(執筆:2005/12/06, 2006/12/29加筆)
メーカー
TYPE-MOON
(「月姫」シリーズ、「Fate/stay night」で大人気を博した正統派読み物作りブランド)
属性
ジャンル:ADV(ミニゲーム有)
用途:fate/stay night(以下fate)ファンディスク
舞台:FATEと同じ
顕著な属性:FATE, ミニゲーム,花札
テキスト:6
あらすじ:「聖杯戦争」から半年…。 現存するサーヴァント、蘇る「聖杯戦争」。
非日常の4日間はしかしその異質性を内包したまま、日常の世界を展開する…。
うん。やっちゃいましたね。
日常場面と、本編場面、雰囲気違いすぎて付いていくのが大変辛かったです。
OPまでプレイするだけで、プレイヤーにひしひしと感じさせられる違和感。納得のいかない、理由の分からない焦燥感。
それは良いのです。そのまま、事件解決に向けて話が動き出すのなら。
そこに立ちはだかるのが日常パート。要はファンディスクとしての一面ですね。
正直、ストーリーの先が気になって、日常パートは障害という印象が強かったです。量も多いし。
本編シナリオと日常シナリオをバラバラっと呈示して、読みたいやつ読めやっていうスタイルは悪くないのかも知れませんが、正直今回は失敗かなと。まだキッチリ分けてあったほうがずっと良かった。日常→本編 という感じに。本編が面白かったのは確かです。先が気になります。だからこそ、先を見たい気持ちを我慢して日常パートなどをダラダラやるのはあまりにも苦痛なのです。先に本編を全て見ることも可能かも知れませんが、それやってしまうとその後の日常パートがあまりにもぎこちないものになります。結局、読む順固定の方が良かったですね。
日常パートのダルさについてはすでにあちこちで書かれているようですが、まぁこれはファンディスクですし、一部のそのキャラのファンが楽しめればそれなりにOKなわけです。けど、それにしても、脇役の出番多すぎではなかろうか…?脇役のファンというのは正直よっぽどのコアな人たちであって、人気投票の票通り、とまではいかなくてもそれに近い配分で出番を提供するのが、ファンディスクとしても理想的だと思うのですが…。 確かにメインキャラ達は本編で嫌というほど活躍しましたが、彼らが嫌というほど活躍したからこそ、こうやってファンディスクも出せるほどの人気を得たわけでしょう。で、その功労者達へのスポットよりも、サブキャラ達へのスポットが非常に強い。これでは多くのファンはがっかりのはず。サブキャラへのスポットもまた面白いですが、配分を間違えているとしか言いようがない。
さらに本編ですが、結局最後までしっくりこないものを感じました。さらに、Fate/stay nightに比べて(伏線の少なさなどを考えれば当然なのかも知れないですが)あのいもいわれぬ文章への魅力がグッと無くなっている気がします。
ゲーム性:5
本編とは別にミニゲームが2つほどあり。
それぞれ、なかなか楽しめます。
実用性:4
焦らされ焦らされ焦らされ、ようやく出てくるHシーン。
それぞれの長さはまぁまぁですが、非常にノーマルであることと、キャラはおなじみであることから、本当におまけ程度ですね。
音楽:7
本編の曲はどれもカッコいいです。これはなかなかすばらしかった。日常曲は普通。
ボーカル曲:3曲。豪華ですね。質はまぁ…略。総合点ならfateを越えます。
キャラ:7
主人公:名前変更不可,Fateとほぼ一緒。Fateより軟派になってる。
その他:fateよりも、それぞれいぢられがいのあるキャラに転向。
その分fateの売りだったシリアス度はグッと下がってる。
新キャラ:2人(3人)。それぞれ、大変良いキャラをしておられる。
結局この作品、ファンディスクだけあってキャラゲーなんですね!
それにしても、う〜ん…
後の「お勧め度」のところで改めて触れます。
正直、ここの評価はなんともいえません。ひょっとしたら3くらいかも。Fateのキャラと基本的に同じなわけで。
声:無
声といえば、例によってバーサーカーが吼えるくらいです。
時間:6
ミニゲームに多大な時間を費やしてしまった…。
ほぼフルコンプ状態の今現在で、総プレイ時間45時間。。
まぁこのあたりは並のファンディスクを凌駕してますね。
雑記
システムおよび演出は、本当に凝っている。すごい。凝りすぎ。内容(テキスト)が伴ってないことも。
お勧め度:7
ファンならまぁやってもいいんじゃない?って感じです。詳細は上述。
ただ、新キャラ2人を巻き込んでの本編シナリオは圧巻です。Fateほどじゃないけど。これがあるからこそ、お勧め度が7点もあるのです。ただ、前作よりさらに難解で、正直何書いてあるのか理解できない部分も。これは、コアなファンなら解読できるんだろうけど…。
コアなファンはこんなレビュー読むまでも無く購入するでしょう。
そこまでコアなファンではないという方、特にFATE単体は好きだが他のきのこ作品についてそこまで思い入れがあるわけではないという方、Fateの真髄は舞台設定以外のところにあると思う方。
プレイしないのも一つの(しかもそう悪くない)選択です。
要は期待すんな、と。特に、士郎・凛・イリアファンは。
逆に、ランサー・キャスター・タイガー・桜・陸上部3人組あたりのファンならやる価値あり。
なお、Fate未プレイならば2点。
気に入り度:6
色々てんこ盛りだったので、かろうじて6点。
以下、ネタバレ含む感想というか疑問。テーマはホロウ本編について。
わざわざプレイ後レビューの方に書くほどの内容でもないので…。
↓ここから
結局本編ってアヴェンジャーを掘り下げた(特にその人間観)のと、聖杯について書いたのと、その2点?あとはバゼットさんが一皮剥けるためのお話?(特に最後の聖杯の中での会話)
何だか神父代理が神父よろしく意味分からないことを語りまくってくれましたが理解力に乏しい私には2回プレイしても何のことやらいまいちピンときませんでした。2回目のプレイ直後は「ん、こういうことか?」みたいなのがあったのですが、すみません忘れてしまいました…。もう1回やる気にはなれないし…。
ただ、記憶を頼りに思い出してみるに、やはりそうメッセージ性のあるようなシナリオではなかったかなと(わずかにあった気がするのですが。確か、人間観だか人間だかについて)。やはり単体で評価するには厳しいなぁ…。エンターテイメントとしては、よりによってこの作品をこう呼ぶのもなんですが「劣化フェイト」。戦闘シーンにおける文章の大げさな表現が、ファン以外受け付けられないようなものになってると思います。簡単に言うと「陶酔的文章すぎて読んでて恥ずかしい」。
とはいえファンディスクでありながら新キャラをも登場させ、もう一つ本編を書いてしまったその気概には感服&満足です。
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