(執筆:2009/10/07)
minori
(演出やアニメーションに定評有り。「We always keep minority spirit.」が指針の、気骨あるブランド。)
発売時期:2009年9月
ジャンル:ADV
用途:読み物
舞台:近未来のSF世界
顕著な属性:無
プレイのきっかけ:minoriが魂のブランドだから。(プレイ前の期待得点…5点)
プレイ進捗状況:コンプ
あらすじ:地球の最期を予見し、人類を地球から脱出させる計画の中心的役割を果たした、人型生命体の天才少女。主人公は少女と共に地球に留まり、一度も研究所外の世界に出たことのない彼女に世界を見せる。
終末の世界を舞台にした、穏やかな物語です。プロット・シナリオともに王道展開ですので、シナリオには期待せず先の展開などあまり考えないで目前の場面場面を楽しみましょう。小難しい思考は作品を楽しむのを阻害するだけです。
物語に素直に身を委ねれば、作品の中身は商業作品らしく作り上げられていますので、安心して楽しめると思います。(プロデューサー的ポジションの人が大分頑張ったんじゃないかと思います)
恐らく「始めに描きたいものありき」で設定もキャラも作られているので、中盤まで、主人公およびメインヒロインのキャラや行動に若干のぶれを感じます。その辺が残念でしたね。あまり気にせず「そういうもんか」と思ってればそれほど問題にもならない程度。他は特にマイナス要素無しです。
テーマは純愛、とのことでしたが、私にはまた少しだけ違ったテーマも感じられました。積極的なメッセージ性は特に無し。プレイヤーが作品から何を感じるか、ですね。
力不足を感じることもありますが、逆に光るものも感じさせるライターでした。
完全一本道で選択肢の一つも出てきません。
HシーンはPLUS+MOSAICでね!
一応サービスカットもありますが、裸体未満。見えそうで見えないのが逆にエロいというのはおいといて。
実に良かったのではないでしょうか。場面を盛り上げ、雰囲気を出すのに実に効果的にはたらいていたように感じました。BGMに徹していたはずですが、しっとりとした旋律が耳に心地よく残ってます。
ボーカル曲:1曲(OP曲)
主人公:亮(名前変更不可),特殊部隊上がりの無敵軍人。感情を露わにしないクールな性格。
シオン:人類脱出計画の中心人物である人造生命体少女。天才。
エリカ:シオンのお姉さん的存在であり、シオンのメイドをやっている人造生命体。
ラヴィ:主人公の同僚となる若き准佐。ナイフの達人。明るく親しみやすい性格。
意外や意外、ステレオタイプ的キャラクターかと思っていたら意外と作り込まれていました。一方で、テキスト項でも書きましたがそのキャラクターらしからぬ行動もたまに見られるのがたまだけに珠に瑕。
とても時間が短いですしキャラゲーというわけではないので、キャラに萌える…というところまでいくかは微妙ですが、どのキャラもなかなか魅力的に描かれてます。プレイ時間も短いのにキャラをこれだけ引き立てて、よく頑張ったと思います。
主人公含め男女フルボイス。
とりあえず公式サイトの声優さん顔写真は見ずにプレイするべし。
6時間程度で終わります。短いです。
中価格作品とは言え、短い。
しかし短い分、質は高く中身は濃いです。
システム:
オートモードで設定できるのは、各文章が出てからの待機時間だけですので、文字表示速度と連携させて使用しないといけません。私みたいに、文字はパッと出てほしい人間にはこのタイプのオートモードは使いにくすぎでした(だから使いませんでした)。それ以外、特に不満無しです。男声が要らない人はOFFにもできます。
演出:
minoriの十八番、お家芸、真骨頂。確かに凄かったです。まず、立ち絵らしき立ち絵が存在しない。風景の中にキャラが溶け込んでいたり(「腐り姫」的な感じ)、まるでアニメのような構図だったり。とにかく驚かされました。
そして背景がまた、非常に美しい。カット数も非常に多い。デスクトップの壁紙にしたいくらい。「演出のminori」は伊達じゃなかったです。広い意味での演出として、音楽の使いどころもまた素晴らしかったです。無音もうまく使っていたのが個人的に好み。
その他:
パッケージ、私はsofmapオリジナル特典のやつを買ったのですが、開封の時点でいちいち感動でした。まず「minoriから皆様へのお知らせとお願い」の文章が熱くて、私の心を打ちました。プレイ前から心打たれるなんて。なんといっても、ディスクの装飾の美しさに感動。割れザーざまぁと言いたい。PLUS+MOSAICの方も、無印ほどではないにしろ、私の心を打つ美しさ。特典でついてた下敷きも美しい。下着姿のシオンとエリカが抱き合ってる柄のシーツは、私は要らないですがまぁ苦しうない。それと同じ柄が描かれた携帯液晶ガードも美し… 大馬鹿野郎!!!!
オールラウンドに、手堅い作品。こう言って間違いないでしょう。
プレイスタイルや作品に求めているものによって評価は大きく変わるでしょうが、逆に言えば本作はその辺さえきちんと押さえれば安心してお勧めできます。シナリオもまた良くも悪くも手堅いので。
既に書きましたが、ライターと競い合うような挑戦的プレイスタイル、予想外の展開を期待する等は禁物。まったりと作品の雰囲気に浸る。またはminoriお家芸の演出に。
雰囲気ゲー以上の感動があります。
最初のうちこそライターの腕に不安を感じながらおっかなびっくりプレイを進めていたものですが、意外や意外、良く出来てます。粗というか小さな穴はあれど、丁寧な作り。真面目に作られた作品だなと感じられ、好印象です。
…などと上から目線で語ってますが、きっちり型にはめられた(感涙しちまった)クチです。
今のはシナリオの話ですが、シナリオ以外についても、全てがとても丁寧に作り込まれています。それもまた感心しましたね。商業作品の「製品」と胸を張って言える、という意味で、とても完成度の高い作品と言えるのではないでしょうか。
小粒ですが、良い作品だったと思います。
(PLUS+MOSAICのレビューもしています。
またこの作品について、リアルタイムプレイ日記をつけていました。)
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いただいたコメントには後日日記にてありがたくレスさせていただいております。