(2005/08/31執筆 2006/09/17 再プレイ,加筆修正)
メーカー
FryingShine
(この作品が処女作にして出世作。)
属性
ジャンル:異色学園ADV
用途:読み物
舞台:現代の学園とその周辺の町
顕著な属性:非日常感・心の弱さ・人との関わりということ
テキスト:9
ありふれた、皆でやる高校の部活動。そういうことを目指して…
ライターの豊富かつマニアックな知識量がそのまま主人公の知識としてふんだんに盛られているため、普通に何言っているのか分からないこともしばしば。しかしそれを上回る量笑えた日常の描写。
話の展開は、最初は状況等が理解しにくく、しかもそれほど面白いというわけでもない話を追っていくので精一杯なのですが、段々と状況が分かっていくにつれハマり度も等加速度的に上昇していきます。
具体的にはこれ以上話しませんが、2003年度発売の中でもトップクラスの人気作品なので、例え人によって当たり外れは大きかったとしても、その外れである可能性は低いかと。一度やってみて損はないと思います。
冒頭部は突っ込みどころも結構あるかと思いますが、ともあれ話を進めてみましょう。
私自身の感想として、初回プレイ時は最後のエンディングまでいっても物語の理解で精一杯で、この物語を通してライターさんが書きたかったものについては消化不良でした。1年開けての2回目のプレイで、ようやく(完璧に、とはとても言えませんが)分かったような…。
中盤以降の先の読めない怒涛の物語展開、その中で書かれるこの物語の主題、その双方が秀逸です。危なげのないテキストで、安心してどっぷり世界にハマれます。
私には1回でその両方は消化しきれませんでしたが、2003年度最人気作品(x-navigator)というのもうなずけます。
ゲーム性:4
普通のADV形式。会話の中で何と言うのかを選択するというより、自分の行動を選択する感じ。選択の楽しみを感じたので4点です。
実用性:5
先の展開が気になって実用どころじゃない気もするのですが…
絵がOKなら、結構良い方に入ると思います。それなりにシーン1つ辺りの長さもあり、基本的にオーソドックスなものばかりですが、初々しさがなかなかエロいです。
エロゲーだって忘れてプレイしていたりするので、Hシーンに突入したりすると違和感感じたりしました。
音楽:6
基本的にピアノソロベースの楽曲。全体として他の作品に比べ静かな印象を受けました。悪い曲ではないと思います。むしろ、なかなか良い。場面にもよく合っているし、作品の雰囲気を演出するのにも一役買っている。しかし…好みが分かれるようですが…私は物足りなさを覚えました。特に心に残るような旋律は見出せませんでした。それだけ作品の雰囲気作りに徹することができているという解釈もできるでしょうが…。
ボーカル曲:エンディングで1曲あり。
キャラ:8
主人公:名前変更不可,セクハラをコミュニケーション手段とする迷惑野郎。
ライターの知識の偏りにモロに影響を受けている。そうそうお目にかかれないキャラ。
白髪・独特の瞳。顔にコンプレックス有り。
部長:ほんわか豊乳眼鏡。主人公に対しても優しいが、
要所要所で警戒している。
後輩1:明るく、変人な主人公のノリにもしっかりついてくる後輩。
けれど最終ラインだけは決して踏ませない。
後輩2:後輩1の親友。静かで歯に布着せない性格。
主人公のことをあからさまに嫌っている。
同級生:大金持ちの令嬢。主人公を無視しきれない。
過去に主人公と何かあった模様。
親友1:男。部長の弟。いい奴。
親友2:男。落ち着きのあるバカ。カレーパン大好き。実は大金持ちの御曹司。
あと一人:女生徒達に人気有りの、万能無口女子高生。主人公と仲が良い。
この子以外は放送部部員。
他にも数人いますが、メインはこれだけ。可愛いキャラもいれば腹の立つキャラもいます。主人公が一番ぶっとんでますが。
ライターさん、なかなかエロゲー業界でならしてきたのでしょうか。どのキャラも意外と毒が強く、萌えどころじゃなかったりするかも知れませんが、正直萌えます。
まず同級生。お嬢様です。いつも主人公を無視しようとします。
が。
一度心を許すと…
萌えゲーに疎い私は、このキャラ以上のベタベタキャラを見たことがありません。
そして後輩1。現実世界ではありえないような萌えワードが嫌味なく飛び出し、その元気でしたたかな可愛らしさに心動かぬ男性(二次元属性)はいるのでしょうか。公式ページ内人気投票No.1は伊達じゃない。
その他、意外な伏兵有り、属性持ちには本命有り、何かと萌え要素には事欠きません。ヘタすると男キャラにも萌えます。
この物語のギャグの大半は、ユニークながらもそれぞれ愛らしいキャラ達と主人公との、エロゲーならではの掛け合いによって成り立っているといっても過言ではなく、しかもそれが猛烈楽しいです。
声:男女
どうも声優さんが一流どころ揃っているそうです。
確かになかなか良かったです。上のキャラ得点に一役かっていると思います。
時間:4
一度最後のエンドまでいけばほぼ全てのCG等が埋まるはずです(私はどこか一箇所だけ見逃しました)。
その最後のエンドまでの長さなのですが、やや短いように感じました。実用シーンなどを飛ばしていったからでしょうか。
まぁ、短すぎるということもなく、できる限り冗長にならず綺麗にまとまっていると思います。あくまで、アドベンチャーとしてでもやや短いかなぁくらいです。
何が短いか1巡目ではわからなかったのですが、どうも、各キャラと仲良くなってからのシーンが短いような。物語の展開に関わるシーンはそれなりに長く、時として冗長でもあるのですけどね。
恋愛がメインテーマではないので、ライターさんも敢えて短めに抑えたのでしょうね。
雑記
システムは、特に問題もなく。(修正パッチ充てましょう)
読み物ということで、オートリード機能はまぁまぁの充実でしたが、私はほぼ使いませんでした。あまり使いやすいということもなく。問題はシステムにあるのではなく、文章ごとに難易度が激しく変化するテキストにあるのでしょうが。
演出としては、普通の背景に小さめのCGを重ね貼りすることでコストや容量削減+CG増加を図るという良質のテクが使われてました。2003年でもうあったのですね。私は2005年のカルタグラで初めて確認したのですが。(AIRやCLANNADの動物CG除く)
演出として、各種効果音や上述の一コマCGなど、使いどころが絶妙。特に効果音は素晴らしかったと思います。テキストだけでは為し得ない新境地の笑いでした。
お勧め度:8
普通に、良作読み物です。人によっては名作となる可能性も高いでしょう。
ただ、主人公のキャラクターとエンディング辺りのお話は、人を選ぶと思われます。ツボにハマれば先述のとおり名作となるでしょうが、ストライクゾーン外れている人もいると思います。
とはいえ、2003年度の18禁ゲームの中でもトップクラスに人気の高い読み物系ソフトであります。
「本格派テキストゲーやりてえな」と思ったら、ぜひお勧め。
気に入り度:8
2回プレイしたものの、エンディングはやはりちょっと納得いきません。
また、このゲームの展開を読んで感じたのと同じような印象を、すでにとある漫画で感じていたので、ファーストインプレッション的なものがなかった。その辺りから、物語の展開についての得点はやや低めになります。
とはいえ、一級品のギャグと(エロゲーでは)一級品のテーマ性、そして二次元業界屈指のキャラクター性など、評価できる点は多数。
間違いなく良作、人によっては神作、私にとっては秀作。
web拍手
一言メッセージ機能としてもご利用いただけます。
いただいたコメントには後日日記にてありがたくレスさせていただいております。