ランスIX -ヘルマン革命-

(執筆:2022/06/11)

製作

ALICESOFT
(ゲーム性の高いエロゲの老舗。恐らく全エロゲブランドで知名度No.1。)

属性

発売時期:2014年4月
ジャンル:ADV+SRPG
用途:読み物、ゲーム
舞台:仮想ファンタジーワールド
顕著な性属性:凌辱
プレイのきっかけ:ランスシリーズファンなので(プレイ前の期待得点…7点)
プレイ進捗状況:全ルート開放、2巡クリア

テキスト:7

あらすじ:ヘルマンの元皇子パットンにヘルマンでの革命の手伝いを依頼されたランス。ヘルマンに乗り込み、パットンらの革命を助けつつ、ヘルマンの美女達(特に現ヘルマン皇帝でありパットンの異母妹のシーラ姫)とお宝(シィルの氷を溶かすマジックアイテム)を狙う。


ランスシリーズと言えば、ADVではなくRPGあるいはSRPG、地域制圧SLGというゴリゴリのゲームパートメインの作品ではあるのですが、もうね、はっきり言いましょう。第10作という大作シリーズの中の第9作ともなれば、そりゃシナリオを楽しみにプレイしますよ。少なくとも私は。
で、そのシナリオですが、一言で言うなら「本作もこれまでのシリーズと変わらず、良かった」です。
今回はヘルマン革命ということで、前半もランスの周囲を中心にヘルマン各所で色々な物語が進行するのですが(ランスシリーズって、群像劇なところが物語や主人公ランスの魅力を上乗せしていると思っています)、革命もまだまだ先は長いなっていう雰囲気濃厚で、正直熱中度は低いです。
それらの物語が展開したり終わったり時に他の物語と統合したりする後半になってくると、シナリオもグッと面白くなります。いつものランスシリーズに比べると物語の大筋自体は破天荒さがなく基本に忠実という感ですが、だからこそというか、後半は熱いですね。
最終盤だけ、正史的シナリオ&エンドに加えて6人のヒロインシナリオ&エンドに分岐します。
これらヒロインルートですが、多少質にばらつきはあるものの、どれも個性的で面白かったですね。
なお、これら計7本のエンドとはさらに別に、真エンドが用意されています。
(関係ないですが、真エンドは、私にとっては意外でした。もっと後になるんじゃないかと思っていたので。)
ランス9だけできっちり一段落つけたシナリオではあるものの、自然ランス10への期待も高まりますね。
最後になりますが、本作からランスシリーズを始めるのはお勧めしません。楽しめなくはないでしょうが、どうせやるならランス1リメイクかランス6あたりから始めた上で本作もプレイしないと、もったいないです。

ゲーム性:7

基本は、ターン制で味方ユニット達を動かして敵ユニットを撃破する、典型的戦術SLG…いや、SRPGですね。
本作の場合、そのSRPGパートを有利に進めるための、味方ユニット達の育成と強化アイテム収集が主な楽しみと言えるでしょうか。
育成は、自由度が高いようなそれほど高くもないような、不思議な感じ。まぁある程度高い?のかな?ただ、普通にプレイしていたら、だいたいどのプレイヤーも似たりよったりな育成になるんじゃないかなとは思います。
出撃ユニットは割と選べるし、出撃ユニットしか経験値を入手できませんので、特定キャラ達を重点的に育てるか、なるべく満遍なくそだてるかというあたりは割とプレイヤーの裁量に委ねられます。けれど、あまり少数のキャラだけ重点的に育てていたらクリアできなくなる(レベル上げはいつでもできます)ので、結局はほぼ全キャラを育成することになるんじゃないかなと思います。
それらに加えて、途中からもう一つ育成対象があり、SRPGパートの支援システムの育成ですね。支援というのは具体的には、キャラをマップの別の場所に移動させたり、キャラを再行動させたり、レーザービームやボムで敵にダメージを与えたり、壁ユニットで敵ユニットの侵入を一時防いだりです。こちらは、懐かしのママトトのあのシステムをアレンジして持ってきていますね。これが一番プレイヤーの裁量の幅が大きい。好きに育成できます。
総じて、色々と工夫してあるしプレイヤーによる裁量の幅もまぁまぁ多い、まぁ悪くないターン制SRPG。

なぜ「まぁ悪くない」止まりなのか、色々と考えていたのですが。
一つには、まぁ「クラシックなターン制SRPG」というゲーム根幹の陳腐さが挙がるでしょうね。この時代に、ねぇ…。という。ただ、そうは言っても、アリスソフトって昔から割とそういうブランドですし、ましてやランスシリーズってそういうシリーズですから、今更ここにケチつけるのも違う気がするんですね。私のように、ちょっと古臭さを感じる人間もいるでしょうけど、逆に、まさにこういうクラシックなゲームこそがプレイしたいって人も、このシリーズファンには少なからずおられると思いますので。
そこで思い当たったのが、このゲームパートの基本コンセプトが、「難敵に対し知恵と工夫でギリギリ勝つ」的なコンセプトではなく、むしろ「大量の敵達に道を阻まれながらも、それぞれ一騎当千のキャラ達が千切っては投げ千切っては投げする」的なコンセプトであるということです。シナリオ自体がそうですし、敵味方のユニット性能差やユニット数差からも、それは明らかです。その上、途中でいくらでもレベル上げができることからも、SLGパートでギリギリ勝ち進むスリルみたいなプレイスタイルは、プレイヤーが敢えてやろうとするのであればできますが、シナリオとあまりマッチしない。
つまり、普通にプレイしているならば、自ユニット達の強さにニヤつくことはできても、やっぱりちょっとゲームとしては難易度も低めで間延びするんですよ。(難易度が高いと、なんだかシナリオとの整合性が気になる。)中には強敵もいますけど、レベル上げモードで戦う敵ばかりですし。
大勢の敵ユニットの中を推し進む高難易度後略の快感はあるかも知れないですが、本作はKOEIの無双のような爽快脳死アクションゲーではなく一つ一つ丁寧にユニットにコマンドを入力するターンSRPGですから、爽快感にやや欠ける。
シナリオではまさにそういう、敵達がランス達メンバーのあまりの強さに恐れ慄く的な描写が随所にあるんですが、ゲームパートでも、そういうふうに敵ユニット一部に台詞や人間味を出す演出があっても良かったのかなと思いました。

実用性:4

大半のHシーンはランスによるいつものあれです。
ただ、ランスもだいぶ大人になったということで、レイプ的なのは少なめで結構手を変え品を変え、色々と楽しめます。
そうなんですよ、割と楽しいんですよね。本作Hシーンは。半ばシナリオの続き感があって。中には、Hシーンというより一シナリオとして普通に面白いものもちらほら。
とは言え、まぁ導入部分と終わり部分以外はほぼスキップしちゃうのですが…。
いつもの「我が栄光」をベースとしつつも、意外と「わが栄光」の出番は少なく、他BGMでのHシーンが多いと言えば、何となくの方向性は感じていただけると思います。

また、ガチな凌辱パート(ヒロインが敵軍に捕らえられて…的な)も、数少ないですがアリスソフトらしいかなりガチなやつがありますので、凌辱ゲーマーも納得なはず。(すみません今回凌辱シーン開放条件が難しくてほとんど確認できていないです)


音楽:7

shade氏が抜けた後の音楽ということでかなり心配ではあったのですが、割と良かったです。
Shade氏リスペクト(あるいはランスシリーズの雰囲気を壊さないようにという配慮)をムンムンと感じる楽曲揃いでした。
若干お行儀は良くなった気がしますが、お気に入り曲が何曲もあります。あまり人気はないようですが、「Go!!」って曲とか、shade氏っぽい曲でシナリオのBGMとしても大変良かったし私はここ最近ずっと単体で聴いています。
あと、「我が栄光」はじめ、shade氏楽曲のアレンジ曲も何曲か有り。(「我が栄光」をshade氏楽曲と言っていいのかは置いといて)

ボーカル曲:無

キャラ:7

主人公:ランス(名前変更不可),もはや説明不要、「ランス」としか言いようがない、口が大きい緑のアイツ。
ヒロイン:メインは6人。他もたくさん

どのヒロインが特別どうというわけでもないのですが、やっぱり個別エンドが容易されている6人は良いですね。かなみや志津香といったおなじみヒロインも大変良いし、本作初出のヒロイン3名も相当良い。私はミラクルがお気に入りです。これまた強烈な奴が入ってきましたね。それとランスとのHシーンは毎回濃すぎてびっくりしました。実に良い。

あと、ここは別に男キャラについて語るスペースではないのですが、男キャラ達もいいですね。アンケートでも「むさくるしい男キャラが多いですが、どう思われますか?」って項目があるんですが、いや良いよ!キャラ立ってるし魅力的だし!
まずレリューコフでしょ。レリューコフはもう鬼畜王以来で、登場だけで嬉しいですよね。
あと、ここで挙げるのはどうかと思いますがバショウの祖父も実に良かった。強引すぎる登場ですが。
でも私は、やっぱりロレックス&オルオレが好きですね。特に、存在自体が冗談みたいなのにきっちり主要キャラに食い込むオルオレには、立ち絵が出てくるだけで口元がゆるんでいました。こんなキャラ作ってこいつ次回最終作でどうすんだよ。ぜひまた出してくれよ。(2022年にもなって懇願しても遅すぎですが)

声:無

私、ゲームパートは古臭いとか言っちゃいましたけど、ランスシリーズは声無しで通して良いと思うんですよね。(もう声入っちゃったけど)

時間:5

全ルート開放には、最低2巡必要ですし、また逆に、余程間抜けなプレイでもしない限り、普通は2巡すれば全ルート開放できます。
その2巡はまぁ楽しめるんじゃないかなと思います。それ以上もやり込み要素はあるんですが、私はもういいやってことでプレイしていません。
2巡するには50, 60時間くらいではないでしょうか。

その他

システム:
特に不満無し。
演出: 特に不満無し。

お勧め度:8

ランスシリーズファンなら、問題なく楽しめると思います。上でも書きましたが、シリーズの6,戦国,クエストを未プレイならそちらから先にやった方が絶対いいです。鬼畜王から入ってもいいぞ!
なんだろう、シナリオというかキャラというか、もう極まっているなって感。唯一無二の最強シリーズだと思います。


気に入り度:8

良かった……。

感想を一言で言うならこう。

めちゃくちゃ感動したとか猛烈面白かったとか、そういうわけでもないのです。
ただ、何だろう、唯一無二のランスワールドに、久々に帰ってきた満足感充足感と、自分今エロゲプレイを楽しんでるなーっていう充実感ですね。
正直、もう本当にどこからどう見てもただの汚いおじさんになってしまった私のような人間がエロゲプレイしているってだけで、結構きついものがあるんです。
周りの目とか客観的な痛さという意味ではなく、なんかもう純粋にあまり楽しめないんですね。そうやって皆、社会人になったり、30くらいになったりしたら自然とエロゲなんてものからは卒業していき、自分の人生を本格的に歩むのでしょうけど、私も一応そうなんですけど、それでもエロゲからは離れたくないという気持ちだけはあって、でも最早昨今エロゲ以外にも楽しい娯楽はいっぱいあるし、エロゲプレイするというだけでパワーがいるし、プレイしてもそんなに楽しめなかったりして… みたいなここ数年なわけですが、ランス9(前半で数年プレイを中断していました)の中盤くらいから、上述したような様々な楽しい気持ちがふつふつと湧いてきて、こんなに楽しいんだからエロゲやめてなくて良かったとプレイしながら思っておりました。
中盤以降は、本当に素晴らしかった。TADAさんはもちろん、シナリオ担当の御二方には本当に頭が下がります。(ぷりん氏って功績が偉大過ぎない?)
また、楽曲担当スタッフの皆様にも、shade氏の後釜という重責の中、心より健闘を称えたいです。




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