ローズガンズデイズ

(執筆:2016/07/20-8/11)

製作

07th EXPANSION
(TYPE-MOON(旧)、上海アリス幻樂団と並び3大化物同人サークル。うみねこ後ファンの多くにはそっぽ向かれているっぽいが…)

属性

発売時期:2012年8月〜2014年1月にかけて4つに分けて。
ジャンル:ADV
用途:読み物
舞台:第二次大戦後に日本が米国と中国に分割統治された、戦後すぐの東京
顕著な性属性:
プレイのきっかけ:久々に竜騎士07の作品を読みたくて(プレイ前の期待得点…7点)
プレイ進捗状況:一通りクリア

テキスト:8

あらすじ:第二次大戦は、日本を突如襲った大震災により突然の終結を迎える。 その後日本は、市政レベルで中国・米国それぞれによる統治下に入る。日本の帰還兵「レオ・獅子神」が敗戦後3年後に帰ってきた東京も、 中国・米国が競うように統治をしており、日本人はそれら両国に揉まれ苦しい時を過ごしていた。男は低賃金での労働に汗を流すしかなく、 女は夜の街に出て花を売る。
レオは、ひょんなことからとあるナイトクラブのマダム「ローズ・灰原」の用心棒となる。自分たちの仲間を守るため懸命に動く彼女は、 やがて東京中を巻き込んだ暗黒街の大抗争に巻き込まれていくが…


ひぐらしやうみねこと違いミステリ要素は皆無で、エンタメに徹した作品です。大戦後すぐの東京暗黒街を舞台にした、 マフィアの抗争物語と言ってもいいでしょう。主人公らは、敗戦国民である日本人の生き残りを賭け、対立組織と、 金、政治、暴力を用いて戦います。
エンタメと申しましたが、エンタメとしての方向性は、物語が進むにつれ変化していきます。様々な意味でのエンタメと申していいでしょう。 一口に申せば、本作ライターの竜騎士07が最も得意とする、プレイヤーをぐいぐい惹き込んでくる求心性の高いシナリオ展開と、 個性と魅力溢れるキャラクター達のやり取りですね。
本作は「悪魔的」と言えるほど毒の強いものではなく、幾分マイルドな仕上がりですが、だからこそ、 竜騎士07作品のそういうどぎつさが苦手という人も楽しめる作りではないでしょうか。
シナリオが結構展開していきますので、「こういうところが面白い!」と書くとネタバレになってしまいあまり書けないのですが、 主観的なことを申し上げると、とにかく面白い!!特に4部作のうち2部〜4部はノンストップ必至です。
シナリオ方面での難点は2点。実は結末の一部は作中で事前に開示された上でのシナリオ展開となります。 いわば、若干のセルフネタバレを食らった上でのシナリオ展開となるので、結果として少し間延びしてしまったところもある。
そして、物語を締めくくるにあたって、あと一歩何らかの押しが欲しかったという、余韻の弱さを残す。
これらの難点のため8点止まりですが、テキストは一貫してハイクオリティという素晴らしい作品であることには変わりありません。

ゲーム性:4

作中の戦闘シーン(殴り合い、銃撃戦)は全てミニゲームにて演出の代わりとされています。
ミニゲームとは、大きく攻撃・防御に分かれており、 攻撃時は画面に1クリックごとに提示される的を制限時間内にできるだけ早く・多くクリックしていくというもの。
防御時は、画面に提示される的にマウスカーソルを素早く合わせていく(クリック不要)というもの。
このミニゲームに応じて得点が加算され、得点に応じてプレイヤーには勲章が与えられますが、ゲーム進行には一切影響を与えないものです。 また、このミニゲーム自体スキップ可能です。

このミニゲーム、なかなか評価が難しいところ。難点から挙げると、ちょっと数が多すぎるんですよ。シナリオ展開が気になっているのに、 次から次へとこのミニゲームが出てきて展開が進まない。パッと飛ばしてしまえばいいのでしょうが、これまでマジメにプレイしていたのだから 今更スキップも出来ないという心理が私には働く。その辺割り切れる人にはいいのでしょうけどね。
逆に長所を挙げると、やっぱり燃える展開でこのミニゲームが入るのは、演出としてもかなり上手く機能していると思います。 これは素晴らしい。ミニゲームをシナリオに取り込んだわけですから。
そして、ミニゲーム中のみ表示されるモノクロイラスト。これもまた多数種類があるのですが、どれもかっこいい・・・。 数をこなせばこなすほど、かっこよさがじわじわ来ます。正直CGモードで閲覧させてほしいくらい。
…という、なかなかに個性的な作りです。

実用性:2

絵は可愛いですし夜の女が複数人出てきますが、まぁ実用シーンは皆無といっていいんじゃないでしょうか。

音楽:7

全68曲。うみねこで用いられた曲のアレンジ曲が数曲ありましたね。 正直サントラがほしい。熱い曲、シャレオツな曲、様々あります。六弦アリス、daiさんなど様々なアーティストが作曲陣に並んでいますが、 どのアーティストさんの曲も良いですし、また他の曲とケンカしていません。

ボーカル曲:4曲

キャラ:3

レオ・獅子神:ひょうきんでウィットに富んだ明るくスケベな紳士というキャラだが、 実は肉弾戦だろうが銃撃戦だろうが、とにかく強い。
ローズ・灰原:気の弱いおっとりとした少女だが、マダムの重責に耐え芯の強さを見せていくことに。
リチャード・舞扇:常に冷静に先を見る金貸し。ローズの助けとなる。戦闘はさっぱり。
ウェイン・上寺:ストリートチルドレンとして生き抜き、現在はローズの用心棒。ローズに心酔しているが、若く血気盛ん。

他にも多数いますが省略。というか4人中3人が男て。だいたいの印象として、作中の名前有りキャラの男女比は男6:女4くらいですかね? この「キャラ」項ではいわゆるキャラ萌え度についての講評ですが、キャラ萌えとかはほぼ無いであろうからこの点数です。作中で私が一番好きなキャラも男だし。
一方で、これはこのライターの強みでしょうが、魅力的なキャラ達が次から次へと出てきてシナリオにガッチリ噛み合わさっていくのは、さすがとしか言いようがない。 男はほぼおっさんばかり、女も美少女ばかりではないどころか処女がほぼいないという、ぬるいギャルゲクソ喰らえなキャラ達が個人的に大好きです。

声:無

私は基本的に声無しゲー大歓迎ですし、本作も声無しで何ら問題なかったですが、でも一方で、本作にプロの声あてがあったらさらに魅力が増しただろうなぁと少し思います。

時間:4

テキストゲーとしては標準的な分量だと思います。読む速度と、あとミニゲームやるかやらないかにもよるでしょうが、のべ30時間くらい?
少なくともボリューム不足は感じませんでした。

その他

システム:システム周りは本当に最低限という感。 オートモードも使い物にならないレベルですし、バックログがあって良かったねというレベル。
何より画面サイズ。640×480?もう少しだけ大きい?まぁその程度。多分ひぐらしの頃から何も成長していない。私的に、windows10にしてよかったことNo.1。ディスプレイを簡単に125%, 150%に拡大出来る(右クリック→ディスプレイ設定で)。 本作プレイ時のみはディスプレイ150%にしておりました。(ちなみにwindows10にして後悔したことNo.1は以前からずっとプレイしたかったGuilty+の「RIN×SEN〜白濁女教師と野郎ども〜」をついに購入したけどピクリとも起動しなかったこと。)

演出:演出の腕は、やはりひぐらしが最高すぎた。あれ本当にすごかった。私以外同じこと言っている人誰もみかけないけど、ここぞというシーンでのシナリオ展開とBGM進行との連携が、噛み合いまくりで、また余韻や間の作り方が絶妙でやばかった。 うみねこ以降、本作においても、その辺は基本的にパッとしませんね。まぁ標準レベルと言ってもいいのでしょうが。別に悪くはないです。一点だけ、ベタで地味ながらもナイスなBGMの使い方があって、あれは大好きです。テンション上がりまくった。

その他:キャラ絵がねぇ。竜騎士が描いた女性キャラは明らかに1キャラだけだと分かるのがいいですね。1キャラだけ浮きまくってますもん。まぁこれも愛嬌か。(後日追記:正確には2キャラでした。お詫びします。)
あと、クリア後にBGMモード開放してくれたのは本当に嬉しい!サントラほしい!

お勧め度:8

この安定感。ほぼ、文句無しにお勧め出来ます。かなり癖も弱いですので、ほとんど人を選ばないと思いますし。(作風は違いますが「コマンドー」が無理な人は本作も回避したらいい、それくらいの間口の広さ。)
作風としては、昔、1935年頃の上海を舞台にした「蒼天の拳」という漫画がありまして、当時の上海では、中国はもちろんのこと日本や各国欧米列強が入り乱れての苛烈な抗争が繰り広げられ…みたいな舞台設定なのですが、ちょっとあれに近いなと思いました。 すなわち、本作でも、大きく分けて日本人・チャイナタウン・米軍のそれぞれの思惑があり、日本が舞台なのですが、同じ日本人といえど、主人公らの勢力・別の日本人マフィア勢力・民衆や労働者… などなど、それぞれ違った立場があるわけです。 これらの中で、敗戦国民である主人公らが、自分を、仲間を、同胞を守るため、中国・米国に分割統治された東京にてどう立ちまわっていくかというのが見どころですね。 とは言っても、「泥を啜ってでも生き延びる…!」といった血&泥&汗臭い根性系作品ではなく、既に築き上げた小さな勢力と、なけなしの財と銃と人と政治力、これらをどう駆使して裏社会で立ち回るかという物語です。銃撃戦が大量にあるというところから、ある程度は作品の方向性もお察し下さい。(高度な頭脳戦ばかり期待してはいけない等)
欠点を挙げると、上述したように一部シナリオに間延び感が出てしまっている感もあるのと、物語の締めくくりが弱い点、そしてダイレクトに語ることしか出来ない竜ちゃんの説教タイムがたまに混ざっていること。
説教タイムは、その部分だけ浮きまくっているという微笑ましさもあると思いますので、あとは各人どう受け止めるかですね。なかなか痛いところを突いていると思います。

ポイントは、これら欠点を加味した上でもおすすめ度は8を下回らない、すなわち自信を持ってお勧めできるレベルだということ。
シナリオの粗というか綻びは、吟味に吟味を重ねて微に入り細に入り粗探しをしていけば、多分見つかるんじゃないかとも思うのですよ。でも本作、別にミステリーじゃないし。私は、ほぼ気になる点はなく最後まで終わりました。

上質な、おじさんでも熱中出来るビジュアルノベルです。シナリオとキャラと音楽がいい。この時点で、ノベルゲーとしては成功が確約されたようなもののはずなんですけど、売上・評判的には必ずしもそうでないところが竜ちゃんクオリティか。「埋もれている良作」の名に相応しい。

一点だけネタバレしておくと、今回はファンタジー要素はゼロです。人間だけでシナリオは全て進行し完結します。(極稀に神様的ポジションから竜ちゃんがプレイヤーに語りかけてくるくらいで)


気に入り度:8

いやー良かった。本当に良かった。終盤、竜ちゃんが本気の本気を出せばもっとクオリティ上げられただろうとは思いますが、別に悪くはなかったし全体通して非常に面白かったし楽しめた。ほぼ完全に竜ちゃんの掌の上で踊った。

ただね、一点だけ言わせて下さい。クリア後に、「SPECIAL」ってコンテンツが開放されるんですけどね。
こっちは、Season1, Season2, Season3と駆け抜け、ついにLast Seasonもフィナーレを迎えて余韻に浸っているわけですよ。いや、もうちょっというと締めくくりが弱いわけですからちょっと余韻に浸りきれないところあるわけですよ。 そこで「SPECIAL」開放とか、そりゃ期待するでしょうよ。すわローズガンズデイズ、後日談か、あるいはアフターストーリーか、はたまたラストエピソードか。
蓋を開けたら本作と何ら関係ない「ひぐらし奉」のCMとか、やめて。
しかも一瞬だけ登場する新キャラ絵、明らかにひぐらしの頃より絵も塗りもアレだし。(これでもプレイしてたら慣れるの?本当に?)
もう本当にダメ。一気に現実に引き戻されるというか、見たくもない竜ちゃんの現実を見せられるというか。
クリア直後とは言え、余韻に浸りきれていないところに畳み掛けるようにこんなもん見せられたら、完全に真顔になるわ。真顔になるしかないわ。

ところで、今(2016/8/7)公式サイト見たらびっくり!
  「ご好評につきスペシャルシナリオを追加してベスト版が登場!!『ローズガンズデイズ〜THE BEST〜』」
ですって!名称のそこはかとないダサさはさておき、お布施も兼ねてこれは買うしかない。追加シナリオってもちろん終盤の補完充填だろうな!?後日談でもええぞ!期待しとるからな!!
ちなみにとらのあなでの作品紹介には
  言わずと知れた人気サークル【07th Expansion】から、ファンのお声により再誕した『ROSE GUNS DAYS ベスト盤』が登場!!
  1944年の架空の東京を舞台にしたハードボイルド、マフィアアクションのサウンドノベルゲームシリーズ「ROSE GUNS DAYS」のベスト盤!!
  このたび愛蔵版として再生産がなされ、ささやかながら、竜騎士07先生書下ろしショートストーリーを収録予定!!

とか紹介されてて、”版”なのか”盤”なのかって問題もありますが、「ささやかながら、竜騎士07先生書下ろしショートストーリー」とか、かなりリアルなこと書かれてますけど大丈夫ですか竜騎士先生!?

てわけで、正直本作のレビューアップタイミングとしては最悪のタイミングになってしまったわけですが、仕方ない。私がこのベスト版(盤?)を買ってプレイしてレビュー書くまでいきつくかは全く未知数ですからね。
本作はあくまで非ベスト版としてのレビューです。もしベスト版クリアしたら加筆修正するなりなんとかします。考えようによっては、最高のタイミングでのレビューとも言えるわけですよ。 もしこのレビュー読んで多少なりとも本作に興味湧いた人がいたら、近日発売のベスト版の売上に僅かでも貢献できるかも知れんですからね。両手挙げて最高だ最高だ神作品だって言えるほどでもないが、期待は裏切らない面白さ・熱さですよ!!!!








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