マブラヴ(DVD-ROM版)

(執筆:2009/07/17)



メーカー

age
(「君が望む永遠」や当「マブラヴ」シリーズなど正当派ADVで人気を誇る、ruf系最大ブランド。)



属性

発売時期:2003年3月
ジャンル:ADV
用途:読み物
舞台:現代の学園
顕著な属性:眼鏡、クール、幼馴染み
プレイのきっかけ:なぜかいきなりオルタをプレイしたくなったから。(プレイ前の期待得点…6点)
プレイ進捗状況:2人ほど最後までエンド確認。



テキスト:6

あらすじ:普通の学園生「白銀武」は、隣の家の幼馴染み「鑑純夏」とドタバタした普通の日常を過ごしていた。しかしある日突然現れた超巨大財閥の次期党首「御剣冥夜」が武に猛烈なアプローチをかけ始めたことで、純夏を始め他の学園生との関係も変化せざるを得なくなり・・・

あかほりさとる、と聞くと名前を聞くだけで失笑するような方もいそうですが、今ではその直後でさえ何ら自省的気分に陥ることのない行為を私が覚え始めてしばらくしてから、スレ○ヤーズをきっかけにライトノベルに読みふけっていた頃がありまして、その時同じように何かの坂道を転げ落ちていた友人から借りた大量のラノベの中に、あかほりさとるの「セイバーマリオネットJ」シリーズがありました。
そして、そこに書かれた後書きの一文は、私の記憶に深く刻み込まれ、今に至るまで記憶し続けることとなりました。
彼は、物書きを志す青少年達に、だいたい以下のような助言をしたのです。
「良い物書きとは、壮大なストーリーを練れる者ではない。無数の小さなエピソードを、きっちりと描ける者だ」
これに対する感じ方は人それぞれでしょうが、少なくとも当時の私には、納得できないもののえらく印象に残り、幾度と無く考え、現在では私はこの言は確かに一つの大きな真理であると思うようになりました。

本作をプレイして感じたのが、本作は、良エピソードの集合体だなということです。

この作品(このシリーズ)について、既にある程度ネタバレをされてる人には改めてここで書くまでもないでしょうし、全くネタバレを受けていないという少数派の方には、せっかくですのでぜひその少数派のまま最後までプレイを終えていただきたいので、本作内の構成やその出来栄え等については言及しません。
ともあれ、学園生活は、ドタバタなラブコメがメインコンセプトであり、幾つかのエピソードに分かれており、時としてシリアスにもなれば「君望」路線を継承していると言えるような鬱っぽい気分になる展開もちらほらとあります。
一部、複数ライターであることの弊害を感じないわけでもなかったですが(テキストの質が急に落ちたりする)、概してかなり安定した良作、という印象でした。積極的に減点となりそうなポイントがほとんどないのです。
とりたてて感動したり興奮したり燃えたり萌えたり、ということはなかったのですが、逆に詰まらない、ということもほとんどありませんでした。そして、結構面白かったです(笑えたという意味で)。
ただし、テキストは非常に平易で、のっぺりしていてあまり魅力も感じられないのですが、その辺はシナリオとかキャラ達の魅力でなんとかフォローされてたように思います。

最後に、メッセージ性について。本作は、「マブラヴ」シリーズの前編ということで、問題提起のみがなされているといったところでしょうか。よって、メッセージ性という視点で見るとどうにも不完全な印象を持ちます。本作単体に期待するものではないですね。
しかし、その提起された問題こそが18歳以上である私達にとって一番大事なのであって、それに対するライターの解答は副次的なものでしかありません。また、そうあるべきだと思います。与えられた問題について自分で吟味しようともせずただライターの解答を鵜呑みにすることほど恥ずかしいことはありません。そういう意味では、本作「マブラヴ」は、ことメッセージ性に限っては続く「オルタ」よりも重要なポジションであるのかも知れません。
…などと堅いこと言ってみましたが、本作は基本的に萌えゲーなんで、まずはあまり肩肘張らず気楽にプレイすればいいのでしょう。問題は、提起されてから考える。



ゲーム性:4

基本的に「誰を攻略したいのですか」的選択肢ばかりでしたが、一部、最良の選択を求められるような選択肢もあり、その辺は楽しかったです。



実用性:4

全てのメインヒロインにHシーンがありますが、数は少なく、内容も、良く言えばオーソドックス、悪く言えば淡泊です。




音楽:6

とりたてて良いとは思いませんでしたが、「君望」で私が個人的に気に入っていた日常のBGMがアレンジされて採用されていたのは嬉しかったです。
栗林さんが歌うボーカル曲が2曲あり。特にOPのイントロが大好き。

ボーカル曲:有(2曲)



キャラ:7

主人公:白銀武(名前変更不可),やや熱血系だけど始終誰かとふざけあってるタイプ、ムードメーカー。
純夏:幼馴染み。いじられキャラだが、甲斐甲斐しく武に尽くす(本人に自覚無し)。「武ちゃん」
冥夜:御剣財閥次期当主、文武両道で男言葉の完璧お嬢様だが、世間知らずでもある。なぜか最初から武に対し結婚相手として接する。「武」
たま:猫っぽい炉利っぽいキャラ。弓道の名手だが人に見られると極度に緊張するあがり症。「武さん」
委員長:眼鏡。いつも問題を起こす武に対しても厳しい。弱小のラクロス部主将。「白銀」
彩峰:委員長と極端に性格が合わない、掴み所のないマイペースな性格。授業もよくサボる。「白銀」

全体的に、キャラは良いです。オーソドックスながら、キャラはよく立ってます。キャラが良いから、日常が映えるのですね。
それに加え、個人的に、純夏がかわいかったのと委員長がベタながら悪くなかったのと、以上2点より一応平均越えの7点とさせていただきました。



声:男女

フルボイス。
演技に不安を感じる人は一人もいませんでした。
個人的に、純夏の声が白眉。声の端々にえもいわれぬ魅力が詰まったお声でした。というか普通に上手いですね。この「声の端々」を意図的に表現できてこそ一流って気がします。



時間:5

かなり長いですね。
私も、コンプを諦めたクチなのであまり偉そうに長い長いとは言えませんが、ちょっと真面目にコンプするには似たような箇所が多すぎるんですよね。一通りざっとプレイするには問題ないのですが。詳しくは攻略ページで。



その他

システム:さすがのage。特に不満無しです。
演出:お金あるところは、やっぱり違うなぁと感心したというか呆れたというか・・・。とにかく、すごくよく動きます。キャラも画面も。動くといっても、前後左右運動だけでなく、デフォルメされたキャラの寸劇が仕込まれていたり、画面のズームがあったり、後ろ姿の立ち絵も頻出だったり、そして何より、複数キャラが立ち絵として登場している際、例えばキャラAが喋っている時にAの表情が変わるだけでなく、それに合わせてB,Cの表情も変化したり、とにかく芸が細かい。作り込みが本当にしっかりしています。作品イメージを大きく底上げしていますね。



お勧め度:6

減点要素がほとんど全く無いので、お勧めできない理由がありません。敢えて言うなら少々長いことですが、別にそれほど間延びしているわけでもないので問題ないでしょう。同じような雰囲気のままボリュームたっぷり、ということで、段々プレイヤーが疲れてくる、というのは分かりますが。(中盤以降微鬱展開だったりする場合もあるし)

オルタ抜き、マブラヴ自体でこの得点です。
キャラもいいですが、演出が色々と盛りだくさんで、うまいことシナリオの質の底上げに貢献しているのがいいですね。
後半については賛否の分かれるところでしょうが、これこそ本作単体での評価は控えたい部分です。「オルタ」までプレイしてようやく許せる、というようなところもあるかも知れません。後半については、たとえあまり評価できなくてもそこで投げ出すのは勿体無い、というか早計だ、とだけ申しておきます。




気に入り度:6

お勧め度と全く同じようなことしか言えないのですが、とりたてて加点対象となるようなものもなかったけれど減点対象となるようなものはもっと無かった。概ねまぁまぁ楽しくプレイできました。
ちなみに、一番記憶に残ってるシーンは
冥夜「危ない、鑑!!」

最後に、あかほりさとるがもう一つ言っていた、良い物書きになるために大事なこと、それはとにかく書いて書いて書きまくることだということを添えて、本レビューの締めとさせて頂きます。



(この作品については、攻略ページでも触れています)



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