CARNIVAL

(執筆:2006/05/11)



メーカー
S.M.L
(本作が処女作。CROSS†CHANNELなどで有名なFLYING SHINE一門)



属性
ジャンル:VN,ADV
用途:読み物・実用
舞台:現代の学校・街・家
顕著な属性:?



テキスト:6
あらすじ:先輩のエイミとミサワからいじめをうけている主人公・マナブは、昔から嫌な事があるとその記憶を無くしてしまう癖があった。
いつものようにミサワに呼び出され屋上へ行くと、マナブへのいじめについて抗議する 幼馴染のリサの姿があった。逆上したミサワがリサにつかみかかった瞬間からマナブの記憶は途切れてしまう。
次に覚えているのは、首を切られ血の海に横たわるミサワと、着衣を乱し気を失っているリサの姿だった。記憶が途切れ、曖昧な供述しかできなかったマナブは事件の容疑者として逮捕される。
しかし、護送中のパトカーが事故を起こし、マナブはその隙に逃亡する。
(S.M.L製品紹介サイトより)


かつてないほどレビューしにくいお話です。。
最初は事件の概要が主人公マナブ視点で描かれていくのですが、段々と事件やキャラの背景が見えていくストーリー仕立てとなっております。
残酷描写がそれなりにありますが、そういうのがテーマではありません。そういった話の展開を追って楽しむというより、そういった残酷描写が起こるようになってしまったキャラ達の心の中に焦点をあてた、という作品です。
このあたりを見誤ると私のように大変混乱すると思われるので、敢えて記載いたしました。
ハイライトというか焦点の当て方はS.M.Lのサイトで載っているので、こちらを参考にすると良いでしょう。。
http://www.sml-info.net/carnival/world/index.html
http://www.sml-info.net/carnival/highlight/index.html

で、お話自体の感想ですが。

前半は楽しめたものじゃありませんでしたが、じわじわと謎が解けていくにつれ面白さも出てくる、という感じです。後半はかなり熱中して読み進めました。物語としては十分に楽しめるのではないでしょうか。少し小説チックです。
字面で情報が全て与えられるのではなく、書かれてあることからある程度想像力を働かせることによって、より作品を味わえるという感じがします。
全体を通しての感想の変化を食べ物に例えると、最初は変な味だと思って食べていたものが、実はその下に層が出来ていて、それと合わせて食べてみるとなんとも奥深い味わいになる、そんな感じの作品です。

ただ、テーマが「信じることの難しさ」「人は皆、多かれ少なかれ心の傷を抱えて生きている」ということだそうですが、正直テキストを読んでそういったことに感銘を受けたりは全くしませんでした。最後まで、どこに焦点をあてて楽しめばいいのかよく分からない、何が言いたいのか、何も言いたくないのか釈然としない、妙なテキストでした。その辺の伝え方はまずかったのではないでしょうか。



ゲーム性:3
たまに2択の選択肢が出てくるだけ。普通のADVです。
選択肢も少なく、基本的にCG回収かバッド直行かです。



実用性:6
なかなか色気のある絵だと思います。シーンの描写も、短い上に差分もほとんどないですが実用には耐えうるのではないでしょうか。異常な状況でのHシーン(特に強姦めいたもの)がほとんどです。



音楽:7
8点か悩みました。なかなか良かったです。気に入った曲がBGMで3曲もありました。音楽で作品への評価が随分上がった気がします。
ボーカル曲はいずれも、イントロで流れるエレキギター音のカッコよさが印象的でした。

ボーカル曲:OP,ED2曲



キャラ:4
 主人公:名前変更不可,奇人系の天才肌。高校2年生。集団に溶け込まない。
 幼馴染:明るく可愛く性格も良く、学園のアイドル。主人公とは幼馴染で、
     一人でいる主人公を探し出してはよく話しかけてくる。
 幼馴染の親友:知的美人。あまり人と絡むタイプではなかったが幼馴染とは
        馬が合い、仲良くやっている。
        主人公のことも、幼馴染を通して知っている。

キャラゲーではないですし、キャラを楽しもうという趣旨のゲームでもないです。
あ、けど炉利キャラが一人いてこれは結構筋金入りの炉利です。



声:男女
フルボイス。
なんというか、全体的に好演でした。上手かった。
ラブシーン以外は。(これはテキストがいけないのか?なんだかどれもこれも途端に棒読みくさくなった気が…)



時間:3
結構短めという印象です。4点か悩みましたが、やはり「え、もう終わりかい」という感がぬぐえないので3点。



雑記
システム周りは結構充実していました。
演出というわけではないですが、そういうシステム関係のデザインも結構クール。特にOPムービーは大変良い。
いい仕事していたと思います。
なにせシナリオが選択肢も少なく一直線なので、クイックセーブが大活躍しました。



お勧め度:6
一風変わった作品であることは間違いないです。正攻法ではとても楽しめない、けれど味わい方が分かってくると箸が止まらない、そういう感じです。
どうも、全体的に見てうちのサイトの評価は他よりもかなり低めなようですね。人によっては名作となりえるかも。
意欲作とも思えないし斬新な物語構成だとはもっと思わないけれど、ありそうで無くて、妙に味のある異色作。テキストゲーム好きなら一度試食してみるのもいいでしょう。




気に入り度:5
最初の方の文章が、私の肌には合いませんでした。後から思い返せば、あれでよいのでしょうが。それに対し、音楽および後半で大幅に得点が上がりました。あと、ヒロイン達の声。
ただ、楽しみ方が最後の方まで分からなかったのと、テーマ表現の下手さ、そういったところで減点が多かったです。全体的に消化不良感が強い。伏線を回収できている、という点を除き、メッセージ、物語の展開、いずれもわだかまりが残るものです。よってお勧めは6点。エンディングまでいって、「あぁこういう作品だったのか」と分かるという、なんとも困った作品でした。
面白い作品であり、決して嫌いではない(むしろ好きだ)けれど、やっぱり不満足。そんな作品でした。





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