flutter of birds 〜鳥達の羽ばたき〜

(執筆:2008/01/26)



メーカー
シルキーズ
(エルフ一派のブランド。最近では「女系家族」「姫騎士アンジェリカ」等で有名。)



属性
発売時期:2001年2月
ジャンル:ADV
用途:読み物
舞台:現代の診療所・および周囲の山里
顕著な属性:眼鏡
プレイのきっかけ:友人お勧め。前情報無し。(プレイ前の期待得点…7点)



テキスト:8
あらすじ:医学生の主人公は、夏休みを利用し小さな診療所のお手伝いとしてその診療所に住み込むことに。そこで再会した幼馴染、そして診療所のスタッフや患者達との交流物語。

オーソドックスな「診療所もの」という認識で大体問題ないと思います。
ヒロインが結構多いですが、どのヒロインについてもしっかりと一本のお話になっており、そのヒロインと仲を深めていく過程が丁寧に描かれています。
また、ヒロインと仲良くなるにつれそのヒロインが持つ悩みや病気などが明らかになっていき、シナリオ自体も段々とシビアなものになっていきます。
そして迎える各シナリオのラスト。その質はそれぞれ違うでしょうが、きっと何かしらの感動が胸を締め付けることでしょう。

内訳を書くとこんな感じです。
シナリオ:7点(王道。定番。一部秀逸。)
テキスト:7点(雰囲気が良い。若干癖はあるが、山場はその癖が逆に光る。)
プロット:9点(3ルートが素晴らしい、1ルートがかなり良い、残り4ルートも良い)
インパクト:9点(残ります)
メッセージ性:4点(考えさせられたりもするけどあまり期待すべきものではない)



ゲーム性:3
ゲームは、マップの場所選択によって進んでいきます。一日2回程度、自分が行く場所を選び、そこにヒロインがいればそのヒロインとのイベントが進んでいく形式。時として選択肢も出ます。

どこに誰がいるか分からないので、そのヒロインの行きそうな場所を探す必要あり。慣れてくるまではちょっと難しいかも。まぁ普通にプレイしていれば大体のルートは見れるのですが、一部のルートはかなり難しく、攻略サイト必須。



実用性:3
「同級生」の絵師さんです。
あまり使えるようなお話でもシーンでもありません。



音楽:7
BGMは、ゲームの雰囲気によく合った、ゲームの雰囲気作りに貢献している良BGMです。
主題歌とED曲が1曲ずつ有り。
どちらも、単体で聴いても悪くないですが、この作品とは切っても切り離せない、「作品の一部」という感じですね。

ボーカル曲:2曲



キャラ:8
 主人公:「裕作」(名前変更不可)
     医者の卵。取り立てて特徴もない無難な性格だけど、
     適度にふざけ、適度に引き締まる良主人公。少々甘っちょろいかも。
 大気(いぶき):主人公の幼馴染。主人公を「裕兄」と呼ぶ。
         父の経営する診療所で働く、数少ないスタッフの一人。
         明るく元気で心優しい、顔も良いという同年代系幼馴染。
 その他:眼鏡っ娘、無口、生意気、ボクっ娘、ボーイッシュ、謎っ娘

まぁ、萌えそうな感じのテンプレート少女ばかりのようですが、実際そう
…いやいや… キャラ設定がしっかりしているんで皆生き生きしてます。
というか、シナリオに引き込まれるのとキャラに引き込まれるのは強い相関有りですね。
私は2名で陥落しました。萌えるといえば萌えますが、胸に来ます。



声:男女
当時(2001年)にしては珍しい、男女フルボイス。
メイン達は言わずもがな、サブキャラ達の声まで実に良い感じで、一部サブキャラなんぞ、劇団員か何かかと思いました。(実際そうかも知れない)
診療所に来るお年寄り達の声まできっちり入っているのは好感をもてますね。ましてやそれが作品の質を引き上げているとなると。

ちなみに私はこの作品をプレイしてから3,4年は、某メインヒロインの声の人を実用に使えませんでした。



時間:4
ADVとしては多め、もしくは標準的な分量だと思います。ヒロインが多いけど各ヒロイン短くは無い。



雑記
システムがかなりよくないです。これが、世間で埋もれている理由の一つかと。
まず、全画面表示固定。さらに、テキスト未読非スキップ機能無し。全部飛びます。さらにセーブポイントも固定(一日の終わりに1回)。他にも何かあった気がしますが忘れました。まぁ、覚悟して、期待しないことです。

演出ですが、主題歌の使いどころがオーソドックスながら悪魔的です。
魅せたいシーンはしっかり一枚絵のCGになっており、盛り上がるシーンが綺麗に盛り上がります。
そして何より特筆しておきたいのが、各ヒロインクリア後のアルバム鑑賞モード。
そのヒロインと、自分達が撮った写真(ゲーム内のCG)をヒロイン語りの下眺めていく、「二人でアルバムを見て昔を懐かしむ」的ノリでCGを鑑賞できるのですが、これでキャラへの愛着がさらに増すのですね。これは一度見ておくべき。



お勧め度:7
舞台が、「桃源郷のような」と言えばよいのか、緑の多い楽園のような場所なので、マップ移動からして何だか癒されます。気ぜわしい現実との闘いに疲れた貴方に、是非お勧めしたい。

ネタバレ極力減らして書いたので今ひとつピンと来ないと思いますが、ネタバレ無しでプレイした方がいいんじゃないかと思いこのような分かりにくいレビューになってしまいました。
奇を衒ったもの・斬新なものばかりが良作になるわけではない。
「胸の内深くまで届く作品」という問いに対して、一つの答えがここにあります。多分。
この作品に浸ることを拒絶し、この作品が大好きだと言う人間を「きめぇ」と叩くのは簡単ですが、ここまで来ると、「こんなの叩いてどうするの貴方」というレベルです。
何言ってるか分からないと思いますが、とりあえずシステム重視の人間だけはスルーしとけと。それ以外は、まぁ過度の期待せずプレイしてみてはいかがか。絵は、受け付ける人と受け付けない人がいるようですので公式サイトでチェックしてみてください。




気に入り度:9
もうプレイしたのも遥か昔ですが、私内殿堂入り作品です。他の殿堂入り作品(当サイトでお気に入り度9以上)がどれも知名度高いのに対し、本作だけ異様に埋もれているっぷりが残念です。中古屋で1000円ですからね。破格です。

思い出補正、エロゲ経験値不足補正もあるのでしょうが、今思い返しても「良かったなぁ…」と浸ってしまいます。客観的にかなりキモいのは承知の上。いいんだよ、こういうのは。キモくて。

私のエロゲーとの関わりを浅からぬものにしてしまった作品の一つです。
ある意味当サイトはこの作品をレビューしたくて作ったようなところもあるのですが、「もう一回プレイし直してから…」と思ってたら5年もたってしまいました。今回は思い切って、思い出だけでレビュー。

久々にひどいレビューが出来た気もしますが、こういうのは理屈じゃないからね、という強引な逃げで〆。





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