メーカー
InnocentGrey
(この作品が処女作です。お金かけられて結成されたブランドっぽいです)
属性
和風サイコミステリーVN,演出,終戦直後の上野・逗子,猟奇
テキスト:7
戦争が終わり、ようやく落ち着いてきた上野で、連続猟奇殺人事件が起こる。事件に手を焼いた有島警部は、かつての部下である主人公に、別の事件の依頼をする。逗子で起きた良家長女失踪事件。一見無関係に思えるこの2つの事件は、やがて一つの真実へと収斂していく。
ジャンルとしては、「和風サイコミステリー」とのことなのですが、正直、そのいずれもが良く言えば及第点止まり、悪く言えば中途半端な出来というのが実感です。
和風ではありますし時代物というのは非常に興味深くそれだけで評価できる冒険的企画ではありますが、その設定を舞台の展開や雰囲気作りに完全に生かしきれたかというと、どこか物足りなさがあり、サイコというか猟奇ですし(こちらは満足というかお腹いっぱいでした)、ミステリーにしてはそれほど感嘆するようなネタでもなかったような・・・。いや、悪くはないのですが。
いい出来なのにどこか物足りなさがあるのは、おそらくテキスト量の少なさではないでしょうか。もう少し他の部分を削り、テキストを練り直し、細部を補強すれば、最高の作品になったであろうと思われます。
面白かったことは面白かったです。
ゲーム性:3
普通のVN形式。たまに2択の選択肢が出ます。
しかし、いかんせんルート分岐が難しすぎる気がします。
結構がんばったのですが、途中で面倒くささに挫折して攻略見てしまいました。これは良くない。
しかも構成の性質上、攻略を見るのはあまりオススメできないかも知れません。変な誤解を生みます。
実用性:7
これは予想以上に大ボリュームでした。別に期待していなかったからお腹いっぱい。ちょっと多すぎです。
質も良質ではないでしょうか。声優さん達ががんばっております。
決してがっかりはさせられないでしょう。
音楽:8
良質です。
主題歌は非常に耳に残る曲ですし、作中の音楽も、並以上の物を感じます。しっかりと作りこまれている感があります。
何曲か気に入りましたし、OP曲は聴けば聴くほど癖になる魔性の曲です。
キャラ:7
主人公:名前変更不可,駄目人間スレスレの27歳。たまに勘のいいところを見せる。
とはいえ、探偵やってるわりに常人以上にどんくさいです。
期待しないように。
ヒロイン:主人公が捜索する長女の妹。ハキハキとしてはつらつとしつつも
全体にどこか間が抜けている。演劇を志す、頑張りやさんの良い娘。
その他、脇役。主人公が居候している遊郭の遊女は、「○○っす」言葉で話す優しい姉さんで、見習いの娘はしっかり者で主人公大好きだけど内気で炉利で、主人公の友人は隻腕の女で非合法組織の幹部でトンファー使いで、主人公の妹はかなりイカれた天才で、遊郭の元締めは見た目どおりの人で頼れる優しい姐さんで、主人公元上司の有島警部は声の渋々なおじさんで、実はたこ焼き屋のおじさんが熱くて、
まぁこんな感じ。
あと一人、いるといえばいるのですが、これは省略。
どれもいいキャラしております。特徴的な点として、いわゆる(悪い意味での)「美少女ゲーム」的キャラがほとんどいないという点を挙げておきたい。それぞれが一個のキャラとしてどこに出ても恥ずかしくないいいキャラしております。(あ、主人公除くかも)
特にヒロインは、「あぁ、こんなキャラいいなぁ」とほのぼのとさせてくれるいい感じです。色気ないのがいい。
逆に、色気あるのにいいのが、「○○っす」口調の遊女。これもなんだか癒されます。声、全部聞いてしまいました。
とまぁ、どれもいい感じです。ただ、「非常に良かった」とまでは惜しくもいえないので、7点。
声:男女
男の声、どれも渋いですね。これも密かなウリだそうですが(?)。
全体的に、声は非常によろしい。主人公の友人のみ、たまにヘタなところもあったけど、それ以外は上々。非常に声と絵やキャラがマッチしておりました。
特に、一色ヒカル(妹役)さん、あなたはすごい。前からすごいと思っておりましたが、今回改めてすごいな、と。美少女ゲーム業界を背負って立つ女です。
ヒロインの声の人も、ピッタリまくりです。その、ちょっと色気に乏しい声がヒロインのキャラにど真ん中ストライク。
時間:4
不満足です。もうちょっとボリュームを。これ以上無理・・・?
雑記
システム、大変よろしゅうございました。テキスト系としては完全武装といってよいでしょう。95点です。
演出も大変心憎く、雰囲気作りもバッチリでした。
(この作品は、「プレイ後」にてネタバレレビュー有りです)
お勧め度:7
「和風サイコミステリー」の雰囲気に興味ありな人には、まさにうってつけ。演出はすばらしい。
ただ、お話に過度の期待は禁物です。お話はおまけだと思いましょう。それならば、きっと、大変満足できると思います。
あと、猟奇物が苦手な人、死体や血を見るのが大嫌いな人、やらないことを強くお勧めします。普通の人なら耐えられるレベルだと思いますが。
気に入り度:7
演出やキャラや声や音楽などで、気に入り度8点9点も十分考えられました。
しかし、私がこのゲームに期待したものが、音楽をはじめたとした「演出」ともうひおつ、「ストーリー」であったことが、7点止まりの原因です。
ストーリーから、貧弱さがぬぐえません。もっと深くえぐれたはずです。残念です。
敗因はおそらく、エロシーンが幅を利かせすぎたことでしょう。ジャンルがジャンルだけに、このエロシーンはお話全体の盛り上がりや何やらに対して、逆効果に働いていると思います。
先の展開が気になるのに、長々とエロシーン見たくはないです。キャラがそれぞれ、俗なエロさの無い、下品なエロさのないキャラだったから、安心してお話に入っていけたのに、たまにエロさ満開なのはいただけません。
それで、ストーリーの方も満足のいくものでしたら何も言うことはないのですが、雰囲気ばかりが非常に良くて肝心のストーリーがその質についていけてなかった。
辛口ではありますが、それだけ愛情込めてます。
成長か停滞かの瀬戸際である18禁業界において、強く光る可能性を持ったこのブランドの、次作に強く期待。
そうそう、最後に一言。
とあるバッドエンドですが。
えぐいバッドエンドでも名高い「雫」の「ハサミエンド」を、ある意味かる〜く越えていました。
悪いだけでなく、非常に胸に来る。TRUEエンドよりも胸に来る。
ギュッと!「カルタグラ〜ツキ狂イノ病〜」2800円以下
2800円ならお買い得だと思いますよ…。発売当時フルプライスで買った身としては。
シナリオゲーは年月による劣化が少ないので良いですね。
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