聖なるかな -The Spirit of Eternity Sword 2-(プレイ前用)

聖なるかな -The Spirit of Eternity Sword 2-

(執筆:2007/09/29)



メーカー
XUSE
(酒の名前を冠する複数の製作チームに分かれて、ADV,抜きゲー,SLGと手広く色々作っているブランド。作品の質は全く安定しないがヒット作も幾つか。 本作はチーム名無し。XUSEの総力を結集して?)



属性
発売時期:2007年8月
ジャンル:SLG
用途:ゲーム
舞台:現代の日本の街・各種異世界
顕著な属性:無し
プレイのきっかけ:前作「永遠のアセリア」のファンなので。(プレイ前の期待得点…8点)
注:1回クリアした時点でのレビューです。全てのシナリオを見たわけではありません。



テキスト:4
あらすじ:普通の学生として生活してきた主人公だが、破壊神としての前世の記憶にうなされる。そんな時、学園に突如「ミニオン」と呼ばれる魔法兵士達が来襲。秘められた前世の力を開放することでそれらを撃退するが、前世の力を開放したことで次元に衝撃が走り、学園ごと異世界に飛ばされることに。元の世界に戻るための長い旅が始まる。

↑…いや、本当にこういうブリブリのベタベタ物語なんで、勘弁して下さい。
前作も同じようにベタなお話でしたが、よく出来てました。本作も同じライターだから大丈夫かなと思ってたらびっくり。全然駄目。前作の劣化版以外の何物でもない。
膨大に作った設定をひたすら消化している感じ。始めに設定ありきで、設定に踊らされた登場人物達がその設定を明らかにしていくのに延々とつき合わされている感。
「設定に踊らされている」というと多くの(特にSF,ファンタジーものの)作品に当てはまる気もしますが、それらの作品と一線画して駄目なのが、肝心のストーリー。
大筋も枝葉も駄目です。
特に酷いのが大筋で、設定の力は絶対なものだから、プレイヤーほったらかしで主人公達が一人歩きするのですね。当然のように色々と立ち振る舞うが、なぜそんな行動に出ているのか、そういう状況になっているのかについてのテキストは皆無。それに追い討ちをかけるかのように起こる、ドラゴンボール的パワーインフレーション。次から次にポコポコ登場する新たな強敵!本当に強敵を出すならそれなりの描写ってのが必要なのですが、それも分からない。例えば、やっとのことでべジータを倒したと思ったらフリーザ様という全宇宙を支配するとんでもない奴がいると分かるようなものですが、結局べジータよりどれくらい強いのか分からないまま、「想像を絶するものすごい力だ!」などと一言描写だけあって、設定読んでみると確かに何だか凄そうなこと書いてあるけど、実際に戦ってみるとドドリアさんくらいの強さしかなかったりする。(以下しばらくドラゴンボールについて語ってます)
ドラゴンボールでは、べジータ倒した後で初めて登場するフリーザ様も、その恐ろしさに関する描写は多数存在しますしインパクトも十分なので、ドラゴンボールという作品は長期的には確かにインフレストーリーですが、部分部分を見ると今でもバカ売れしているだけあって優等生なのです。魔人ブウ編以降は作者も開き直って「インフレを楽しむ作品」みたいになっちゃってますが、それはともかくフリーザ様。フリーザ様自ら戦闘に赴いているシーンは極僅かしかないのですが、その極僅かであるナメック星最強の戦士ネイルさんとの戦いで、ネイルさんの戦闘力が当時としては破格の4万だったのに対して
フリーザ様 「私の戦闘力は530000です。」
全国のジャンプ読者を圧倒した、すごい台詞でした。
その後、片手だけで戦って気楽にネイルさんを半殺ししたりしますしね。そんなフリーザ様が本気で怒るからこそ物語も引き締まるというものですが、そう、本作、心情描写に乏しすぎるのですよ!!
ドラゴンボールのネタバレ ここまで
なんというか、ちっとも心に訴えてこない。設定を描くため、伏線回収するために心情が描写されてるのが見え見え。設定の規模ばかり大きくて、物語のスケールだけ膨らみつつも、見せられるのは小粒なドラマ性ばかりで、何だかなぁという感じです。

まぁ、大筋では悲惨の一言ですが、一部面白いお話もあったりするので、零点というわけではないですが。
多分、飛ばし飛ばし読んでもじっくり読んでも理解度はあまり変わらないでしょう。
一言で言うと、期待しないことです。



ゲーム性:8
決められたコース内を走破し敵本拠地を奪うのが目的の、部隊対部隊の戦術SLGです。

前作と基本的には似たシステムなのですが、色々とアレンジ・洗練された結果、前作とは結構勝手の違ったゲームシステムとなっています。
改良されたと言って間違いないでしょう。

前作未プレイの方に、この独特なシステムについて簡単に説明いたします。
まず部隊ですが、「Attacker」「Defender」「Supporter」(戦闘中の役割。Rollと呼びます)各1名ずつの3人で1部隊を構成します。
基本的に3人1組でフィールド上の敵陣地を目指し、敵に遭遇すると戦闘、というわけですね。フィールドはあらかじめコースが指定されています。
独特なのはその戦闘方法です。
Attackerは自ターンごとに1回攻撃でき、Defenderは敵ターンの攻撃を一手に受けて防ぎます。Supporterはターン中のどこかで攻撃・防御の補助をします。
いくら強力なAttackスキルを持っていようと、そのキャラがそのターンAttackerでなければそのスキルは発動しません。DefenderがいなければいくらAttackerやSupporterが強力なDefenceスキルを保有していようが全く役に立ちません。
敵に遭遇すると、敵の編成や所持スキルを参考にしながら、戦闘中に使用する各Rollのスキルを選択します(3Roll×3人分)。戦闘中、Rollはターンごとに変更できますがスキルは変更できません。つまり、ターンごとに6パターンの部隊編成が可能なわけですね。
以上が基本的なシステムです。
本作は、さらに細かい設定が色々とあり、より「駆け引き」の重要さが際立つシステムとなっています。
また、一定の成績以上でステージクリアするとボーナスが貰えたりしますし、強い敵を倒した時に「スキルの素」みたいなのが手に入るのですが、どのキャラにどんなスキルを覚えさせるかを考える、育成の楽しさもあります。レベルも完全に自分の裁量で(手動で)上げるので、プレイヤーの好みの戦略をとることができるでしょう。
ゲームパートのシステムとしては、言うことなしかと。前作が、オリジナリティは高いけれどシステムとしてはまだ原石という感があったのに対し、あれからよくここまで洗練したなと思わせる、満足の仕上がりです。

ただ、戦闘パートは文句無しなのですが、どのように部隊を展開させ、どのような戦略で攻める(あるいは守る)か、といったような楽しみ方はあまり出来ないのが非常に残念です。また、現在2巡目の中盤辺りをプレイしていますが、2巡目以降、退屈になる度合いは前作より早そうです。ハードモードでプレイしても新スキルが出ないような。(未確認。出るかも。)

最後に難易度ですが、これはなかなか良いんじゃないでしょうか。判断を誤ると雑魚敵にも壊滅的ダメージを与えられたりしますし、きっちり脇を締めてかかれば手堅くプレイを進められますし、よく考えたら意外な攻略法があったりもしますし。
中ボスの何人かは、かなり強いです。泣きそうになるくらい強いです。これも、温いよりはよっぽど評価できるかと思います。ただ、そんなに強いやつって設定でもないのに鬼強だったりするのは、…テキスト面での減点対象の一つでしたね。

というわけで、ゲームとして手ごたえ・楽しさは十分ですが、傑作と呼べるかというとあと一歩及ばない、とりあえずそういう評価とさせていただきます。




実用性:3
まさに「なけなし」・・・!

間違いなくPS2で再販されます。エロ薄いです。期待したら負けです。
まぁ数は極小ですが、一つ一つは標準ちょっと下くらいのレベルはあると思いますけどね。



音楽:7
私は結構楽しく聴いておりますが、前作ほどの良曲ではないかなぁと。まぁこの辺は判断難しいところですけどね。私は結構好きなんですけど。7点もつけてますし。
1曲1曲は短いです。2分弱の曲がほとんど。その代わり曲数が多い。サントラ聴いてみたら全部で37曲もありました。
良BGMだと思います。何か的確な言葉が他にあるのでしょうが、「歌詞つけられるようなメロディじゃないけど、ちょっと聴き入ってしまったりもする」。管弦楽の多い、オーケストラ調、と言えるかもです。あまりエスニックな感じではありません。
敢えてケチつけるなら、曲の使いどころが微妙だったりもしますね。「この曲、もっと使うシーン絞ればいいのに…」とか。

ボーカル曲:3曲(「PP」っていうinnocent greyの作品でもそうでしたが、私の環境では何故かOP曲「聖なるかな」が再生されませんでした。私は2曲しか聴いてません。)



キャラ:7
 望:主人公。名前変更不可。冷静な情熱家というか。頭はあまり良くないです。
     ベビーフェイスで、バカみたいにモテまくりです。何故か人望集めまくりです。
 希:望の幼馴染。「望ちゃん。」望にベッタリとしているけど、明るくて性格の良い、家庭的な女の子。
 沙月:1学年上の生徒会長。元気でハキハキとしたお姉さんタイプ。
 カティマ:「剣の世界」の、亡国のお姫様。金髪の敬語美女。しっとりとした感じ。
 ルプトナ:「精霊の世界」の、精霊に育てられた少女。天然系。ボクっ娘。
 ナーヤ:「魔法の世界」の、天才猫っ娘。口調は后系。語尾は「じゃ」第一人称は「わらわ」。
  その他旅団のメンバー:色々

上に挙げたヒロイン5人は、結構エピソードも出てきますし、登場シーンも多いです(特に希と沙月)。キャラとしての愛らしさはどのキャラも結構あるので、キャラゲーとして合格ライン、と言って良いでしょう。絵が結構可愛い感じですし、声優さんもいいし、各エピソードも何だかんだでエロゲーの王道をいってます。

悲惨なのが、上に挙げた4人以外。
他のキャラも(カティマ・ルプトナ・ナーヤ並には)万遍なく登場シーンが与えられていますし、キャラも立ってはいるのですが、その立ち方が、どうもステレオタイプというか安直というか…。
キャラ設定を読むと、結構面白そうな設定だったりするキャラもいるのですが、所詮は準メインキャラということなのでしょう、それをロクに本文中で描写もせず「プレイヤーも分かっているもの」として当然のようにお話が進んでしまいます。
確かに私もキャラ設定は大方目を通しながらプレイしてますので問題無いといえば無いのですが、それだけ設定あるならもっと本文中で生かせよ、と。
基本、退屈な「仲間同士の結束・絆」を見せるためにしか出番が与えられない哀れなキャラ達。キャラとして半死です。ペラッペラです。
例えば、私好みの、戦闘パートのボイスの麗しい、良いツンツン娘がいると思ったら最後の最後までツンツンで終わってしまったり、キャラ設定を見ると「生まれの世界で天下統一を夢見て…」などと愉快ながらも野心満ち溢れたギラギラの個性光るキャラになってるのに、作品内ではただの猪突猛進バカだったり。
そんな無体な。そんな気の毒な。



声:男女
男女フルボイス。男性ボイスは、大方問題無かったかと。女性ボイスは、激萌えボイス1名、萌えボイス1名、良ボイス3名、並ボイス2名、ちょっと厳しいボイス1名。
今思いついたキャラだけカウントしたので、もっと登場するかも知れませんししないかも知れません。ボスの声とかもカウントしたかも知れませんから、メインキャラで考えるともっと少ないかも知れません。
何が言いたかったかというと、2人は良かった。ぶっちゃけ、キャラ得点が7点になったのはこの2人がいたから。ちょっと厳しい1人は、どうかと思った。声自体はいいのですが、鍛錬が足りなさ過ぎる。自分の年齢が声に出てしまってる。これはかなり悲惨。
それともう一つ。収録が後日急きょ追加でおこなわれたとかそういう事情だと思うのですが、自分のキャラの声忘れてました。


…そういや、アナザーデイズが発売予定ですね。(謎)



時間:7
1巡するだけで数十時間かかります。たっぷり遊べます。平均して2巡は楽しめるのではないかな。4巡5巡できる人は極少数でしょうが。



雑記
システム面の難点として、戦闘アニメーションONでCTLキー押しっぱなしでプレイしていたら、しょっちゅうエラーが出てプログラムが強制終了になりました。4回目にはセーブデータがぶっ飛び、血涙噛みしめながら数十時間前と同じOPからプレイし直しました。お気をつけて。
あとは特に難点無しです。

演出として、キャラや神獣・技の設定が事細かに書かれています。そういうのを読むのが好きな人には嬉しいサービスでしょうね。良くも悪くも、これが作品のシナリオ面での根幹になってしまってます。もはや「演出」じゃない。

あと、戦闘マップが3Dなのですが、これがまたかなり美麗。3Dマップのカメラワークも操作性が良くて、まさか3Dの一部門でXUSEがIllusionを超えるのを目の当たりにするとは夢にも思いませんでした。



お勧め度:6
ファンタジックで毛色の違った本格的戦術SLGをしたい人にお勧め。
…いや、全部該当するような人はいないでしょうが、いくつか該当するなら満足できるのではないでしょうか。
XUSEが前作のヒットに味をしめ、普段レーン分けしてゲーム作ってるのに、総力あげて作っただけあって、ゲームシステムは非常によく練られていますし面白いと思います。
合言葉は一言、「シナリオは期待すんな」。
本当に、シナリオさえ軽く流せば、素晴らしい出来なのですよ!!シナリオ次第では、8点9点、名作傑作にもなりえたのですよ!
出来は非常に良いのに、こんな点数しか付けられないことを、非常に残念に思います。




気に入り度:6
死に体のテキストに涙涙、また涙。何でこんなことに…。
物語は、確かにまぁ個性的ではあるのですが、面白くない。物語は面白くないけどゲームパートは面白いゲームといえば、エウシュリーとか色々あると思うのですよね。プロデューサーは「前作の悪いところに目をむけ、それを直した」といったことを仰ってましたが、前作の、悪いところを圧倒するような「良いところ」が本作ではちっとも出てきていないのが非常に残念。独特のゲームパートも売りでしょうが、「丁寧に描かれたドラマティックなファンタジー」という、SLGゲームとしては珍しくよくできていたテキスト面が死んでいたのが泣けます。
SLGパートは満足満足、こんなに良くなっているとは思わなかったです。だからこそ、テキストの粗が勿体無い。 まぁ見所もないわけではないので、その辺についてはそのうち「 プレイ後レビュー」で語ります。



(この作品については、攻略ページでも触れています。)





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