斬魔大聖デモンベイン

(執筆:2007/04/03, 2008/01/03)



メーカー
Nitro+
(硬派でハードボイルドな読み物系ブランドの代表。銃系統にこだわりあり。固定ファン多。)



属性
発売時期:2003年4月
ジャンル:ADV
用途:読み物
舞台:近未来の大都市
顕著な属性:巨大ロボの決闘、炉利
プレイのきっかけ:ロボにも銃にも興味無い私としてはこれまでNitro+の作品は何となく敬遠していたのですが、一度プレイしてみたいなぁとも思っていました。本作が2003年でも屈指の高評価を得ているのは知っていたので、思ったより廉価で販売していたのを見かけて購入。(プレイ前の期待得点…7点)



テキスト:4
あらすじ:魔導の道から挫折し、しがない私立探偵で食うや食わずの極貧生活をしていた主人公「大十字九郎」。ある日突然、九郎が住む大都市「アーカムシティ」一の権力者「覇道財閥」の総帥が九郎を訪ねて来、仕事を依頼。「魔導書を探してほしい」と。
依頼どおり捜索していたら超強力な魔導書(美少女に変身する)を発見してしまい、それから九郎はなしくずしに世界の命運を賭けた戦いに身を投じることになって…


私も最近はすっかりそっちの方面から遠ざかったので断言はできませんが、これは、ライトノベルのノリなのではないでしょうか。(ちなみに私はスレイヤーズ世代)
「そういうものだ」と認識せず馬鹿正直に真っ向勝負挑むと、オタク臭くて何だか痛い文章に打ちのめされます。特に日常のコメディアスな描写にその傾向が強く見られ、受け付けない人は一発KOでしょう。
お話の半分を構成するバトルシーンも、シリアスに全力で向き合うと馬鹿を見ます。ここは、朝の戦隊物を見る感じでリラックスして臨みましょう。「この悪役もどこかで見た…」などと真面目にキャラ設定の巧さを考えているようでは駄目です。"悪役"なんだからと割り切りましょう。ましてや「今主人公が壊したビル、まだ人がいたんじゃ…」などと考えるのは愚の骨頂。ビルは全て無人。常識です。
などなど、色々と割り切っていれば、非常に爽快な「熱さ」を実感できると思います。(割り切る爽快感ではなく)
作品の残りを構成する、敵サイド描写等、比較的シリアスなパート。これの対処法は一言、「期待しないこと」。これまた非常に臭い。仰々しい文章のオン・パレードで、もうええっちゅうねんっていうくらい同じ表現が繰り返されて、特にFateとかプレイ済みの人はあれの劣化版みたいな言葉運びを散々見せられ、くどくてくどくてうんざりするんじゃないかと思うんですが何故かこのテキストが一般には結構好評のようだから理解に苦しむ。fateアンチの気持ちがようやく少し分かった。

まとめると。
臨み方を間違うと、糞な作品になります。「熱い魔導ロボット対決物」、程度の気持ちで読むのがちょうどいいんじゃないかと。本作に限らず何でもそうですが、作品のノリに同調できないと悲惨です。
私はそのクチでしたね。半分くらい進んでようやく向き合い方を変えましたが、それでもそれまでに根付いた作品(ライター)への不信は拭えず、感動シーンはそれなりに感動し、熱いシーンは結構熱中して読み、ギャグシーンは素直に笑ったりしましたが、それでも底辺を流れる「臭い文章」への嫌悪感は拭えませんでした。

…いや、酷いと思うんですけどね。このライターさん、才能のむらが激しすぎる気がする。
特に日常会話の言葉運びは素人レベル。シリアスパートの言葉運びも、知識量やボキャブラリーは認めますが、薄っぺらで虚仮威しにしか感じませんでした。唯一ギャグレベルだけは、そのぶっ飛び具合がどえらいことになってました。これは素直に感服。あと、「クトゥルー神話を見事に取り込んで…」と賞賛できるらしいですがそっち方面に無知な私にはさっぱりでした。

…そういう、何とも厄介なテキストです。色々な意味で尋常じゃない。



ゲーム性:3
最低限の選択肢のみで、シンプルですね。ルート決定に使われるものがほとんどです。



実用性:5
結構実用に使えそうな気がします。絵の好みもあるでしょうが、これがなかなか、色気があって良いかと。特に炉利系キャラのぷにゅぷにゅした質感がいい感じ。サブキャラとのHシーンはボイス無しなのですが、メインキャラとのHシーンは、尺も長いし淫音も結構入ってるし、何より差分が非常に多い。多くの実用系ブランドもちょっと見習え。
さらに、日常シーンも、絵描きさんのサービスなのか知りませんけど、明らかに狙っているようなサービスカットがあってしかもそれが確かに色っぽいのです。うーんすごいですな。
シーン内容はまぁ和姦のみと思っていただければそう間違いはないかと。しかしCGを単体で見ると「YO女強姦…?」みたいに見えなくもない…というか見える(これこそ確信犯)。よって、想像膨らませれば例えば あ、今検閲入りました。



音楽:7
熱いですねーっ!通常戦闘の曲がかなりお気に入りです。私としてはテキストがもう駄目駄目でしたが、その分、この作品の評価が音楽やその他諸々で非常に底上げされてたのがよく感じられました。
日常パートの曲も、小粋な感じでなかなか好きです。
ただ、シリアス・ダーク系の曲はちょっと退屈でしたね。
ともあれ、音楽回想モードが無いのが大変残念でした。

ボーカル曲2曲ありですが、OPを聴いた私の感想を率直に申しまして「これは(略)」。広い意味での感動で、泣きそうになりました。背中とかボリボリやりながら。

ボーカル曲:2曲



キャラ:7
 主人公:名前変更不可,普段はどうしようもない三流探偵、けれど誰かが
     苦しむのを放っておけない、頭でゴチャゴチャ考える前に、
     まず行動するタイプ。
     普段は駄目人間、けどやるべきところはきっちりきめてくれます。
 アル・アジフ:主人公が手にした最強の魔導書。炉利系美少女だが容姿に似合わず
        誇り高い性格で、第一人称は「妾(わらわ)」、第二人称は「汝(なれ)」。
        自分は人ではなくただの魔導書であると割り切っているが…
 ライカ:主人公がよく厄介になっている教会のシスター。巨乳。
     ほんわかとした性格の眼鏡お姉さん。
 覇道瑠璃:覇道財閥の若き総帥。見た目は少女。頭の中身も見た目どおり。
      最初は主人公のことを嫌っている。

メイン3人のうち、アルは評判どおり大変良かったです。私の友人など「九郎×アルは、私の中でベストカップルに近い」と言ってました。瑠璃嬢も意外と良かったです。残り1人は案の定でした。
残りのキャラなのですが、もうベタベタすぎて真面目に説明するのもバカくさいのが宿敵だったりしてもううんざりです。他のキャラもそれに準ずる。もうほんと、敵キャラはどうしようもないです。百回死ねと言いたい。
けれどそんな中、一際異彩を放つ、猛烈最強マッドキャラが一名。
言わせて下さい。素 晴 ら し か っ た。
ここの「キャラクター」得点は女性キャラ(しかも萌え具合)限定なのであまり大した点数でもないですが、彼を拝めただけで、このゲームプレイした価値があった。というか私にとってこのゲームの価値の5割は彼です。
あとですね、これはテキスト項で評価しても良かったのかも知れないけど、主人公が(日常パートを除き)なかなか爽やかで良い。なんというか、肩を張らず、自然体で正義を貫くその姿に少し憧憬の念すら抱きました。シンプルで実に良い。このゲームの価値の3割は彼です。
何だか男キャラだけで作品価値の8割を占めてしまいましたが、私にとってそういう作品でした。



声:男女
パートボイスです。極たまに、思い出したかのように声ありになります。基本ボイス無しだと思って問題ないです。
おかげさまでサクサク読み進められましたが、やはり寂しいものでしたね。



時間:4
長い。だるい。
一人目攻略はまだいいですよ。どれもこれも新鮮だから。
問題は2人目以降。
なんというか、展開やラストは勿論変化していくのですが、大筋では大差ないのですね。途中何度も枝分かれしながら、また一本に収束し…を繰り返す感じ。
要は、似たような展開で読んでてだるい。新鮮味が無い。しかも大概つまらないと来た。
勿論、そのルートならではの熱い展開もあるのですが、それにしても微妙な共通ルート、言うならばニアミス展開が多かったです。



雑記
システム面の不満として、バックログにマウス2クリックを必要とすること。マウスホイールはどっちに回してもお話が進むのですね。音楽回想モードが無いのも痛い。
文章スキップはものすごい速さで、一気に未読文まで飛びます。おかげで、どの展開まで来たのか理解し物語に入り込むのがやや難しいという弊害も。あと、自動スキップ機能がなかったのは残念。既読文と未読文が入り混じってたりするので、「これ、前にも読んだような…」としばらくしてから気づくことしばしば。
あとディスクレス不可です。

演出としまして、効果音が非常に多かった印象です。ただ、巨大ロボット物の割に質量を感じさせる重厚な音は無く、その辺が作品全体に妙に軽い印象を与えたかも。
あと、スタッフルームもあり。
CGは、戦闘描写CG等、ものすごい数があります。あきれるほど。
コンピューターグラフィックっぽい絵(アーキテクチャと呼ばれてました)ですが、何をやっているのか、何がどうなっているのかよく分からないと感じたものも多数。
一般の評価は「美麗」らしいので、私のおつむが足りてないだけなのかも知れません。



お勧め度:6
基本ライトノベルであり、朝の戦隊物が味付けで追加されてる感じです。そういうの好きな人はどうぞ。
残念ながら私は何やら思わぬところで躓いてしまったのでこの作品の魅力が今ひとつ分からないので、どう面白いかについてはすみませんが他のレビューサイト等でご確認下さい。
敢えて私でも分かったところを紹介しますと、ラストの方のファンタジックながらもヒューマニックなドラマティック展開は確かに面白かったです。そこは確かに感動した。そして先述の通り、主人公君に少々惚れ惚れ。
CGも、少なくともキャラCGはかわいくて好きでしたね。
あと、キャラ。何といってもキャラ。キャラ。ただし主人公サイドとマッドドクター限定。それ以外は、敢えて言わせて下さい、カスであると。




気に入り度:4
「SWAN SONG」という瀬戸口廉也氏の傑作をご存知でしょうか。
大震災に見舞われた雪国の地方都市を舞台にした、生き残るためのパニックサスペンスものなのですが。
あれの直後にこれをプレイした自身の不運さを嘆きます。

けれどあれの直後でなくてもやっぱり合わなかったと思う。一部を除き、何がどう面白いのか分かりませんでした。
何でもそうですけど、お話に入り込めなくなったらおしまいですね。
1年かけてシナリオコンプできたのは、ひとえにマッドサイエンティストのおかげ。





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