その横顔を見つめてしまう 〜A profile 完全版〜

(執筆:2008/05/11,14)



メーカー
あかべぇそふとつぅ
(「車輪の国、向日葵の少女」で有名。人気絵師である有葉を中心としたブランド。元は同人の人達。
 本作も、元は同人サークル「AKABEi SOFT」よりの発売。)



属性
発売時期:2006年3月(オリジナル版は2005年1月)
ジャンル:ADV
用途:読み物
舞台:現代の街、学園
顕著な属性:義妹、寝取られ?
プレイのきっかけ:るーすぼーい(ライター)ファンだから。(プレイ前の期待得点…7点)



テキスト:7
あらすじ:葉山真之は義理の妹とその母親に囲まれての3人暮らし。
幼馴染と悪友に振り回されながら、当たり前のような学園生活を送っている。
しかし泣き顔の妹が寝床に来た夜から、
差出人不明の恋文を下駄箱で見つけた夕暮れから、
ごく平凡な毎日が別の顔を見せ始めた……
(AKABEi SOFT公式サイト紹介ページより)

るーすぼーい節炸裂!同じ日常でも、るーすぼーいが描くと面白いですね。序盤は、彼独特の間と言葉運びで、珍妙ながらも日常らしい日常生活。ギャグも多めで楽しめました。ニヤニヤしたり、爆笑したり。
物語が本格的に始まると、これまたエロゲー界のファンタジスタたるるーすぼーいの腕が伸び伸びと発揮されています。それとともに、彼が描きたいものが次第に姿を現してくるという展開。

私の感想ですが、シリアス面で殊に強い感動や印象は無し。良く出来ていたのは間違いないですが。主張も、実に分かりやすく、傾聴に値すると思いますが、微妙なテーマだけにつっこみどころも残る。頭の片隅に置いておくと良いものだとは思います。

まとめると、るーすぼーいの良さが詰まった、破壊力には乏しいけどライターの実力の高さが伺える良テキスト。



ゲーム性:4
序盤は「どのヒロイン攻略するんよ」的選択肢が2、3回出てきて、終盤になると、ヒロインによっては結構重大な選択を迫られます。終盤辺りのこういう選択肢こそADVの真骨頂であり小説や映画等には出来ない表現だと思うので、私は好きですね。
ただ、ちょっと主人公が特異な思考をするので、真エンドを迎えるためには、プレイヤーが考え抜いて選択するというよりも、用意された答えを嗅ぎ分けて選択する(「この主人公ならこう動いた方が正解だろう」みたいな)様相が強くなっているのが残念。
多くのプレイヤーにとって、主人公≠プレイヤーです。感情移入はできてもシンクロは困難。



実用性:4
あかべぇそふとつぅらしく、実用シーンもそれなりの尺で、そして結構エロいです。カットインとか使っていたり。
2回戦突入が基本です。
差分は少なめ。
フェラですが、CGの出来は並。音はしっかり。
なんといっても有葉さんの絵とこのブランドの塗りですので、好きな人は結構使えるでしょうね。



音楽:5
OP曲が好きですね。イントロ。ベタですが、これはわかっていただけると思う。
あとは、まぁなかなか良かったんじゃない?という感じ。それほど印象に残ってはいないのですが、空気という感じではなかったです。めりはりは利いてたんじゃないか。

ボーカル曲:2曲



キャラ:7
 主人公:真之(名前変更不可),他人を信じる、真っ直ぐな性格。
 妹:活発かつ茶目っ気のある妹。主人公ととても仲が良い。
 友達:主人公の数少ない友達。自分のキャラが普通っぽいのを気にしている。
 クラスメート:無口でクール、お嬢様っぽい。

「あぁ俺美少女ゲーやってるなぁ」と思わせるキャラ達。これは割り切って楽しむところでしょう。キャラゲーとして一定以上の水準に達しています。ただ、シナリオの伏線とかも絡んでくるので、キャラゲーとしての良さとシナリオゲーとしての良さが相殺し合っている感がして少々残念。特にキャラが。
キャラとしての魅力には少々ばらつきもありますが、特に妹とクラスメートの2人は、好きな人にはたまらないものがあると思います。個人的には、妹が良かった。私は大好きです。るーすぼーいが描くキャラは、リアリティ無視とリアリティ重視が混在していて独特の仕上がりになっていますね。

曖昧な表現になってしまい申し訳ないです。



声:男女
主要なキャラのみフルボイス。
やっぱり妹が良かったですね。魅力的な声でした。るーすぼーいが描く無茶な擬音に忠実に声あてしてくれてたりと、私にはツボでした。「スー、スー、すやすや…」「あせあせあせ…」

クラスメートの子も良かったです。

友達の人は、こんな声も出せるんだなぁと思いました。いやいつもの声といえばいつもの声なのですが。 キャラが、ね。いや、いつものキャラと言えばいつもの、おつむ足りてるわけではない系のキャラなのですが。本当に残念なことに。

あとですね、どうでもいいことですがテキストでは「学園」ってなっているのに音声では「こうこう」って言ってる箇所が一箇所あって、笑いました。音声有り作品は一発変換とかできないから大変ですね。「煌々学園」とかいう名前なのでしょう、多分。ださっ!



時間:3
結構短かった印象。短めのADVという感じ。決してシナリオ自体に短すぎるような感想は無いので、これはこれでしっかり引き締まってて良いのでしょうが。



雑記
システム:特に語ることもなし。
演出:OPに入る演出が好み。あと、一部カットインが使われてます。それくらいか。

あとは、有葉さんの絵。立ち絵もころころとポーズ変わってなかなか可愛いです。



お勧め度:6
ほぼ間違いなく、一定以上は楽しめると思いますし、買って損したみたいな感想はないと思います。ただ、殿堂入りを果たすにはパワー不足かと。
シナリオゲーとしてプレイしつつキャラも楽しむ、みたいなラフなスタイルで楽しむといい、程よい出来だと思います。強くお勧めはしませんが、安心してお勧めできるかと。
難点を挙げるとするなら、理想論を振りかざす主人公が嫌いな人には合わない。主人公にシンクロできないと楽しめない人にも合わない。色々な意味で、主人公がかなりキーパーソンな物語です。逆に、少年誌的な主人公が好きな人にはお勧め。




気に入り度:6
普通に面白かったし、プレイして良かったと思います。るーすぼーいファンとしては、彼のテキストやキャラをしっかり愉しめたし、良かったです。
シナリオもどれも良かったのですが、今ひとつ印象に残らない感じでした。盛り上がるところは盛り上がるしお話にも引き込まれるし驚かされたりもするのですが、どれも「それなりに」というレベル。
どうも、小さくまとまりすぎているのかも知れませんね。感動を誘うという点では、車輪の方が巧いです。あと、今ひとつ説得力に乏しい。一押し足りない。
まぁ、よく考えれば車輪もこちらから積極的に解釈を試みないと説得力低かった(というか主張自体見えない,誤解しやすい)ですね。

…という、いかにもるーすぼーいらしい作品なのでしょうねぇ。





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