××な彼女のつくりかた ハプニング

(執筆:2011/06/13)



メーカー

KISS
(ヒロインカスタムシステムの老舗的ブランド。システム的にハードル高いことばかりするから、いつもバグやら不具合やらで評価を下げていた。しかし近年、これまでのハード路線からソフト路線へと路線変更し、それが功を労したのかユーザーからの評価を上げている。)



属性

発売時期:2008年5月
ジャンル:都市建築SLG&彼女育成SLG
用途:ゲーム、実用
舞台:現代の街
顕著な属性:マゾ彼女
プレイのきっかけ:シムシティタイプのSLGエロゲを一度やってみたかったので(プレイ前の期待得点…5点)
プレイ進捗状況:1巡クリア+2巡Hシーン確認



テキスト:3

街建築&ヒロイン育成ゲーではありますが、シナリオもあります。恋人ゲーですからね、出会いやらなれ初めやらも大事なのでしょう。
オーソドックスなラブコメ風です。コメディ要素は弱いですが。主人公が転校してきた街(それをプレイヤーが自分で発展させる)で新しい生活、出会いがあり、やがて主人公もその街を故郷のように思い始める。そんな流れです。
評価としては、まぁ普通。悪くはないが良くもない。ちょっとイントロが長くて人によってはイライラするかも知れませんが、そういう人のためになれ初めスキップ機能まで付いてる親切設計。
シナリオも、序盤こそ豊富なものの中盤以降は最低限になる(&ある程度はカットもできる)のでストレスはないと思います。

欠点は2点。
まず、終盤にシナリオの都合上いきなり時間が過ぎる。街&彼女育成は6月から始まり3月で終わるのですが、実質1月くらいで終わりです。ゲームとしてのボリュームとしてはちょうど良いくらいなのですが、やはり唐突感はある。
もう一点。ちょっと長くなります。
まず、プレイ開始時に、自分が作成し生活する街のひな形を選び、またヒロインの初期カスタマイズをします。カスタマイズできる項目の中には、「基本キャラクター」「恋人時キャラクター」というのがあり、さらにプレイ中の「調教」(育成SLGパート,つまりHシーン)で変わる「隠れキャラクター」というのがあります。この三タイプのキャラ構成が曲者。
まず、基本キャラクター。「強気」「優しい」「クール」などです。これが影響するのが、主に主人公と付き合うまでの序盤のヒロインキャラ。
続いて恋人時キャラクター。「優しい」「奥手」「エロかわいい」など。これは、ヒロインと付き合い始めてからの、デート時のヒロインキャラです。
最後に隠れキャラ。「清純」「エッチ」「マゾ」の3タイプ。要は性交時のヒロインキャラです。
この構成が、大問題。
例えば基本を「強気」、恋人時を「優しい」に設定したとしましょう。付き合うまでツンツンしていたヒロインが、初デートからいきなり「優しい」キャラに変身します。「強気で優しい」ではありません、普通の正統派メインヒロインのようにとにかく「優しい」。はっきり言って完全に別人です。「…こんな女の子だっけ…」ってなること請け合いです。さらに、プレイ進めることで隠れ属性を「清純」から「マゾ」に変えたとしましょう。「普段は強気ながらも二人の時は優しく、そしてHの時はMっ気もあって……」なんて情緒あるものではありません。優しい彼女がH開始と同時にドMの雌奴隷に変身します。
もうちょっと言うとシナリオ展開でたまに日常シーン挟まったらこれまで優しいだけだった彼女はいきなり(変身前の)強気キャラに戻るし、Hシーンに入るとまたドMの雌豚に成り下がるし、とても付いていけるものではありません。
主人公にややシンクロできるのが良いエロゲですし、この手のカスタマイズSLGでは主人公キャラがまるでプレイヤーの分身のようにあれこれと働くのが必須要件でしょう。しかしこのヒロイン豹変仕様は、「主人公にプレイヤーがヒロインを寝取られた」ような珍感覚をプレイヤーに与えるでしょう。ある日突然豹変した彼女を前に「どうしてこうなった…」とモニターの前でフリーズすること必至。まさに「コレジャナイ彼女」生産ゲームです。
その辺の仕様をよくよく理解した上でキャラメイクおよびキャラ育成をしないといけない厄介さがありますね。ある意味、彼女ゲーでありながら「こういう仕様なんだ」という「割り切り」が必要です。




ゲーム性:7

私が知る限り、シムシティのような都市建築SLGエロゲは「都心復興デモンベイン」と本作のたった2作しかありません。シムシティの知名度を考えると希少価値は申し分なしです。
ではゲーム性はどうか。はっきり申しまして、ゲームコンセプトは素晴らしい。ある意味、ただ都市を作るだけでしかないシムシティを越えてる。
ゲームは、以下の要素から成り立っています。日常ADV、都市建築SLG、デートADV(イベントおよび特殊Hシーン)、彼女育成簡易SLG(主なHシーン)。
そしてプレイヤーは、これらのうち好きなものだけ選んで楽しむことができるのです。これが評価ポイント一点目。
もちろん、全てをまんべんなくプレイすることもできます(もし面倒になれば面倒な部分だけその都度適当にスキップすることもユーザーの裁量に任されています)。

そしてこのゲームの評価点2点目は、それでいてこれらのパートがそれぞれ互いの手段と目的を兼ねているため、それぞれのバランスに均衡が取れている点です。
例えば、都市建築はそれだけが目的でなく、都市を居心地のよい空間にユーザーが自由に変えることで、彼女とのデートスポットにも広がりができます。彼女とのデートという目的のための手段を兼ねているわけですね。
さらに、建築物を建てる際にそれぞれ消費する建築ポイントは限られているので、毎月の建築パートで拘りすぎてドツボにハマったりしません。
同じように、Hシーンとはそれ自体が目的でありますが、Hシーンによって得られるポイントで彼女の衣服等が購入できるシステムになっているため、Hシーンとは彼女を着せ替えするための手段にもなっているわけです。
さらに言うなら、彼女の外見をカスタマイズすることによってHシーンもそれに応じたものになりますし、デートスポットもその場所によって彼女のテンション増加値が異なるため、デート後によりディープなHをすることもできるようになるわけです。
上述したように、それぞれのゲームパートが、互いの目的と手段とを兼ねているので、淡々と人口増加ばかりを考えながら都市建築するシムシティよりもある意味システム的に優れていると言えるかも知れません。

余談になりますが、「信長の野望 天下創世」というゲームも、城下町を好きにカスタマイズしていくゲームでした。戦国SLGの中でも内政が好きな人に向いているのですね。あれも、ただ城下町を発展させるだけが目的なわけではなく、城下町の発展によって資金を多く獲得したり鉄砲や騎馬を生産したり、という目的があるため、城下町建築にも気合が入ったものです。(発展していく街を見るのはそれだけで楽しかったですが。)あれに似たゲームシステムと言えるかも知れませんね。アイデアは素晴らしい。

よく出来ているのはシステムだけではありません。まずデート先のバリエーションが割と豊富ですし、何よりHシーンのバリエーションがかなり充実。あくまで複合SLGとしては、ですが、手抜きを感じないボリュームには恐れ入りました。

難点を上げるなら少々バランスが残念なところもあるという点でしょうか。都市開発の自由度自体はまぁまぁ高いのですが、開発に必要なポイント配分が今ひとつで、特に、イベントに関係ないビルやマンション等はもっと必要建築ポイント下げてくれてよかったんじゃないかと思います。手持ち資金が限られた中で建築しないといけないシステムは「ゲーム攻略の楽しさ」という観点から非常に良いと思いますが(チートほどゲームをつまらなくさせるものはない)、あと一歩工夫をいただきたかった。
難点もう一点は、彼女コーディネイトのバリエーション少なすぎ。CGボリュームの関係とか理由はあるのでしょうが、もうちょっとなんとかならんかったのか。それとも、こういう方面はやはりイリュージョン大先生に頼るしかないのか。(キャラカスタマイズの自由度は3Dゲーの強力なアドバンテージですよね)

なんにせよ、よく考えればゲームとしての難易度なんてものは存在しないに等しい自己満コレクションゲーに過ぎないはずですが、ずるずるとプレイし続けてしまう複合要素の構成とシステムは見事。




実用性:6

実はこのゲーム、全体を満遍なく(オーソドックスに)プレイしていると、Hシーンがゲームの中でかなりのウェイトを占めることになります。
それだけに、Hシーンへの力の入りっぷりもなかなかすごい。
まず、Hのバリエーション。あくまで彼女相手にすることなので、三角木馬だとか鞭だとかましてや触手だのHBだのは一切ありませんが、それでいてバリエーションはかなり豊富。しかも、同じH内容であっても彼女のテンション(欲情度と言ってもいい)によって彼女の反応も変わります。
着衣・脱衣のバリエーションまでちゃんととってあり、制服H、私服H、下着H、裸Hと、同じ内容でも4タイプの見た目。言うまでもなく、自分が好きにカスタマイズした彼女の姿がそのままHシーンのCGになってるわけですから、想定可能なCGのバリエーションはとんでもない数でしょう。
内容も、尺が短いわけでもなく(そう長くはなりですが)、機械的・コピペ的な感じはしません。しっかり作られたHシーンだなという印象。使えるか使えないかと言われれば、「使える」ですね。

そして本作のHシーン最大の特徴は、上述しましたが彼女のH時属性が大きく3つに分かれるということです。「清純」状態の時は、ただただ甘々でラブラブなHシーン。自然、選択できるプレイ内容も割と限定されます。「淫乱」状態になると、H内容もかなり増加し、彼女もどちらかというとSというほどではないですが痴女系の攻めHが多くなります。小悪魔的と言ってもいい場合も。Hに対して正直で貪欲ですね。そして「マゾ」状態になると、まぁ名前のとおりマゾ…というか雌奴隷状態に片足突っ込んでるような、割とガチなマゾになります。主人公のことも「ご主人様」と呼ぶし、プレイ内容も割とSMチックになる。それぞれの状態でキャラがかなり異なるので、一人の彼女で全部見ようなどとはせず、一人の彼女につき一つの属性と割りきってプレイした方が色々と精神安静上よろしいかと思います。

一部サブヒロイン達にもHシーンはあるようですが、そこは未攻略。





音楽:6

まぁ普通じゃないでしょうか。
都市建築パートのBGMはなんとなく好き。あと、意外なことにこのよくわからんOP曲(ED曲併用)がなんかツボった。
という2点から、ちょっと甘めに点数つけてます。

ボーカル曲:1曲



キャラ:4

主人公:名前変更可,オーソドックスな俺系主人公キャラ

いまどき珍しい、主人公の名前変えられるタイプなのですね。なので、これも久々ですが、会話中で主人公およびヒロインの名前が出てくる部分だけは音声無し。

メインヒロインの彼女だけでなく、サブヒロインも一応いますが、まぁ…あまり語るまい。興味あれば攻略してみて下さい。私も、一人くらい気になる娘はいました。

それよりは、彼女ですね。ええ、「テキスト」項で書いたとおり、カスタマイズの組み合わせ次第では、時々別人に豹変するのでそれだけはお覚悟を。




声:女

女性のみフルボイス(プラスディスクのみ)です。男性はボイス無し。

彼女役の声優さんが青川ナガレさん一択なので、彼女の声が合わないという方だけはご注意下さい。というか全力で回避して下さい。極めて少ないとは思いますが、陵辱系とかにもよく出ておられる方なので、聞き飽きたという方はおられるかもですね。
私は結構好きです。
もちろん、声自体の質は安心のプロクオリティ。



時間:5

私は50時間くらいプレイしてましたね。いつ飽きるかは、人によるでしょう。
少なくとも1巡半くらいは堪能できるんじゃないかと。



その他

システム:細かいこと言えば、色々と粗もあります。あ、概ね満足でしょうか。インターフェース等は「そこそこ」レベル。

演出:何がすごいって、夜の都市が見れるところでしょうか。夜景がなかなか風情あって良い感じ。シムシティはどうもちょっとドライすぎるのですよね。季節ごとに風景も微妙に変わるし、こういうのは楽しいですね。
あと、EDでマスコットキャラが曲に合わせて(いや全然合ってないんだけど)色々と動いてる2コマアニメがツボった。あれ眺めてたせいでボーカル曲全部聴くことになって、そのまま曲自体気に入るようになってしまった。使い古されたはずなのに目新しい演出!

その他:このブランド作品はバグ無しでは語れなかったのですが(最近はどうなのだろうか)、本作も、あります、ちょこちょこと。特に「ハプニング」で追加要素分に多かった印象。気にしたら負けです。ええ負けですとも…




お勧め度:6

主な問題点はすでに書いてきたとおり、「彼女が豹変する恐れアリ」「自分が思っていたとおりの彼女キャラとは限らない」などでしょうか。
その辺を踏まえて、あまり期待せずにプレイすれば、結構楽しめるのではないでしょうか。色々と盛りだくさんなので、長期休み等で時間できたなどの時にちょっと手出してみるにはちょうどいいかも。
総合して、よく出来てるというか、がんばってます。大満足ではないが、よくこれだけ頑張ったなと誉めてあげたくなる。完成度という意味ではもう一つなのですが、製作サイドの手抜きは感じません。

ここまで書いて来なかったのですが、「ハプニング」の追加要素は、本当にどちらでもいいという印象。入れたければその分僅かながらゲームに彩りが増えますし、入れないなら入れないで若干寂しくはなるでしょうがまぁ普通に楽しめる。私は追加要素込みのハプニングの方を購入しましたが、「無印で良かったんじゃないか」という後悔の念はありません。ハプニングオリジナルHシーンとかなかなか良かったし、ゲームのメリハリもよりきいた気がするし。




気に入り度:6

ヒロインキャラには本当に翻弄されました。ベースキャラは「優しい」「強気」「クール」「(ハプニング追加で)おしとやかな従妹」というのがあるのですが、「優しい」はいいとして、「強気」は、強気というかむしろクールな気がするし、「クール」はこれ完全に長門やら綾波やらの不思議系ヒロインですね。色々、「…あ、ああ…こういうキャラだったのね…」とキャラメイク時の想像との乖離を自分の中でつじつま合わせしないといけなかったのがなんとも。

しかし、もともとあまり期待していなかったせいか、想像以上に色々と楽しめて良かったです。上でも書きましたが、本当はもっと街メイクをしたかったしヒロインのカスタマイズもしたかった。その辺りのバランス、もう少し考えてくれても良かったかなという印象。

どうも評判は芳しくないようなので続編は厳しいかもですが、それでも、いつかもっと色々パワーアップした続編が出ればなぁと願ってしまいます。





gyutto.com「××な彼女のつくりかた」
gyutto.com「××な彼女のつくりかた ハプニング」
たまにgyuttoのセールス品に上がってたりします。私の場合はGW中のセールの時に買いました。
DL販売はそういうのが融通効く点も好きです。


web拍手
 一言メッセージ機能としてもご利用いただけます。
 いただいたコメントには後日日記にてありがたくレスさせていただいております。


  戻る  
  攻略     プレイ後用レビュー     日記過去ログ  
  Top Page