戦極姫〜戦乱の世に焔立つ〜

(執筆:2008/11/24 最終修正:2008/12/21)



メーカー
げーせん18
(UNICORN-Aの子ブランドの一つ。SLG系がメイン。基本的に評価は低い。)



属性
発売時期:2008年11月
ジャンル:戦略SLG
用途:ゲーム
舞台:架空戦国ワールド
顕著な属性:巨乳・輪姦
プレイのきっかけ:戦略SLGだから・・・!私は買い支えるの・・・!たとえ地雷でも・・・!(プレイ前の期待得点…5点)
プレイ進捗状況:1巡クリア(島津)、2巡目クリア(織田)、3巡目クリア(上杉)、4巡目中盤(毛利)



テキスト:5
あらすじ:およそ半分が女性化しちゃってる戦国ワールドで、軍師として生きる主人公。最初に選択した国によって、主人公の設定も変わる。

島津家と織田家のテキストは、SLGのおまけテキストとして想像できるレベル以上でも以下でもありません。決して悪い出来ではないと思います。いわゆるテンプレキャラがテンプレどおりに動いているので、安心して読んでられます。そう詰まらないということもなし。ゲームのシビアさとは裏腹に、結構明るい感じの萌え系メインシナリオだと思います。
それに対して上杉家。これは良テキスト。あくまでSLGのおまけ的なポジションであり量であるので、テキスト単体での評価となるとどうしても他テキストゲーに見劣りはするものの、小粒ながらピリリと存在感のある、引き締まった良テキストだと思います。また後のキャラ項でも褒めますが、素晴らしい。

エロゲーでは、SLGパートは楽しいのにADVパートは… みたいな作品もありますが、本作は全体を通してADVパートがきっちりプラスに働いていると思います。SLGパートでの武将ユニットに命吹き込むことに成功している。(「信長の野望」等KOEIの歴史戦略シリーズはこの辺が出来ないため、プレイしていてもふと途方もない不毛感に苛まされる。) 上杉より少々見劣りする織田・島津も、出来自体はそれほど良いわけではないですが、悪くもないですからね。この2つについては戦記系の萌えシナリオをお楽しみ下さい。そして上杉は普通にテキストゲーとしてお楽しみ下さい。

テキスト面で、一点だけ注意事項を。
結構、キャラ萌えが主力というかキャラゲーの色が強い本作ですが、主要ヒロインの名前が軒並み戦国武将の名前そのままですので、戦国ファンの方は要警戒態勢。ふと我に返ったりすると「織田信長」とか「島津義弘」とか「上杉謙信」とかいった人物とファーストネームで呼び合っていちゃいちゃする眼前のテキストに血の毛が引くことでしょう。雑念を捨て、いわゆる戦国時代とは全く別次元の世界であると割り切る強い心が必要です。

また、SLGを進めていくことでたまに他国で起こっているイベントも紹介されますが、そちらは、メインシナリオとは対照的に、結構ダークなイベントであることも。また一部メインシナリオでも一部バッドイベントがあります。(回避可)



ゲーム性:8
ちょっと点数高すぎかも知れませんが、これくらいは評価しておきたい。
地域制圧型の戦略SLGです。一つの国(地域。尾張とか美濃とか越後とか)ごとに、城が多数存在し、それぞれの城が街道で繋がっています。その国の城をあらかた自分の領土にすれば、その国が自分の領土ということになります。
国内の城の数が多いので、一つの城を落とす・落とさない程度で大勢に決着がついたりはしません。同じ城でも、戦略上極めて重要な位置になることもあれば、守備する価値がほとんどない城になる場合もあります。わざと城を放棄することで、その後の侵攻が楽になる場合もあるでしょう。また、歯噛みしながらでも城を放棄せざるを得ない局面もあるでしょう。 どの城をどの順で落とすか、またどの城をどう守るか、その都度変動する他勢力のおよその動向、敵部隊の数や強さを見据えながら、限られた武将・兵士数の中から上手にやりくりし立ち回るのがこのゲームの肝です。
もう一つ触れておきたい本作の大きな特徴として、敵武将・自武将とも、非常に高頻度で切腹するという点があります。主要キャラ・汎用キャラの区別などなく、ザクザク自害します。狙った娘が自害、などしょっちゅうです。これから狙うつもりでワクワクと侵攻していくと、既にその娘は死んでおり別の者が家中を盛り立てていた、なんてこともしょちゅうです。「信長の野望」みたいに、主家が滅亡するまではズルズルと生き延びて、主家が滅亡するや否やホイホイ寝返ったりしません。「城を枕に討ち死に」が日常的に起こります。「織田家打倒のためには残りは清洲城落とすだけだけど、この清洲城に武将何十人いるんだこれ…。」みたいな非現実的な事態は起こりません。戦国の世の無常を、実に淡々と描いています。
それを救済するのが智将による「引き抜き」コマンド。文字通り、敵武将を寝返らせます。寝返る率は、「信長」に比べて格段に高いです。というのも、何度も説得することにより落ちることがよくあるのです。必ず欲しい武将は、何度も説得しましょう。
かと言って、無闇に引き抜きだけしていれば勝てるかというとそうでもない。引き抜かれた武将に払う俸禄は降伏武将や志願武将に比べて高いため、引き抜きばかりしているとすぐに財政が立ち行かなくなります。とはいえ、兵力の差が開きすぎて「引き抜き」以外突破口が開かれない場合もあります。よって、誰を引き抜くかについても臨機応変の対応が必要です。
続いて中毒性についてですが、「戦国ランス」ほどではありません。ていうかあれより中毒性高いゲームって、エロゲ全作見渡してもほぼ0でしょう。あれは異常。止めどころが分からないままひたすらズルズル続けてしまいますから。こちらは、挿入イベントが少ない分、自分の意思で止めることが比較的容易です。日々忙しい勤勉な大学生・社会人向けと言えるでしょう。

まとめると、シンプルなシステムながら、実に楽しい。まさに、限られた条件でなんとかやりくりするのが得意な日本人向けのゲームと言えるでしょう。
バランスも大したもので、終盤までダレません。割愛しますが、募兵も無尽蔵にホイホイできるわけではないので、領地が広がっても緊張は続きます。他勢力も自国に迫る勢いで大きくなりますし。
最後に、私が考える、本作を楽しむ一つのコツ。上述した話と結構かぶるのですが。
それは、なるべくロードに頼らずプレイすることではないでしょうか。
その場その場の戦術で戦況が劇的に変化したりするタイプのゲームではありません。(こういうタイプの作品だとセーブ&ロードが必須になってくるのですが)
一つ一つの戦術ももちろん馬鹿にはできないのですが、それよりもプレイヤーが見据えておきたいのは、より俯瞰的視点。1回や2回の戦闘で負けて城を取られることなどザラです。そこで即ロードしてしまうようなプレイスタイルでは、ロード地獄に突入して「はいクソゲー、作業ゲー」で投げてしまうこと必至。そうではなく、攻められたらその局面からどう盛り返すか。突撃だけが戦略ではありません。天下統一のためには、一時撤退を強いられる地方もあるでしょう。自国や他国の状態、自部隊の状態、領内の城の堅固さなどを総合的にとらえ、腰を据えてじっくりと自分なりの戦略を進められる点が、このゲームの一番の魅力ではないでしょうか。
八方塞り、手詰まり感濃厚な局面に晒されることもあるでしょう。しかしそこで諦めずにじっくり考えれば、意外と道は拓けたりもします。案ずるより産むが易しではないですが、めげずに頑張っていると突如楽になったり。
このゲームプレイしていて面白かったのが、「自分が苦しい時は相手も苦しい」ってフレーズがしっくり来る展開が何回かあったことですね。恐らく敵国もチートをしないのでしょう。



実用性:5
びっくりした。

意外とエロいです。

なんと絵師が女キャラで6人、男キャラで3人、計9人もいるので大変なことになっているのですが、今述べるのは女キャラの6人についてでいいでしょう。
一番完成度の高い絵師は、恐らくみつるぎあおい氏でしょう。しかし、一番エロい絵を描いているのは、ひょっとすると米柄了氏かも知れない。
そして何より評価したいのが、どのライターさんか知りませんけど、とあるライターさんの描くダーク系エロシーン。具体的に言うと、他国で理不尽な凌辱受けているキャラのシーン。
実に良い感じです。「凌辱に対する諦観」「不本意な奉仕」「正気のまま凌辱(非快楽落ち)」の三点セットが、きっちり守られた、理不尽凌辱系。このライターさんには、是非凌辱ゲーで専属で一本書いてほしい。ダークでクールで、それでいてねちっこい、良いテキストでした。
残念ながら差分も少なければ尺もあまり長くはないので、実用にはあと一歩至らないという感がありますが、これは久々に良いテキスト。これぞ戦国、混沌の時代。おじさん感動した。

あ、基本となるメインシナリオ系は、ベタなラブコメ和姦とか純愛和姦とかです。
そして全体通して共通しているのが、爆乳の割合が妙に高いこと。個人的にツボった。これくらい大きいとダイレクトにお脳を揺さぶります。
いやぁ、爆乳って、本当に良いものですね。




音楽:6
これも予想以上に良くてびっくり。
それほど良いというわけでもないですが、なかなかに熱い曲が揃っています。
公式サイトのBGMが気に入らないなら印象も低いでしょうが、あれでちょっとワクワクしちまった私には、期待通りの出来。惜しむらくは曲数の少なさかも知れませんが、気にはなりませんでした。少ないというより、もっと多かったら嬉しかったと言った方が正確か。

ボーカル曲:有(OP曲)



キャラ:5
 主人公:シナリオによって多少キャラが変わる模様。
     島津シナリオでは、4姉妹の幼馴染で、本当は優秀だけど
     優秀な姉妹の顔を立て昼間は無能を装っている軍師。
     織田シナリオでは、やはり優秀な流れの軍師。性格は軽め。また特に鈍感。(ただし優秀さは確認できず)
     上杉では、空気読める優秀な流れの軍師。結構渋めの性格。(こちらはシナリオ上で優秀っぷりが見てとれる)
     多分全ルート共通なのは、何故かモテまくって絶倫である点。
     お約束ですね。
 その他:さすがに多いので、公式サイト見て下さい。

先述のとおり、テンプレ的キャラが多く、安心して読んでられる反面、それほどドラマティックな展開もキャラ伏線等もない感じです。
ただ、上杉だけは素晴らしかった。上杉謙信について詳しい方は、彼の実に良いパロディであると見てとれるでしょうし、知っていても知らなくても、謙信(女)の持つ何とも言えない質素ながら清廉な美しさ・格好良さに魅了されるでしょう。というか私が魅了された。思いっきりツボ入りました。
余談ですが、噂によると、上杉・武田のシナリオが特に優良らしいです。



声:男女
ADVでは女性のみパートボイス有(笑)、SLGでは男女フルボイスという、実によく分かっておられる取捨選択。
惜しむらくは、汎用キャラの出来が男女ともに結構酷いこと。
武官系キャラの声とクールな女武士系キャラの声はいいとしても、間の抜けた男武将声と、謎のツンデレ女キャラの声は何なのか。
しかし私は、デモムービーを見た時にこのツンデレキャラが同盟求められて
「ア…、アンタなんか、大っ嫌いよぉ!!!」
と罵倒しているのに心奪われた手前、あまり酷い酷いともいえない。戦国ゲーとのミスマッチがウケる、とも言える。



時間:6
1巡するまでにおよそ20時間くらいかけたかな?2巡目はもっと短いでしょうが。
モチベーションは、私の場合2巡でこのゲームに慣れてしまって有効な攻略法が身についてしまったため、3巡目の中盤までには「あぁこれはこのままクリアできるな」と確信を持ててしまいそこで飽きましたが、そこまではほぼノンストップに楽しめました。



雑記
ここまで絶賛してきましたが。

まずシステム。
マウスホイール非対応なのは正直痛い。
ロードするには一度タイトル画面に戻るしかないのは、私がさっきコツでお話ししましたとおり、「あまりロードしないでプレイした方が楽しいよ」という製作サイドからの声ならぬ声なのでしょう。
演出がすっげーチープな気がするのは、昨今の演出至上主義へのアンチテーゼ、プレイヤーがそれぞれ想像力をかきたてながらプレイしていた90年代ネットゲー・エロゲーへの回帰なのでしょうか。
効果音の一部がフリー素材にしか聴こえないのは、「もうちょっとマイナーな効果音使ってね」と言うに留めます。すぐに慣れます。
複数絵師はともかく、塗りまで全く統一されていない点についてはさすがにフォローに困りますが、立ち絵はあまり見ないようにしましょう。複数キャラが出てきたら、片方ずつに目の焦点をあてるようにしましょう。
背景が基本的にあまり良い出来栄えではありませんが、これも背景云々言ってないでプレイヤーが各自想像で補うところなのでしょう。近年の私達はちょっと恵まれすぎている!
色々と、システムまわりや演出は、90年代エロゲーを彷彿とさせる、懐かしい味わいのあるものでした。あ、ゲームも。

最後、ユーザビリティですが、そう悪くないです。ていうか他のSLGである「戦国ランス」や「信長の野望」シリーズも、ユーザビリティは実は決して高くないですからね。



お勧め度:6
一言で言うと、「プレイヤー自身に求められることが無闇に多い良作エロゲ的戦略SLG」。
その「求められること」をざっと列挙しますと、
・舞台になっているのは戦国時代とは全く別の世界であると常に念頭に置くこと
・泣かないこと(お目当てのヒロインが既に切腹済みでも)
・投げ出さないこと(そのヒロインは次巡プレイ時に改めて捕らえましょう)
・逃げ出さないこと(ちょっと不利になったらからといってすぐロードしない)
・信じぬくこと(膠着状態になったからといってすぐロードしない)
・チープな演出は脳内の妄想で補完すること
・複数の立ち絵を同時に見ないこと
・プレイ開始前に(←重要)修正パッチをあてること
・各絵師のCGの出来については頭で考えるのではなく、ハートで感じること
・背景にはあまり目を向けずに立ち絵に集中すること
・おっぱい星人
・輪姦スキー
くらいでしょうか。これだけ守れば、きっと良作。アナタにとっての良作。

…まぁそれは冗談としても、これを見ていただければ、だいたいどのくらいご自身にとって合う(合わない)か判別つくんじゃないかと。

ざっと傾向を見る限り、「顧客である我らエロゲーマーは神様!」的思考の人にはお勧めできない。逆に、荒野の地平を自ら切り拓き邁進できるような強きエロゲーマーには、きっとやり応えのある作品でしょう。90年代エロゲにも堪能なベテランさんとか。

一点だけ納得いかない点、というか惜しい点。
それは、SLGパートでヒロインに会っても、そのヒロインとの仲が深まるだけでSLGパートにとってはマイナスにしかならないこと(行動値消費するからマイナス)。キャラクタークリアとか、何らかの特典をつけてくれれば、この作品もさらに面白くなったんじゃないかなぁと思います。織田や毛利ならともかく、島津とかだと忙しくてヒロインに会ってる暇あまりないですからね。この点は残念。
あと、皆さんおっしゃってる解雇機能ですが、私も最初欲しいなと思ったものですが、よくよく考えると、これをつけてしまうと難易度がかなり低くなります。敵武将ガンガン引き抜いて片っ端から解雇すりゃいいんだから。この機能なくてもゲームバランス的に特に問題なかったです。
最後に、私のお勧めクリア順ですが、とりあえず初巡に毛利ってのはやめとけと。多分一番難しいです。これをクリアできてしまうと2巡目以降の楽しさ低下が大きくなります。




気に入り度:6
私としては、発売前に見たデモムービーのあまりのつまらなさに絶望し、「これを楽しむには相当の心構えがいるぞ」と悲壮な覚悟で臨んだ本作、蓋を開けてみればマイナス要素は予想内のレベルでしたし、激烈に不安だったゲーム性は意外や意外、なかなかよく出来たもので、感心させられました。元となった「天下統一」というゲームは未プレイなので、余計楽しかったのかも知れません。

何はともあれ、スタッフよく頑張った。粗は非常に多いですが、恐らくスタッフも、限られた予算・時間・人材の中で切るべきところを切り残すべきところを残し、完成にこぎつけたのでしょう。結果、致命傷は一つもないまま「ゲーム性を楽しめるエロゲー」を完成させた点は賞賛に値すると思います。



(この作品については、日記ページ、簡易攻略ページにても触れています)



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