BALDR FORCE

(執筆:犬ノ幼 2006/06/11)



メーカー
戯画
[古くはヴァリアブル・ジオ(Variable Geo)、近年ではパルフェシリーズでその名を浸透させています。
(但し、元祖戯画スタッフは'98に解散したという情報も見かけましたので注意が必要です。)]



属性
ジャンル:アクションADV
用途:アクション、読み物
舞台:近未来
顕著な属性:サイバーパンク



テキスト:7
あらすじ:ネットに意識ごと没入し、ネットでの死が現実の脳死へと繋がるほど、コンピューターネットワークが進んだ社会。
主人公、相馬透は腕利きハッカー集団'草原の狼(ステッペン・ウルフ)'の一員として気ままに過ごしていた。
しかし、その'草原の狼(ステッペン・ウルフ)'もそろそろ潮時、引退イベントとして最後の大きなハックをしかけることなる。
だが、折り悪く、'草原の狼(ステッペン・ウルフ)'の最後のハックはテロリスト組織と軍との抗争に巻き込まれてしまい、主人公は軍の凶刃に親友を亡くし、自身も逮捕されてしまう。
親友の敵討ちも果たせぬまま、このまま刑務所暮らしかと思われた矢先、軍から「罪状を揉み消す代わりに主人公のネット空間での戦闘技術を軍の為に役立てないか、つまり入隊しないか」との誘いが舞い込んできた。
親友の仇を討ち取る為のまたとないチャンス、主人公に選択の余地はなかった…


上述しましたように、本作はサイバーパンクです。それも王道の。
サイバーパンクについてはこちら(wikipedia)をご参照ください。
(とは言え、ここに書いてるのは解りにくいので、お時間ある方はウィリアム・ギブスンの『ニューロマンサー』なんかを軽く読むのが一番手っ取り早いサイバーパンク入門になるかと思います。あまり手っ取り早くないか…)

さてサイバーパンク(特にサイバーパンク小説)の特徴というのは主に(偏ったイメージではありますが)
・ネットに意識ごと接続でき、そこに仮想空間、仮想の自分が存在して他者とコミュニケイトできる
・やや退廃的、暴力的社会
・邦訳ではカタカナのルビの多用
というのが挙げられるかと思います。
あくまで代表作のイメージであり、これが正しいサイバーパンク、という訳ではありませんが、本作のテキストは実にこのイメージ通りの文章に仕上がっております。
決して格好つけのみで「粗雑」に「クルード」なんてルビを振っている訳ではありません。
サイバーパンク小説のある種の技法な訳です。
そしてそのサイバーパンク的文章に嫌味を感じないor慣れ親しんでいる方であれば十分に楽しめる文章であると思います。
犬之幼なんかは割とSF好きなので「お〜、いかにもサイバーパンクだな〜」とかニヤニヤしながら読んでいました。
ライターさんも結構SF好きなんじゃないかと思います。

さて、文章の技法はこれぐらいにして文章全体の構成からみますと、このゲーム、軽く攻略順が存在し(自動で新しいルートが出現する)、新たなルート、即ち軍(初めのルート)とは異なった視点から物語の真相やキャラクターの行動理由が解ってきて、なかなか飽きさせません。
同じく攻略順が存在するFate/stay nightのように、主人公がどのヒロインの側に立つかによって物語の筋が大きく変化する訳ではなく、物語の大きな筋は柱としてどっしりとして存在し、主人公がどのヒロイン側につくかによって個々の運命が少しだけ変わってくる、そして真実の見えてくる角度がそれぞれ異なる、という構成になっています。
晴鍋さんに言わせるとやや心理学的な用語の用法に誤謬が見られるそうですが、大枠で見ればなかなか質の高いテキストであると思います。
(編集注:「自閉症」について致命的に勘違いしています。)



ゲーム性:9
2003年(EXEじゃない無印は2002年)に18禁業界でこれだけのゲーム性を誇るソフトが出ていたとは驚きです。
基本的にはフィールド内で自機(ロボットみたいな感じ)を縦横無尽に操作して敵弾を掻い潜りながら、攻撃を与えていくというアクションものです。
武器の種類も豊富で、遠距離からの攻撃、近距離の攻撃、ロングダッシュ中の攻撃、ショートダッシュ時の攻撃にそれぞれ3種類存在し、武器を使えば使うほどレベルがあがってゆき、新たな武器の開発も可能になるという色々とやりこみ甲斐のあるゲームです。
難易度の方も4段階設定されており、ゲームが苦手な方にも安心。
ただジョイパッドないと面倒かもしれません(犬は偶然ジョイパッドを友人から借りていましたので、キーボードでは未プレイです)。

ストーリーが肌に合わなくてもこれだけでも十分見所あるソフトだと思います。



実用性:3
このソフトの最も駄目な点。
それがHシーンの実用度です…
・会話シーンのアイコンでは、目まできちんと出していたのにHシーンになると突然顔を隠される主人公
・牛乳みたいな適当な精液、それも妙に大量
・そもそも女性の絵がそんなに上手k…
・テキストもあまりエロに力入れていない
とまぁこんな感じでエロに期待はしない方が良いでしょう。
ああ、上で「女性の絵が…」みたいなこと書きましたが、あくまで肉体/骨格の話で顔なんかは可愛らしく描けていますのでキャラが駄目ってことではありません。
そんな感じで3点です。



音楽:6
後々取り出して聞きたくなる、という程のBGMはなかったのですがゲームをしていて伝えたい雰囲気を伝えきる力を持ったBGMではあったと思います。良いBGMでした。エンディングのインストゥルメンタルのやつが格好良かったですね。

ボーカル曲:KOTOKOの「Face of Fact」という曲でして、OP時には「う〜ん、I've soundらしい曲だなぁ〜、そんなに心惹かれないけど。」という感じでしたが、本編中に効果的に流された為、「おおー、格好良いー」と思い、ぐっと評価が上がりました。現在では結構好きな曲です。 ボーカル曲:



キャラ:8
 主人公:相馬透。名前変更不可。名うてのハッカー。
       幼馴染:やや世話好きな主人公の幼馴染。
     ハッカー集団'草原の狼(ステッペン・フルフ)'ではサポート役。
 親 友:主人公と長いことつるんでいるハッカー仲間。主人公の良き兄貴分。
 その他:色々でてきます。ヒロインは全部で5、6人。男性の顔ありは6人ぐらいですかね。

キャラクター、全体的に活き活きしており良いできです。特に男性キャラが良い味をだしています。
ただの「良いキャラ」ではなく、善キャラ悪キャラそれぞれが行動指針をもってる生きたキャラという感じがしますね。
反面、女性陣が男性陣に食われた感が否めません。
ヒロイン達が少しパンチ不足なところがあるので。
なので8は少し高いかもしれませんが、男性陣の引っ張りという点を考慮していただければ。



声:8
男女ともに良い演技…なんですが、やっぱり男性の方が目だってしまうのは仕方ないんですかねぇ…
とくに本作品では一人ぶっとんだ男性キャラがでてきまして、その声優さんの演技が素晴らし過ぎて他のヒロイン役の方々が霞みがちになってしまいます。
ともあれ全体的に高水準です。

因みに「あきら」という男性キャラが出てくるんですが、この声優さんだけ技術面でやや危な気が残る気がしました。しかし、キャラクターの雰囲気を伝えるという点においては良い仕事ができており、今後の活躍に期待したいです。



時間:7
総計1日半ぐらいで大体のエンドとシーン見られるのではないでしょうか。
結構長いですが、ゲームパートの中毒性が高いので結構ずるずるとやってしまいます。
武器のレベルを全てMAXにしようとするともっと時間がかかりますし、クリア後はサバイバルモードなんてのも準備されてますのでかなり長い時間遊べると思います。



雑記
基本的にジョイパッドのみで操作できるようになっており、プレイ環境はかなり快適でした。
スキップもしっかり高速で巻いてくれますし文句なしです。
ただ、後半出現する武器が犬には使い辛く、レベル上げるのに随分苦労しました…
「何でこんなに何度もRetrayしてるの…」と思うことしきり…



お勧め度:8
犬にはそんなことできませんでしたが、コンボなんかも上手くすればかなり繋がるようで、ゲーム性自体も非常に高く、ストーリーも楽しませてくれますし、キャラクターが活き活きしている、と三拍子(どういう三拍子かは知りませんが)揃っていますので結構お勧めです。
これならPS2で出るのも納得というもの。
というか18禁シーンはほぼいりませんから…
ただ、先述したぶっとんだキャラクターの言動が全年齢だとやや制限されてしまい魅力が失われてしまうのでやはり18禁版の方がお勧めです。




気に入り度:7
かなり気に入っていますし、評価も高いです。
が、
が、です。7点にしたのはこのソフト、犬之幼が大学の発表準備期間にインストールされ、随分と足を引っ張ってくれたので(←自制できない自分が100%悪い)筋違いな恨みを込めて1点下げました。なので7点です。





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