど実は… なギャップが可愛い。少年の夢をそのまま具現化したような、良い美少女です。
真ヒロインである不思議系は、これまた実に味があってよいです。名言出てます。
眼鏡っ子は眼鏡っ子なだけです。



声:無
リニューアル版では声ありなんですけどね。
デモで聴いたけどなかなか悪くなかったです。配役に合った声かと。

それはともかく、今回は声無しです。声無しで十分楽しめます。



時間:4
短いです。強く不満を覚えるほど短くはないと思われますが、まぁ長くはないですね。この短さは昔の作品っぽいです。
エンドがちょっと多いので、 BAD ENDまで全部回収しようとすると大変です。時間ない方は主要なエンドだけ押さえておけばいいのでは。



雑記
システムは…もう、最低限のみだと心得ましょう。オートプレイもマウスホイールも当然非対応。
セーブ箇所は実質1つです。シーン回想などありません。既読文スキップはあります。

それでも、リニューアル版よりこちらを推します。



お勧め度:5
いい加減古くなりましたし、昨今のエロゲーマーにいまさら勧めるようなものではないと思います。教養だと思って一度やってみるという気概のある方には、プレイなさることを歓迎します。それ以外の方には敢えて勧めもしません。
それなりに楽しめるとは思いますけどね。
これまではエロゲーの古典だと思ってましたが、ちょっと違ってたかも。間違いなく当時のエロゲー業界を一変させた作品の一つなのですが、現在でも「最高傑作のひとつ」として通用するかと言われると、さすがにちょっと厳しいものがある。
とは言え、私の中では冷静に考えても本作こそが狂気を扱ったエロゲーの代表だと思います。シナリオも面白いしキャラも可愛い。かなり変則的ではありますが。
音楽はなかなか聴かせますし、魅力はやはり健在だと思います。




気に入り度:8
エロゲー、すなわち18禁ゲーム業界という、一見、未発達の閉じられた世界。
しかし、そこに無限の可能性を感じてしまった。
嘘偽りの無い、この作品をプレイしての当時の私の感想です。
詳しくはプレイ後レビューで。





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