(執筆:2010/01/17)
げーせん18
(Unicorn-a一派の一ブランド。ゲーム性の高い作品中心。ゲーム性はともかく、バグの多さに定評有り。戦極姫で知名度アップ。。)
発売時期:2009年12月
ジャンル:戦術SLG
用途:ゲーム
舞台:仮想現代のユーラシア大陸
顕著な属性:ロボ娘
プレイのきっかけ:これ見てげーせん18がまた無茶してると思って(国際問題に発展しなくて良かった…)(プレイ前の期待得点…6点)
プレイ進捗状況:0巡目:7割ほど進めたところで修正パッチあててしまいセーブデータ無効に。1巡目:クリア 2巡目:進捗3割ほど
あらすじ:第二次大戦が史実とは異なる結末を迎えた世界。日本はユーラシア大陸の半分に及ぶ大きな勢力圏を持て余し、各地には自由と混沌の世界——つまり無政府状態が広がっていた。
そんな時代、軍人家系に生まれた主人公『乃木庄一』は、身に覚えの無い《クーデター未遂事件》で逮捕される。連邦軍の予備役として腐っていた乃木は、民間軍事請負会社“SAGE”(セージ)に活路を求め、870支社に派遣される。 しかし870支社は乃木の想像する『軍隊』とはほど遠い場所——女の子はみんな可愛いけれど、徹底した個人主義の部隊だった。(公式サイトから一部抜粋)
もう私なんぞはこの世界設定だけで割とテンション上がる。現実とかけ離れすぎると、その世界設定を理解するのが面倒だし、かといって現実に近すぎると夢が無い。こういうのは歓迎です。ちょっと強引かもですが、コンシュマーだと目立ってしまい市民団体とかの槍玉にあげられかねないこの設定も、マイナーな(失礼)エロゲメーカーだからほら、見てください、発売から4ヶ月も立つのに微塵も話題に上らない!
…で、この設定を生かした割とシリアスな物語が展開されたらいいなと淡い期待を抱いていたのですが、割と普通にエロゲエロゲしてました。
つまり、リアリティとかシリアスとかはまぁ控えめで、ぬるくてご都合主義でなんでもありな感じ。特に序盤。
ただ、物語が進んでくると、割とこの世界設定を生かしたシナリオ展開になってきて、シナリオも割とシリアスで、良かったですね。少なくとも最低レベルはクリアしていると思います。私は結局1.5ルート分のシナリオしか見てませんが、それを見た限り、個別ルートに入ると、ルートごとにシナリオ展開は全く異なるようです。これは嬉しい。
戦略面をシナリオが担当し、戦術面をゲームパートが担当しているという本作の特徴は、この手のSLGものとしてはある意味理想的な構成ですからね。
惜しむらくは、シナリオが本格的に進むのが遅すぎる点と、「この設定を活かせばもっとシナリオを掘り下げ&盛り上げられるのではないか?」と思わせる、つまり物足りなさを感じる点ですね。特に前者…。これはゲーム性とも絡むのですが、さすがに、20時間以上プレイして全くシナリオが進んだ気がしないというのはいかがなものか…。
滅茶苦茶重たいです。
重いってのはプログラムの処理速度的な意味ではなく、ゲーム進行的な意味で。
ジャンルは、戦術SLG。「戦車部隊」「戦闘機部隊」「歩兵部隊」といったバラエティ豊かなユニットをそれぞれマップ上を動かし、拠点を占領しつつ敵ユニットを撃破していく、という形式です。ターン制です。
が… なにせ1つのマップで展開する自軍のユニット数はだいたい30程度、下手すると40を越えたりするわけで、それを毎ターン毎ターン一つ一つ手動で動かせていくわけですよ。そりゃプレイ時間も膨大になるわ。
システム自体は、かなりよく出来ていると思うのですよ。というか作り込みが割とすごい。
まずマップですが、「ヘックス」と呼ばれるコマに区切られています。当然一つのコマに一つのユニットしか存在できないのですが、一つのヘックスはさらに「高空」「低空」「地上(海上)」「海中」に区切られており、異なる高さの兵器は同じヘックス内に混在できるわけですね。例えば、とあるヘックスの街の上に位置する敵戦車部隊を排除するため、そのヘックスの低空位置に自軍の戦闘ヘリを進ませて攻撃し、排除したところで歩兵部隊を進め街を占領しつつ、これらの兵器を敵爆撃機の攻撃から守るために戦闘機を真高空位置に配置する、といったことも可能なわけです。
他にも、例えば視界。私がSLGをプレイする際に常々不満に思っていた「なんでマップの隅から隅まで神様視点で一望できるのだ こんなんで奇襲とかねぇよ」問題が完全に解消。視界の届かない先では一歩前に敵軍が潜んでいるやも知れません。よって戦力にならない偵察機等の存在が極めて重要になるし、また敵視界を妨害する兵器もあったりと、こだわりが見られる。
攻撃についても同様で、まず兵器の種類がなかなか多く、強い兵器を開発可能になったり鹵獲したりするとかなり嬉しいです。
さらに各兵器にはそれぞれ武器が何種か備えられており、当然威力も違えばよく効く兵種も違いますし(例:戦車にライフルはほとんど効かず、逆に歩兵への誘導爆弾は戦車ほどの戦果を望めない)、弾数制限も割とシビアです。補給車や拠点の存在が重要になります。燃料切れだって起こるために、適当にヘリを飛ばしていると、気がついたら燃料切れで墜落してたりします。
もちろん各兵器によって移動力も違いますし、特に地上兵器の移動力は地形の影響を強く受けますから、輸送系の兵器(トラックや輸送機など)の運用の上手さが求められます。地形効果も当然存在し、平地や道路上の兵器は森や丘陵に潜む兵器に比べ攻撃を受けた際の損害が大きいでしょう。
さらにさらに、敵の拠点を爆撃して使いものにならなくしたり、橋を爆破して通行不能にしたり、逆に何もない川に架設橋を作ったりトーチカを作ったり…
とまぁ、エロゲの割には本当によく作り込まれていますよ。
しかし結果として本作は埋もれてますし、私にもある程度その理由は推察できます。
まず、先程も申したようにあまりにも重たい。
また、マップは毎回異なりものの、あまり戦術に幅を持たせられるようなものではないため割と毎回同じような進軍になる。さらに勝利条件がほとんど変わらないため、結局は攻め入る形ばかりになる。もっと、防衛戦とか敵軍から逃げ切る系とか指定ターン以内に何かをする系とかあればよかった。
進行不可能地形が少ないのもマイナスですね。橋を落としたり架橋したり、遠回りしたり少数の兵器で急襲したり、そういうことをするメリットがあまりない場合がほとんどでした。
何より、敵軍の進軍がワンパターンかつ賢くないのですよ!行動のワンパターンさは仕方ないとしても、例えばたまには自軍本拠地を急襲できる布陣になっていたり、敵陣に深く潜り込んだところでドッと敵が湧いて来たり、あぁもう、戦術ゲーのくせにマクロな戦術が全くないのですよ!完全にシステム作製だけで力尽きてます!
…このように、高いスペックを持ちながら完全にそれを腐らせてしまった本作ではありますが、それでも私は実質3巡目を割と楽しくプレイしています。重たさにヒーヒー言いながら。
理由はひとえに、強力な兵器鹵獲の嬉しさと、キャラ育成の嬉しさですね(楽しさではない)。
自らが、頑張って集めたキャラが、頑張って集めた強化パーツを満載し、頑張って獲得した強力な兵器に乗って敵陣を蹂躙していくのが、凄く気持ちいいのですよ……。
先述のように、戦術面での自由度はあまりありませんが、収集&カスタマイズの自由度はかなり高い。決められたレールの上をなぞるという感じではなく、宝探しのような楽しみがある。
長くなりましたが、戦術SLGであるはずの本作の魅力は、結局のところ収集&育成、そしてそれらの活用。
間違いありません。
シーン数も割と多いしキャラがやたら多いですが見た限り一人一回はHシーンあるし(メインヒロインは結構多い)、各シーンの尺もそこそこあるし、差分はまぁ少ないけど、頑張っていると思いますよ。
ほとんど全て主人公との和姦ですね。主人公は割とハーレム状態です。
OP曲、これはまた酷い曲だなと思ってましたが、ゲーム起動するたびにノンボーカルバージョンが流れるものだから(これはまだマシ)、段々と良い曲のような気がしてきました。
BGMですが、音楽モード見てびっくりした。うそ、こんなに曲数あったっけ?10曲くらいだと思ってたよ…!?
いやあのですね、プレイ時間の大半を割くであろうSLGパート自軍進軍中の音楽が僅か2曲ってどういうことよ!?作り直せ、バカヤロウ!!
ボーカル曲:1曲(OP曲)
主人公:「乃木庄一」(名前変更不可),温厚な若き隊長キャラ。部隊運用に定評あるらしい。
朝陽:天然箱入り娘にして明るい性格のムードメーカー。皆のアイドル的存在。常に丁寧語で話す頑張りやさんという感じ。
和泉:「ですわ」口調のお嬢様キャラにして、主人公の軍隊時代の同期。キツめの性格だが頭は切れ、操縦の腕もいい。
忍:主人公の上司にして巨乳眼鏡。ややおっとしとした口調&キャラながら、根回しや裏工作などを得意とした切れ者。
イリーナ:主人公に敵対する「母国復興戦線」に雇われたフリーの傭兵。実は高性能ヒューマロイド。口調は断定口調で、口調の通りクールかつドライな性格。
その他… 公式サイトのキャラ一覧をぜひご覧下さい。男女混ざってるとはいえ、壮観です。
ここに出てくるキャラの恐らくほとんど全員が、ゲームを進めることで主人公の部下になる可能性があるキャラです。そりゃ1ターン1ターン長くなるわ。
男女とも、主要キャラのみフルボイスです。確かモブキャラ・サブキャラはボイス無しのはず。主人公の部下達(モブキャラ除く)は全員声有りです。SLGパートではそれぞれ何種類かずつのボイスがあり、ひっきりなしにしゃべってくれるため近代兵器SLGゲームに特有の不毛感がありません。
私は、読み物系ADVには別にボイスは無くてもいいなと思っているのですが、こういうゲーム系の作品にボイスがあるとゲームの魅力がぐっと引き上げられるなと思います。
あ、そうは言ってもこのキャラ数にこのブランドですから、声の質にはあまり期待してはいけません。特にサブキャラ。それでも、某戦極姫よりは良かったです。
私は、発売日からプレイ開始して4ヶ月たった今までずっと、割とコンスタントにプレイし続けてますが、こんなのはレアケースだと自分でも思うのですよ…。
時間が無い方には微塵もお勧めできません。でも、若きエロゲーマーの皆さんに、果たしてこの作品は耐えられるのか…。ファミコンとか90年代エロゲとかの時代を生き抜いた猛者とかじゃないと厳しいのではないか…
となるとその層はとっくに社会人になってるわけで…
かと言って無職の皆さんにお勧めしてこんなものに時間を湯水の如く浪費させるのはあまりにも忍びないし、
えー…
システム:バグ(泣) バグの多さ!!システムのあまりの不安定さ!!相次ぐ修正パッチ!!修正パッチあてるとセーブデータ無効!!未完成品を売り出してしまった弊害は、あまりにも大きかったと思うのですよ。いくら、発売を急がねばならなかった事情がブランド側にあったにせよ。ほんっと、金払ってデバッグ作業にあたった有志の皆さま、お疲れ様でした。私は幸か不幸か皆さまの少し後をプレイしていたため、自分でのバグ発見は叶わなかったわけですが、皆さまのおかげで、今このレビューを書くに至ることができました。本当に、本当に、うっ、うっ…
正直、これだけのスペックを活かせなかったブランドには同情の念も禁じ得ないのですが、それ以上に、有志デバッガーの皆さんに私は涙します。お疲れ様でした。
…ああ、本題。現在は、バグはほとんど全く無いと思われますし、システムもかなり安定してます。が、必ず修正パッチをあててからプレイするようにしましょう。
あと、本作にはマップエディタがついており、私が上で触れたような不満点も全部解消できる、「無いなら自分で作ればいいじゃない」モード搭載。さすがげーせん18だ、やっぱりやればできる子!とお思いの方、甘いです。こんな超面倒くさいエディタ、誰が作るかっての。もうちょっとユーザビリティ高めとけやと3回くらい繰り返して言い聞かせたい。こんなところでも高スペックシステムがおざなりに捨て置かれたまま朽ちてます。
演出:戦闘のたびにアニメーションが入ります(OFF可)。チャチいなぁと思いながら、あの破壊音が好きで私は今もアニメーションONのままプレイ続けてます。
兵器:私は近代兵器について完全に無知なのですが、多分、登場する兵器はほとのど全て古今に実際に現実の世界いずれかの国で開発されたものです!だから多分その辺に知識がある人だと、結構ニヤニヤできるのではないでしょうかね?実際、私が段々と兵器の名前を覚えて来ました。自分が実際に日々使ってるのだから、そりゃ覚えるよね!あれです、多分「信長の野望」と同じです。微妙に誤った知識を吸収中なのだと思います。「武田信繁?あいつ使えるよな!」
怖くてお勧めできない…。あまりにも敷居が高いゲームな気が…
ただ、(バグが全て取り除かれた上での)この出来栄えをこのまま埋もれさせるには、あまりにも勿体無い…。
「自分なりのキャラ育成」というものに興味がおありの方、一度、いかがでしょう?
プレイするのは骨が折れますが、慣れてくると楽しいですよ?慣れてきても骨は折れますが。
なんといっても、世界設定が好きですね。最低限とはいえ、それがシナリオに生かされており、さらにルートごとにシナリオが大きく違うのがいい。
でもそんなADVパートはおまけのようなものでして。
肝心のSLGパートですが、四ヶ月間プレイし続けてて今も昔も安定してずっと「大変だけどそこそこ楽しい」の感想をキープし続けているのだから、これはひょっとしてすごいことなのではないかと(とうとう)思うようになってしまいました。
特に、1巡クリアした後が楽しいです…。難易度は超易しくなっているのに敵陣の蹂躙が楽しいのだから、私にとって本作の魅力とはまさに収集&育成、そしてそれらの活用(今ここ)にあるのだなぁと思い知らされまいた。
というかぶっちゃけ私にとってではなくても本作SLGパートの見所なんてそこくらいしか
…
と、とりあえず全く同じシステムでいいから続編というかリベンジ(空前レベルに悲惨な人気投票的な意味で)希望。今度はハード面はいいからソフト面(戦術性とか)充実させて下さい!
ていうか人気投票、始めるのも締め切るのも早すぎたんだ!あれの締め切りを見逃したのは私一生の不覚……。
(この作品については、簡易攻略にても触れております。)
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