鬼畜王ランス

(執筆:2016/03/20)

製作

Alice Soft
(ゲーム系エロゲの老舗。ユーザーフレンドリーな経営方針で支持も厚かったが、近年凋落が不安視される。ガチャや全年齢対象という安易な選択を選ばない姿に痺れる憧れる)

属性

発売時期:1996年11月
ジャンル:戦略SLG
用途:ゲーム
舞台:ファンタジー世界(ランスシリーズ共通)
顕著な性属性:レイプ、夜伽
プレイのきっかけ:過去に何度もプレイしたけどいつも終盤前に放り投げて一度も真エンド(?)到達してないことが心残りだったので(プレイ前の期待得点…6点)
プレイ進捗状況:統一・幸福エンド達成 未回収シーン・CG多数

テキスト:7

あらすじ: ランス4.2(?)の続編であり、またランスシリーズ正史からシナリオ、一部設定を変更したIFシナリオ。
成り行きで盗賊団の頭をやって気ままに略奪生活を過ごしていたランスであるが、ヘルマン軍に討伐されてしまい、盗賊団は散り散り、奴隷のシィルはヘルマン軍に捕らえられ、 ランス自身も命からがらリーザスとの国境まで逃げ切ったところで力尽きる。リーザスの忍者かなみに偶然拾われ、かねてより顔見知りのリーザス女王リアに口説かれ、 シィルを救うため リーザス軍は思いのままに動かして俺様をこんな目に遭わせたヘルマンに復讐するため、リアと結婚しリーザス国王になってしまう。
リーザス国王就任式を執り行なわれ、ランスが国民の前で所信表明をした翌日、リーザス各地では反乱軍が蜂起するのだった。



名作SLGと名高い本作ですが、久々にプレイしてみて、本当にシナリオも面白いって実感しました。
別に、設定が凝ってるとか、誰もがアッと驚くような伏線が張り巡らされているとか、涙で前が見えない感動作とか、永く語り継がれるような熱いバトルシーンがあるとか、 あるいは各所に波及するような名言が生まれているとか、そういう、シナリオゲーとしての定番は何一つありません。 ただ、主人公ランスというアンチ・ヒーローが本当に魅力的に描かれており、またランスを取り巻く多数の(本当に多数の)老若男女さまざまなキャラクターが、 ランスと関わらないうちからそれぞれの個性をしっかり出しつつ、またランスと関わることになるやさらにその魅力を発揮することになるという、 なんでしょう、キャラクターがしっかりしているというのはこういうことを言うんだよなと再認識させるような無数のエピソード。
その無数のエピソードと、ランス君がぐいぐいと事を運んでいくのが痛快なメインシナリオ、これらの合わせ技で、本当に魅了的なテキストに仕上がっています。
というか、上述したような強みはほぼ無しで、キャラどうしの掛け合いだけでこれだけの面白さを出せるってのはすごいことだと思いますよ。
私はこの作品過去既に何回もプレイしていますし、特にゲームパートについては僭越ながら不満もありますが、 それでもこの何度目か分からない再プレイ、本当に楽しかったです。その魅力は、ゲームパートもさることながら、やはりこのテキストに依るなぁと、 プレイ中も、プレイ後の今も思います。
笑い有り、涙有り、ハラハラ展開有り、固唾を呑んで見守ってしまう展開あり、つらい展開もあり・・・。良テキストの魅力は色褪せないですね。

ゲーム性:8

アリスソフトの作品の少なからずにこの傾向があり、特に本作のような地域制圧SLGでは顕著に出ると私は思っているのですが、 完全自力攻略の難易度が相当高いです。どう高いかというと、絶妙なさじ加減を求められるとか非常に頭を使わないといけないというようなものではなく、 単純にイベントフラグが分かりにくいんですよね。具体的には、多数存在するキャラが仲間に参入する条件がシビアで、自力で辿り着くのが難しい。
で、仲間が参入するしないが攻略難易度に直結するのがこの手のゲームですから、すなわち難易度≒フラグ発見力になってしまう。
これが、本作に限りませんが私にとってはマイナスポイントです。アリスソフトの看板ゲーム「戦国ランス」や「大悪司」、私も大好きですが、 この点に関してだけはあまり好きではないのです。
当然、この「分かりにくいフラグを自力で見つけるのが楽しいんだろ!」って人もおられるでしょうし、これら3作が名作と呼ばれるのは、 この点が仮にマイナスであってもゲーム性は十分に高いままであり、楽しくプレイできるというのもあります。 プレイスタイルとしては、むしろ攻略サイトなどを横目に、その攻略サイトから導かれる攻略どおりに事を運ぶ楽しみというのも大いに有りでしょう。 というか、攻略wikiなどに果敢に貢献できる一部のトップ・プレイヤー達を除き、アリスソフトのゲーム性を評価している人達の大半がそうなのではないかと邪推しますが。
ただ、私としては、自力攻略難易度が無闇に高いというのは、ゲームバランス的にどうなのかなと思ってしまうので、その点はマイナス。
あと一点、1996年発売のゲームに文句言っても仕方ないのですが、後のアリスソフト作品と違い、クリア特典(orキャラクリ特典)と呼べるものが一切無いのが、 周回プレイ前提とも言える本作としてはやや減点かなと、後のアリスソフトゲーに馴らされすぎた発言なのは承知の上で申します。

以上が難点、それらを除くと、やはり滅茶苦茶楽しい。というかやめどきが見つからずいつまでもずるずるずっとプレイしてしまう系。 私の中では戦国ランスか大悪司かがその極みでしたが、本作も十分それ。
特に、少なくとも私の場合ですが、攻略サイトを横目にプレイしているのが一番楽しいんですよね。情けないとも思いますが。 本作、ランダムイベントも多数あるので、攻略サイトを見たら余裕で完クリできるかっていうとこれまた全然そんなことはなくて、 自軍のユニットをどう使ってどう温存していくか、各地に散らばるイベントをどの順で開放していくか、自国領土をどう拡大していくか、 などを常に同時に考えながら進めていくのが、実に楽しいです。

実用性:3

Hシーンも割と膨大ですし尺もまぁ短すぎることはないのですが、声無しですしBGMはあれですし、 実用に耐えるものではないというか実用度外視のHシーンというか・・・。
特にシリーズファンの人達はBGMだけでほぼ満足ですよね。あとランス君の数々の珍言(例「ガハハ」)・珍単語(例「ハイパー兵器」)とで。

音楽:8

安定のshade節。 …ですかね?
当時のshade氏はスランプというか、本作のBGM作成を非常に苦戦して作られたと聞きますが、果たして。
確かにというと変ですが、本作BGMを作業用BGMとして通して聴いていると、私には珍しく、なぜか結構疲れるんですよね。重いというか。
一方で、これまたずっと大好きな曲も何曲かありまして、これらの曲だけでも本作プレイした価値があったなと感じます。
そしてなにより、作業用BGMとしてはさておき、本来の目的であるゲーム中のBGMとしては完璧に機能していると思います。BGMなくして鬼畜王ランスは語れない!

ボーカル曲:無

キャラ:5

主人公:ランス。とにかく我儘で自己中心的でスケベ、その上強いから手をつけられない。 一方で、子供っぽさ、素直さ、ふとした時に見せる情の厚さなど、得も言われぬ魅力を持つ。

ヒロインも膨大にいますし、プレイヤー各人お気に入りのキャラもいるでしょうが、キャラ萌え的な魅力ではないのですよね、基本的に。 ノリがもう少し古い(悪い意味ではなく)。ガチガチにキャラ設定立ててはいるけれどちっとも魅力が伝われないという昨今ありがちなキャラ達とは やはり違います。

声:無

なくていいです。

時間:8

1クリア(シナリオ的ゲームオーバー含め)までがとにかく長い!!また1巡目でクリアできる人ほぼいないんじゃないですかね?
…ただ、もし攻略サイトを一切見ないのであれば、クリアできずに投げ出してしまう人も少なからずいそうな気もします。

その他

システム:なにせ96年発売ですし、アリスソフトが昔配布していたシステムの新版も2016年現在は既に 無いようですし、システム周りは本当に最低限のものすら無いと思った方がいいです。特に痛いのは、「タイトルに戻る」が無いのとテキストのバックログが無いこと。

演出:OPムービー直前からOPムービー終わりまでの流れ、何度見ても鳥肌もの。古臭いけどかっこいい。
そして、プレイヤーが攻略上どうしようもないところで着々と進んでいく一部シナリオ、これも演出と言えるでしょうが、最高です。これも、初プレイから今までずっと色褪せない。

お勧め度:9

古いゲームで、プレイするには色々と難関があるという意味ではマイナスですね。仮想ディスクとかBGM出すための設定とか。 しかし、なんといっても無料ですから!!!もう、アリスソフトの錦の御旗的存在ですね。
全てにおいてハイクオリティ。
ファミコンやスーパーファミコンの名作と同様、見た目の綺麗さなぞゲームを評価する上では二の次にすぎないということをひしひしと感じさせてくれますね。
興味さえ湧けば、文句なしにおすすめです。


気に入り度:8

当時日記でも書いていたのですが、最近、私もう、エロゲ全般受け付けない身体になったんじゃないかなぁという嫌な危惧がありまして。
成長したのか老けたのか分からんけど、最近エロゲは何プレイしても 今ひとつスッキリしない評価ばっかりですからね。モチベーションもあんまり保てないし。
そんななか、おっかなびっくり、昔プレイして楽しかった本作をプレイし直してみたのですよ。

面 白 い 。

非常~~に面白い。もう、面白かったこと自体が嬉しかったりするんですが、面白い。
良かった、私まだエロゲ卒業せんでいいわ!っていう。
翻せば、やはり昨今プレイして釈然としなかったゲーム群、あれらはやはり今ひとつだったのでしょう。私の感性云々とか成長とか老化などといういう問題もあるでしょうが、 本作がこんだけ面白かったってのは、それらだけでは説明できないでしょう。なんか昔より楽しく感じたけど、それはずっと攻略サイト見ながらやったからだと思いたい。
もう、この当時のようなテキストは期待できないのかも知れませんが、でもやっぱり、良作は時代を超えるということで、今後も良作に巡り会えることを期待してしまいますね。
というか、おっさんになってしまった私に再びそういう希望を与えてくれた作品でした。曲がりなりにもレビューなのに自分の話で終わるっていうね。





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