ひぐらしのなく頃に(プレイ前用)

ひぐらしのなく頃に

(執筆:2007/11/16、2008/11/25上方修正)

本レビューは、出題編である「ひぐらしのなく頃に」(以下「無印」)および解答編である「ひぐらしのなく頃に解」(以下「解」)とで一作とみなしてのレビューです。
また、ここでは同人のPC版(オリジナル)をレビューしています。



メーカー
07th Expanshion
(本作が処女作の超級同人サークル。)



属性
発売時期:2002年8月-2006年8月(8回に分けての発売)
ジャンル:サウンドノベル
用途:物語
舞台:昭和58年頃の山村
顕著な属性:ホラー・ミステリー
プレイのきっかけ:友人に激押しされて。それまで、作品名くらいしか知りませんでした。ただ、パケ裏を読んで俄然興味が。(プレイ前の期待得点…8点)



テキスト:8
あらすじ:山里の自然豊かな静か土地「雛見沢」に家族で引っ越してきた圭一は、新しい土地、新しい学校で、新しい仲間と生き生きと新生活を送る。
雛見沢では過去4年、毎年「綿流し」という祭りの時期に一人が死に、一人が失踪するという怪現象が発生している。
陰謀か。偶然か。それとも崇りか。
5年目の「綿流し」にて圭一がその事実を知った直後、惨劇は再現される。

これぞエンターテイメント!
基軸は、緊迫感漂う、先の展開が気になって仕方ないジェットコースター式の物語です。
換言すると、睡眠時間削れるのは分かってるのにやめられないタイプ。
ではジャンルは?ミステリー?ホラー?
「偶然か?祟りか?事件か?」がジャケットのキャッチコピーであることからも読み取れるよう、ジャンルが明らかでないところがこの作品の第一の胆です。
第2の胆は、これは果たしてホラーもしくはミステリーなどと1ジャンルに片付けて良いのか、と思うほど多彩な魅力が詰まっている点です。文学的でなければ詩的でもない。ただただ直球で、プレイヤーを恐怖に陥れ、歓喜させ、血をたぎらせ、共感させ、萌えさせる。プレイヤーをおいてきぼりにしない、良シナリオ。
テキスト自体も、技巧に富んでいたり特に表現の妙が感じられるわけではないのですが、プレイヤーを引き込み、情感を引き起こす強い牽引力と魅力を持っているテキストです。
そして潜む、作者からのメッセージ。少々付け焼刃感が強いのが残念ですが、実に良い主張ではないかと思う。

粗もないわけではないですが、とりあえずこの物語は、楽しまなきゃ損でしょう。
「良ライター」というのは多くいますが、このライターさんほど「悪魔的手腕」とか「鬼才」とか言う単語がピッタリ来る人は他にいないんじゃないかと思う。良い意味でも悪い意味でも。しかもただのサタンじゃないところが、また感服させられる…。

ひぐらし無印で8点、解も8点です。ただしこの8点が評価しているものは、無印と解でかなり異なると言えるでしょう。特に、解答編単体でこの点数である点にはご注目いただきたいところ。



ゲーム性:4
選択肢はほぼ皆無です。完全に一本道です。
では何をゲーム性とするのか。
この作品は、プレイヤーへの挑戦状です。プレイヤーが自ら謎を解くのが、このADVの楽しみ方の一つです。
もちろん、謎解きなど端から無視で、次々に繰り広げられる展開に息を呑むのもまた良い楽しみ方でしょう。
当サイトとしては「謎解きよりで膨大な時間を費やすより、とりあえずシナリオを追うのを楽しむ」のをお勧めしますが、その辺は、プレイヤー次第ですね。



実用性:2
エロゲーではありません。全年齢対象の、同人ゲームです。
これを普通に実用できる人は、「猛者」と呼んで差し支えないでしょう。エロゲーならパッケージで実用可能なんじゃないか。



音楽:7
ひぐらし無印と解で若干曲目が違います。基本のレギュラー曲はほぼ同じなのですが。なのでそれぞれ分けてお話しします。
まず無印。6点です。音質はそう良くないし曲もまぁオーソドックスな感じですね。2曲、結構気に入った曲がありました。
続いて解。7点です。ひぐらしはお話が進むごとに曲が少しずつ追加されていくのですが、解から一曲かなり良い曲が追加。その曲が解の音楽の要となるのですが、解は音楽単体でもなかなか聴かせます。
同人ゲーなので音質等は期待してはいけませんが、BGMとしてはかなり健闘していると思います。「雑記」項で後述。

ボーカル曲:1曲



キャラ:6
主人公:圭一。名前変更不可。デリカシーに欠けるし鈍感なところもあるが熱い心を持った少年。私が見る限り中学生。
魅音:最高学年。圭一が所属することになる「部活」(集まってゲームするだけ)の部長。頭がキレるが、明るい性格。第一人称「おじさん」
レナ:圭一と同い年。気立ての良い娘。かわいいものに目が無い。変な口癖あり。部活のメンバー。
梨花:「オヤシロさま」(村で奉ってる神様)の生まれ変わりだと信じられており年寄りの熱烈な信望の対象。その実態は子悪魔系の炉利。部活のメンバー。
沙都子:梨花と同い年くらいだけど口調はお嬢様口調。トラップを仕掛ける名人。部活のメンバー。

特に炉利属性・鍵属性(key系キャラに萌える属性)があるとポイント高いです。変な口癖のヒロイン(?)2人に、萌えたりするかも知れません。 じわじわ来ます。
その他のキャラも、意外と可愛い面があったり…と、なかなかです。
全キャラの指が異様にごついのは、数時間で気にならなくなります。粗いキャラ絵は、十数時間で愛着が湧きます。終盤までには「この絵じゃないと駄目だ」と思います。



声:無
脳内音声最高。
まぁ音声あったらあったでまた良いのでしょうが、先の展開が気になって音声スキップしまくりかも知れませんね。



時間:6
無印・解合わせてかなり長い時間楽しめると思います。ADVとしてはかなり長め、値段からすると破格。
早くても各15時間ほどでしょうか。(計30時間)
本格的に推理をするなら、それに費やす時間がさらに追加されます。



雑記
システム面で特記すべきことは、マウスホイール非対応な点と画面が600×800の小サイズである点ですかね。あとは不自由無しです。
で、演出。演出という項目を作るべきではないかと思ったくらい、良演出です。良というか秀。
まず、多彩な効果音があり、音楽・効果音ともに、使用のされ方が絶妙です。目新しさがあるわけではないですが、隙の無いプロの技という感じです。音楽に対しての印象が、使いどころを的確に押さえているためグッと良くなってます。
その他、大小様々な演出がありますが、立ち絵を動かすとか日めくりカレンダーを入れるとかそういうのとは一味も二味も違う、これまた骨太演出。一言で言うと素晴らしい。得点付けるなら9点か10点ですね。

CGですが、言われて初めて気づきましたが立ち絵ばかりで一枚絵がないのですね。
癖のある絵に馴染めない方、一定水準以上の絵しか受け付けない若きエロゲーマーは回避推奨です。先述しましたが、見慣れてくると味のある良い絵だと思いますし、恐らく作品の雰囲気作りにも貢献していると思います。



お勧め度:8
絵に癖があるのと、序盤が人によってはタルく感じるのがマイナスポイントでしょうか。
明らかなプラスポイントはやはりお値段ですね。エロゲーの感覚で考えるとまさに破格。

深い思想とか大人向けテキストとか、そういうものを期待してプレイ開始するのはお勧めできません。製作者はむしろ中学・高校生を対象に作品を作っているようにも思えます。かなりショッキングなシーンもありますが、全年齢向け作品ですし。
しかし、私達OVER18のプレイにも十二分に耐えます。最大の理由は、テキスト項で述べましたが、なんといってもその卓越したエンターテイメント性でしょう。「お金をかければ良いというわけではない」という見本のような作品です。
もう一点、自身の謎解きが終わった時、ライターが展開する主張は、愚の骨頂に見えて傾聴に値すると思います。ただしそれを満足に消化するのは極めて困難であり、それこそ18歳以上の私達が本気で取り組むものでしょう。大多数はスルーしているようですが。先ほど「中学・高校生を対象に作っているように思える」と述べましたが、ライターのメッセージは、むしろ既に社会に出た人間にこそ、強く訴えるものがあるのかも知れない。私は、大きく感銘を受けました。

私の知り合いで、ひぐらしは未プレイだけどお話は知っているという人がいますが、お話の概要を知るとかネタバレを全て知るとか、それで作品を分かった気になるのと実際に自らプレイするのは全く違います。これは、体験して頂きたい。今更、本当に今更な発言ですがそう思います。

未プレイ・プレイ済に関係なく、ここをご覧の方の多くは既に大小様々なネタバレに直面していると思います。しかし、ではそのネタを前提に話を読み進めれば、快刀乱麻を断つように物語の全貌が見えるのか。答えは、よほど重度でない限りNOです。私もプレイ中に幾つか大小のネタバレを食らいましたが、作品の魅力はかなりの水準で保たれたままでした。
エロゲーマーの私が、エロゲーマーの皆さんに、旬を過ぎた今尚お勧めする。
先の読めない展開に全く渇望していない方以外にお勧めです。






気に入り度:10
プレイ中に思ったのが、「ミステリーかホラーか分からないのって、すごく面白いな」ということ。プレイヤーが「構え」を作れないんですね。ミステリーなら、どんな怪事件が起ころうと、犯人は人間に決まってる。ホラーなら、どれだけプレイヤーの分身(人間)が否定しようと怪現象は厳として存在するのだから、「そういう世界」(ファンタジー)と思って話を読み進められる。それが分からない、特に中盤までは、ある意味最高に楽しかったです。
また、何となくどういうお話かは想像ついてきたけど、やっぱり何が起こっているのか分からない中盤、段々と謎が明らかになっていき、また別の性質の物語が開始される終盤、これらもまた非常に楽しかったのは間違いないです。

終盤になるにつれ粗が見えたりしたのは残念ですが、この作品のメッセージ性に比べればその程度は些細なことです。私が7点8点から10点に引き上げようと思った理由は、この作品でされた主張にあります。シンプルながらこの上ない、そして難しくもやりがいのある、私が社会生活を送る上での羅針盤。



(この作品については、攻略・プレイ後日記にても触れております)



ギュッと! 「ひぐらしのなく頃に」1575円以下
ギュッと! 「ひぐらしのなく頃に解」2100円以下
(「ギュッと!」って?)
合わせて4000円弱。私はかなりお買い得だと思います。ためしに無印のみプレイしてみるのもありでしょう。

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 いただいたコメントには後日日記にてありがたくレスさせていただいております。


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